休暇の過ごし方……
2人の休日……
佐伯と甲斐の休暇は、もう少し残っている。しっかりと休暇を取り、次の試合に向けて鋭気を養って欲しい所である。予定では、次の試合は世界タイトルマッチになる為、この休暇の過ごし方も大切になって来る。
佐伯は、実家でゆっくりしていた。
「すいませ~ん」
「は~い…あら、好美ちゃんじゃないの!」
「こんにちは……昴居ますか?」
「待っててね!」
中谷が迎えに来て、2人でお出掛けとなった。中谷としても、気分転換をして貰おうと考えている様だ。
佐伯は中谷に案内され、とあるダンスホールに連れて来られた。
「やぁ、よく来たね!」
「こっちが昴です。昴、挨拶!」
「どうも、佐伯昴です」
「話は聞いてるよ!…早速やろうか?」
話し掛けて来た男は、違う男に声を掛けて音楽を鳴らす。聞いた事が有る様な音楽が流れる。
「さぁ、踊ろうか?」
佐伯は男に引っ張られ、部屋の真ん中に連れて来られた。周りにはかなりの人がおり、みんなが佐伯に注目する。佐伯は大きく深呼吸を1つすると、音楽に合わせて踊り出した。
佐伯の見事なステップに、誰もが驚きの表情を隠せない。切れが有り、素晴らしいダンスである。佐伯のダンスが終了すると、再び音楽が流れ出す。
「今日は最高のお客が来てるんだ!…張り切って行くよ!」
『はい!』
音楽に合わせて、みんながダンスを始める。約3時間、なかなか熱の籠った楽しい時間となった。
「佐伯、また来いよ!」
「OK!」
佐伯は軽く右手を上げ、中谷とダンスホールを出た。
「いや~、久しぶりに楽しかった!」
「良かった!」
「ありがとう…気を使わせたね?」
「大丈夫!……私も楽しかったから!」
このまま佐伯は、中谷と夕飯を食べて帰った。リフレッシュ出来た様だ。
甲斐は家でテレビを見ていた。
「甲斐、居る?」
「どうしたんだい、エリー?……アメリカに帰ってたんじゃ?」
「用事は終わったから、帰って来た!」
「そうか……用事は何だったの?」
「……引退……これからは、花嫁修業だな!」
「え!…そうなの?」
「迷惑?」
「いや……それは無いけど……」
「とりあえず、リフレッシュだね!」
甲斐はエリーに連れられ、とある場所に着いた。
「スポーツクライミング?」
「そう!…なかなか楽しそうでしょ?」
「経験は?」
「有る訳無いじゃない!」
エリーに引っ張られて、甲斐は中に入っていく。
「こんにちは、初めての方ですね?」
「はい!」
「そうなりますね……」
「では、準備運動をしてから…初心者コースからやってみましょう!」
甲斐はインストラクターに連れられ、壁の前に立たされた。壁に凹凸が付いており、それに指や足等を引っ掛けて登るらしい。
エリーは苦戦をしていたが、甲斐は器用にこなしていく。気が付けば、甲斐は上級者コースまで進んでいた。
「少し勝負しますか?」
「勝負?」
「はい…1番上の壁に先にタッチした方の勝ちです」
「いいですねぇ……やりましょう!」
この勝負は、インストラクターの勝ちである。当然と言えば当然であるが、
「今のはわざとです。もう1回!」
「いいですよ!」
またも甲斐は負ける。
「花を持たせたんですよ!」
「分かりました、もう1回」
インストラクターの勝ち。
「そろそろ本気だそうかなぁ……」
「分かりました……」
……………勝負する事15回…………
「やっぱり俺の勝ちですね!」
「……もう、負けで大丈夫です……」
「拳人……やり過ぎだよ……」
「何言ってんだ?……やるからには勝つ!…勝てるまで続ける!」
「……次回は、違う方と勝負して下さい……」
この後、甲斐はエリーと夕飯を食べてから帰路に着いた。こちらはこちらで、リフレッシュ出来た様だ。
2人がしっかりと休暇を取っている中、穏やかでは無い男達が居た。喜多と手塚である。2人は池本と徳井から改めてエリックの強さを聞き、スパーリングパートナーとして、自分達のレベルアップを考えていた。
喜多はロードワークに出る。喜多のロードワークに練習生が興味本位で付いて行くが、喜多が戻ってから30分後くらいに戻って来る形となり、戻ってからはトイレに直行して食べた物を戻していた。
喜多はすぐにシャドーボクシングを行い、そのまま徳井が居る時はスパーリング、池本の時はミット打ちを行う。サンドバッグを叩き、筋力トレーニングと現役の頃の練習と変わらない動きをしている。
ここで池本から注文が入る。どうやら、喜多は重りを付けて練習をこなす様だ。スパーリングパートナーとして役割をこなすとなると、大変な様である。
一方の手塚だが、こちらもきつい練習をしている。
ロードワークに出て行く手塚に、練習生が付いて行こうとした。これを篠原トレーナーが止めていた。
「お腹の空いたライオンの檻に、入る勇気が有れば構わないけどね!」
との事らしい。手塚もロードワークの後はシャドーボクシングを行い、徳井とスパーリングか池本とミット打ちをやる。そのままサンドバッグを叩き、見ている方が吐き気を催しそうである。
手塚に対しても、池本から注文が出た。こちらは、マスクをしての練習である。手塚もかなり大変である。
池本は2人のトレーナーにそれぞれ注文を出した。池本なりに、対エリックとしてのスパーリングパートナーとして、彼等を育てるつもりらしい。喜多も手塚も、毎日かなり絞られている。
この2人の練習が、佐伯と甲斐に役立つと今は信じたい。
気合いを入れてるトレーナーの2人……




