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心魂拳~共鳴する拳~  作者: 澤田慶次
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アメリカでのデビュー……

慣れて来た2人、次は何?

佐伯と甲斐はいつも通り、アカデミーにアルバイトに練習にと忙しい日々を送っている。アカデミーでは友達も出来、なかなか楽しい生活を送っている。

そんな5月のある日、2人はボクシングジムで練習をしていた。

「佐伯!…甲斐!……試合だ!」

「マジですか?」

「よし!」

「7月25日、地元の世界戦の前座だ」

「「はい!」」

「佐伯……ハロルド·バール、右ファイターだ!」

「はい!」

「甲斐……ロベルト·ハインツ、右ボクサータイプだ!」

「分かりました!」

「KO出来なかったら、日本に帰って貰う!」

「「望む所です!」」

「ミゲール、サポート頼むぞ!」

「任せて下さい!」

にわかにジムが活気付く。2人のアメリカでのデビュー戦が決まった。


2人は試合に向けての練習を開始した。とはいえ、アカデミーはある為に普通に通うし、アルバイトもこなしながらになる。

5月については、基本の練習をベースに主に基礎のレベルアップに力を入れて行く。

6月になり、スパーリングが開始される。ジムのプロの選手とのスパーリングである。


佐伯のスパーリング……

佐伯は左ジャブから左に回って行く。

パートナーは佐伯のスピードを分かっている為、佐伯の最初の左ジャブを前に出て額で受ける。これを気に、パートナーはがんがん前に出て来る。

しかし、佐伯にパンチは当たらない。佐伯は最初のジャブを弾かれた瞬間、ギアを1段階上げた。

パートナーは6回戦の選手であるが、佐伯のスピードに付いて行けない。

佐伯は物凄いスピードから左ジャブを放り込んで来る。パートナーの頭が何度も弾かれる。

パートナーはそれでも、左右のパンチを放ちながら前に出て来るが、佐伯はその左右のパンチに自身の左ブローを被せ、何度もカウンターを決めている。パートナーが倒れないのは、明らかに佐伯が意図としてパンチを緩めているからである。

結局、2ラウンドのスパーリングは佐伯が一方的に責めて終了となった。


続いて甲斐のスパーリング……

甲斐は左ジャブを放ちながら前に出て行く。

パートナーは左ジャブを放ち、距離を取ろうとしている。

甲斐はパートナーの2発目のジャブを沈む様にかわし、懐に飛び込むとすぐに左ボディを放つ。

パートナーは甲斐のボディを受けてすぐ、細かいパンチから左にステップするが、甲斐は右足を前に出し距離を詰め、そのまま右ボディを放つ。

パートナーは混乱する。甲斐がサウスポーを使うとは考えていないからである。

この後、甲斐はこまめにスイッチしながらスパーリングをこなしていく。

パートナーの混乱は、時間が経つに連れてより大きくなり、距離感までも狂い出す。

結局、こちらも2ラウンドのスパーリングであったが、甲斐がパンチを緩めている為に最後まで行えた形となった。

2人はお互いのスパーリングを観察し、ジムワークに戻っていく。お互いが無言で自分の練習をする姿は、日本から来た同士ではなく、明らかにライバルとして認めている様だった。


6月の練習は、スパーリングを中心とした形であるが、半ばを過ぎると減量が始まる。

最初こそ食事の量を減らすだけだが、日にちが進むに連れ厳しくなっていく。

6月20日、減量を開始した2人。

アカデミーでもジムワークでもさほど変わりはないが、ここからが本番である。ラリオスはレストランに連絡し、2人の仕事は皿洗いになった。

今の所、2人の動きはさほど変わりは無い。精力的にしっかりと動けており、スパーリングもしっかりと行っている。


6月30日、疲れが溜まって来る時期である。

アメリカでの最初の試合という事と環境が変わってからの減量という事が重なり、2人には少しイラつきが見えた。

2人のスパーリング後、それぞれがサンドバッグを叩くが、叩きながら動いた際にお互いの肩が軽くぶつかった。

「邪魔だ!」

「お前がだ!」

「どけ!」

「そっちこそどけ!」

「やんのか?」

「やってやるよ!」

この2人のやり取りを、ラリオスとミゲールは後ろから羽交い締めにしながら止めた。

この日の練習後、

「ここはボクシングをやる場所だ!…喧嘩するなら日本に帰れ!」

ラリオスから怒号が飛び、2人は反省した。


7月10日、減量も最終段階。

水さえも制限されている為、2人の動きは重くなっている。それはスパーリングでも同様で、パートナーに攻め込まれる事が見られる様になってきた。

しかし、そこは2人である。

佐伯は右のブローを使い出し、パートナーが調子付くタイミングで右のカウンターを合わせ、主導権を握らせない。

甲斐も左右のストレートを解禁し、スイッチから上手くストレートを合わせ、思惑通りにスパーリングを進める。

また、この日にウェートがリミットに達し、2人はとりあえず、第一関門を突破した。


7月20日、練習も最終段階である。

2人は自分のパンチを確認する様に、サンドバッグやミットを打つ。それはスパーリングでも同じであり、2人は確かめる様にスパーリングでパートナーにパンチを打ち込んだ。なかなか力強く、試合が楽しみになってくる。

疲れも大分抜けており、なかなか軽快な動きをしている。ラリオスとミゲールは納得の表情を浮かべる。


7月24日、計量日。

2人は早めに会場入りし、計量計に登る。2人も対戦相手も1発で計量をパスし、会場を後にした。

佐伯と甲斐は、帰りに一緒に食事をする。パスタを中心としたメニューである。

「明日だな!」

「そうだな!」

「絶対やるぞ!」

「当たり前だ!」

2人は食事を摂りながら、改めてKO勝利を誓う。

食事の後、2人は無言でアパートに帰り、それぞれの部屋に入る。

明日、アメリカでのデビュー戦、2人はどんな試合を見せてくれるのだろうか。

アメリカでのデビュー戦……

どんな結果に……

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― 新着の感想 ―
[良い点] いよいよアメリカで最初の試合がきましたね! 2人ともまずはこれを勝たないといけないですね。 楽しみな試合です!
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