合宿2日目……
合宿は続く……
朝早く、佐伯と甲斐はロードワークの為に外に出た。
「遅いぞ!」
「やる気有るのか?」
「気が抜けてるんじゃないの?」
「やる気を感じんな!」
すでに池本達は準備万端で待っていた。
佐伯と甲斐が合流すると、そのまま朝のロードワークに向かった。
朝のロードワークとはいえ、せっかくの合宿の為に走り込みは厳しくなっていた。舗装されてない道を走るだけでもきついが、そこにダッシュやジグザグ走行等を加え、朝から相当な量を走っている。ラスト2kmに差し掛かる。
「さて、勝負だ……ビリは……」
「朝ご飯を作るですね?」
『は?』
「ご飯は炊いて有る……それだけだ」
池本が言い終わると、池本と徳井はダッシュをして先に行ってしまう。
「ちょっと、どういう事ですか~?」
「ずるいですよ~!」
「ご飯だけって……」
「何が何だか……」
残された4人は、池本と徳井を追う様に走るスピードを上げた。
ゴールはペンションであり、最初に戻って来たのは池本と徳井である。続いて甲斐·喜多·手塚と到着し、最後は佐伯であった。
「佐伯、朝飯よろしくな!」
「シャワーでも浴びようかな!」
「甲斐、飯が出来るまでタイヤをハンマーで叩いて来い!」
「は~い……」
「佐伯、反省しれよ!」
「……………………………………」
佐伯は、みんなの分の朝飯を作る事になった。
佐伯の料理はそれなりの物であった。意外に家庭的な1面が有る事が分かった。佐伯は何でも器用にこなすタイプの様である。
朝飯が終わり、10時から午前中の練習が始まる。午前中は主に、走り込みを中心に下半身を鍛える事をメインとしている。
改めて山道を走り、坂道をダッシュする。何本もダッシュをした後に佐伯は喜多を、甲斐は手塚をおんぶしてダッシュをする。下半身に相当な負荷を掛けて徹底的に鍛え上げていく。地味に見えるこの練習だが、試合には役立つし何よりも精神的にも鍛えられる。
プレハブに帰って来るとシャドーボクシングから始まり、いつものジムワークをしていく。午前中でかなりのハードワークである。
昼食の後、14時から午後の練習に移る。
午後の練習は、基本的にはスパーリングから始める。佐伯も甲斐も徳井とスパーリングをする。徳井とのスパーリングは、佐伯にも甲斐にも勉強になる事が多かった。
佐伯については、徳井のフリッカーに惑わされてなかなか集中出来ずに被弾する回数が多くなっていた。特に、佐伯が徳井のフリッカーに的を絞れば右ストレートを徳井は容赦なく叩き込む。佐伯はリズムに乗れず、終始徳井のペースでスパーリングを終える事ななった。
甲斐の場合だが、こちらも徳井にやり込められる。甲斐はフリッカーの独特の軌道に苦戦をするが、何とかフリッカーを掻い潜ると徳井のチョッピングライトが待っている。チョッピングライトを意識すると、右アッパーを徳井は放って来る。躊躇すれば、外からフリッカーの餌食と甲斐も課題の見えるスパーリングとなった。
「2人共、まだまだだな……走って出直して来い!」
「「はい!」」
池本に急かされる様に、2人はロードワークに出て行った。
佐伯と甲斐が出て行ったプレハブ、
「さて……お前等を鍛え直すか……どっちからやるんだ?」
「「池本さんが相手ですか?」」
「俺じゃ不服か?」
「「全然!」」
喜多と手塚はスパーリングの用意をする。
池本とスパーリングをした喜多と手塚だが、こちらもかなりの勉強になった様だ。
喜多は改めて、接近戦の時の自分の甘さを痛感した。池本に懐に入られた際、自分のやる事を先読みされているかの様に動かれた。インファイトのスペシャリストの怖い部分をしっかりと教えられた。更に、アウトボクシングでも池本の揺さぶりや駆け引きに後手に回る事が多くなり、結果として池本にペースを握られた。しっかりと課題が確認出来た。
手塚の方はというと、こちらも身の有るスパーリングとなった。同じ接近戦をしても、池本のそれは手塚よりも1段階レベルが高く、同じパンチでも使い方が遥かに違っていた。更に、時折見せる池本のアウトボクシングで手塚は出鼻を挫かれる事が多く、単調なリズムになっている事を痛感させられた。こちらも課題が確認出来ている。
「お前等がしっかりしないと、あいつ等は強くなれねぇんだぞ!」
「強くならないとね…せめて、スパーリングパートナーが務まるくらいにはね」
池本と徳井の言葉に、返す言葉が無い喜多と手塚であった。
その頃、ロードワークに出ている2人……
「ダメだな、拳人……徳井さんに歯が立たねぇじゃねぇか?」
「お前の方こそ、KO寸前だっただろ?」
「俺はあそこから逆転だ!」
「お前には無理だ…俺は逆転出来るけどな!」
「それこそ無理だよ!……担架で運ばれるぞ?」
「それは、弱い昴の姿だろ?」
「大体な、お前は俺にKOされるんだからな!」
「それはお前だ!」
「何だと?…やる気か?」
「そっちがその気ならな!」
「よし、ペンションまで勝負だ!」
「いいのか?…朝は俺の勝ちだったんだぜ?」
「言ってろ!」
2人は同時にスピードを上げた。どうやら、ペンションまでの道のりを勝負しているらしい。2人は必死に走り続ける。
2人は殆ど同時にペンションに着いた。
「俺の勝ちだ!」
「俺のが速かった!」
「俺の足が先に着いた!」
「目が腐ってんのか?…俺のが確実に速かった!」
「頭いかれてんのか?…どう見ても俺だ!」
「い~や、絶対俺だ!」
「俺だって言ってんだろ?」
「俺だっての!」
「うるせぇ!…速く片付けしろ!」
「「……すいません……」」
池本に一喝され、2人は片付けをする。
しかし、2人の実力は確実に上がっている。この合宿を終えた後、2人がどうなって行くのか楽しみである。
まだまだ合宿中……




