平和な事件……
本日は、何かが違う?
佐伯も甲斐も世界戦に向けて毎日の厳しい練習で鍛練している中、1本の電話が池本に届いた。
「はい、池本です」
「手塚です!…大変なんです、協力して下さい!」
「嫌だ!…手塚の頼み事は面倒だ!」
「そう言わずに……徳井にも連絡するんで、喜多に連絡お願いします」
一方的に電話が切れた。
この後、徳井から電話が有り池本は喜多に連絡を入れ、徳井から指示されたファミレスに行く。
ファミレスに着くとすでに3人はおり、池本は3人のテーブルに座る。
「何だよ、手塚?」
「大変て、何なんだい?」
「俺は、トレーナーで忙しいんだが?」
「みんなそう言うなよ……実はさ、瞳ちゃんがバイトを始めて……」
「成る程……バイト先にいい男が居ると?」
「手塚に比べたら、確かにいい男はいっぱい居るね!」
「そんなつまらねぇ事で呼ぶな!……佐伯は世界戦を控えてるんだぞ!」
「誰もそんな事言ってねぇ!」
『じゃあ、何だよ?』
「瞳ちゃんがさ、雑誌社のバイトを始めたんだけど……」
「そうか」
「それで?」
「何が大変なんだ?」
「アルバイトでありながら、企画書を提出して…………実際に取材する事になったんだけど……」
「凄いじゃないか!」
「やるな、森田さん!」
「……のろけか?」
「話しはこれからだ……瞳ちゃんの企画だが……世界チャンピオンになった男達の本音対談……だそうだ……」
「いいんじゃないか?…お前達で対談しろよ!」
「いやいや池本さん、もしかしなくてもこの場合……」
「森田さんは、池本さんも頭数に入れてますね!」
「何?」
「……そうなんです!……どうか、よろしくお願いします!」
手塚は立ち上がり、深々と頭を下げた。
「森田さんかぁ……邪険には出来ないですね?」
「確かに出来ないなぁ……」
「……………………分かった……協力するから手塚、上手い飯でも奢れ!……取材料はそれで構わん!」
「それなら、俺もOKです!」
「しょうがねぇな……敵とはいえ、友達だからな……」
「ありがとうございます、助かります!……では、今から移動で!」
『!?』
「これからなのか?」
「急過ぎだよ!」
「お前に計画性って言葉はねぇのか?」
「まあまあまあ、どのみちやるんだから!」
手塚の強引な手腕により、まさかの取材が始まる事になった。
手塚の案内で西田拳闘会に来る。入り口には、森田が待っていた。
「ありがとうございます、よろしくお願いします!」
「よろしくね」
「お手柔らかに」
「三振からフォアボールまで、何でも聞きなさい」
「池本さん、それは野球でしょ……っていうか、知識狭そうですね?」
「うるせぇぞ、手塚!」
「楽しくなりそうです。では、中に入りましょう!…てっつん鍵!」
「早くしてよ、てっつん!」
「そうだよ、てっつん!」
「周り、うるさいぞ!」
「そうだよ…誰だよ、そんなあだ名付けた奴……」
『池本さんでしょ!』
「記憶にねぇぞ?」
取材が始まる前から、何やら楽しい雰囲気の様だ。
西田拳闘会の会長室に案内される。
「手塚、西田は大丈夫か?」
「問題大有りですよ……この間の公開スパーの時、相手がギミック·タファレルですよ!」
「間違えると、潰されるね」
「公開スパーリングが試合並か……疲れるな……」
「あいつは少し、頭が弱いからな!」
「話しはそれくらいにして、インタビューをお願いします。では……ボクシングを始めたきっかけから……じゃあ、てっつんから!」
「俺か?……そうだなぁ……池本さんに出会って……気が付いたらのめり込んでた感じかな?」
「最初は、池本さんをぶっ飛ばす予定だったくせに!」
「喜多、余計な事言うな!」
「喜多さんは?」
「俺は、池本さんに誘われたんだ……高校のボクシング部は、つまんなかったからな……」
「友達作ろうとして、わざとスパーでやられてたんだよな?」
「てっつん、黙れ!」
「徳井さん!」
「俺も池本さんかな?……助けて貰って憧れて……」
「みんな池本さんなんですね……池本さんは?」
「俺か?……やるべくしてやった感じだな……最も、ボクシングをやってなければ……人様に迷惑掛けてただろうな……」
「成る程……では、ボクシングを始めて変わった事は?」
「持て余す時間が無くなった!」
「退屈ではないね!」
「変わり者の同期が2人出来たかな?」
「「おい、徳井!」」
「……俺は……あんまり過去に拘らなくなったかな……まぁ、変わったかどうかよりも、ボクシングとどう向き合って来たかだろうな」
「俺は、絶対に意地を通して来たつもりです!」
「俺だって、自分を貫いて来ました!」
「ある程度納得出きるまで、全力で走って来たつもりです!」
「真顔でそこまで言えれば大丈夫だ……良くやって来たよ、お前等はな!」
『池本さん!』
「池本さんは?」
「まだまだこれからさ……簡単じゃねぇんだよ……」
「……ボクシングはここまでにして、この中で1番モテるのは誰ですか?」
「年齢層にもよるな……年上なら、マダムキラー喜多だろ?……若い娘には、インチキ優しさ男徳井だな」
「「ちょっと!」」
「手塚は……森田さんくらいしか、相手にしないんじゃないか?」
「スゲェ酷ぇですよ!」
「池本さんは?」
「俺は…………」
「小さい子から人気有りますよね?」
「祐子が小さいからか?」
「その小さいじゃなくて……」
「確かに池本さん、小さい子やお年寄りに優しいですもんね!」
「意外だけど、確かに優しいんだよね!」
「何で意外なんだ?……そもそも、俺は誰にでも優しいぞ?」
「ろくな事は言いませんけどね!」
「森田さんに突っ込まれたよ!」
「瞳ちゃん、言うねぇ!」
「ううん…最後に、これからの期待の選手は?」
「甲斐だろうな!……必ずやってくれる!」
「佐伯のが上だ!……甲斐もぶっ倒すさ!」
「甲斐の前に大の字だ!」
「佐伯の前に膝間付くんだ!」
「まあまあまあ、確かに2人は楽しみだよね!……強くなって欲しい所だね!」
「後は本人達次第だ……どこまでやれるかだな…………後は……やっぱりパンダだな!」
『パンダ?』
「そうだ、パンダだ!」
「それは分かる!……パンダは重要ですよね!」
「分かるかい?…パンダは大切だよ!」
「はい!」
『何で分かるの?』
終始楽しい取材となった。改めて、佐伯と甲斐への期待も感じる。
この後、森田は4人と一緒の写真と4人だけの写真を取って取材終了とした。この取材は、編集長は大満足の様である。
ちなみにだが、この雑誌はかなり売れた。池本はパンダ発言の為、女子会員から絡まれる事が多くなった。この記事を読んだ記者達が川上ジムに殺到したが、池本達は相変わらずの反応で記者達を追い返した。あくまで、森田だから特別の様だ。
後日談………
「悪いな、手塚!」
「ゴチッ!」
「いや~、楽しみにしてたよ!」
「何で食べ放題の無い焼肉屋なんですか?」
「いいじゃないか!」
「気にするな、小さい男だと思われるぞ!」
「本当に悪いな、手塚!」
「ありがとうね、手塚君!」
「この4人は何なんですか?」
「馬鹿だなぁ……篠原さんと西田は、ジムを快く貸してくれただろ?……会長とトレーナーは、これまた快く喜多を貸してくれた!」
「しょうがないよね?」
「自分が言ったんだからな!」
「……この4席は?」
「純也、遅くなってごめんね!…手塚さん、ありがとう!」
「てっつん、ごちそうさま!」
「みんなに会うの久しぶり!……悪いね、手塚さん!」
「私……奢る方じゃ……」
「言ったのは手塚だ!」
「正確には、池本さんの話しに了承したんだけどね!」
「だから、自分が言ったんだからしょうがないだろ!」
「……分かりました!…いっぱい食べます!」
「「「よし!」」」
「よくない!」
結局、手塚はこの日の会計で軽く10万円を越える支払いをする事になった。この辺は、相変わらずである。
手塚、お疲れ様……




