2人の休暇……
不思議な出会い?
佐伯も甲斐も、試合が終わり休暇に入った。
池本と徳井はアメリカに行き、色々とやってから帰って来た。この後、池本と徳井は喜多と手塚とそれぞれ話をし、喜多も手塚も佐伯と甲斐への練習メニューを考え直していた。
2人はというと、珍しい人物から連絡を受け、2人は待ち合わせ場所に居た。以外な人物であり2人はそれぞれ別の人物から連絡を受けていたが、待ち合わせ場所は同じ所である。
「拳人、何で居るんだよ?」
「こっちのセリフだよ!」
「俺は待ち合わせなんだけど?」
「俺だって待ち合わせだ!」
2人が話をしていると、
「待たせましたね?」
「悪い悪い!」
渋崎とブラウンが佐伯と甲斐に声を掛けて来た。その後ろに、大きな男が居る。
「2人の待たせてる相手って、佐伯君と甲斐君だったの?」
「「高松さん!」」
石谷トレーナーの高校時代の親友、高松康介が渋崎達と一緒に居る。
「おや?……康介はこちらの2人と知り合いですか?」
「こっちが聞きたいよ……どういう事?…重明叔父さん?」
「「叔父さん?」」
「康介は、私の甥です。康介の父親は、私の兄です」
「え?…そうなんですか?」
「意外な繋がりですね……」
「僕は、康介とは今日初めてなんだけど……話しやすくていい奴だ!」
「……いい奴かどうかは分からないですよ……ブラウンを騙すのは、以外に簡単かな?」
「康介、この2人とは?」
「池本さんのジムのトレーナーが親友なんだ……その繋がり」
「成る程……世の中、狭い物ですな……はっはっは!」
「さて……それじゃあ、俺は……」
「康介、ありがとう」
渋崎は右手を出した。高松はその手を握ったが、少し表情が硬くなる。渋崎も表情が硬くなっている。
「残念だったね……俺は、それなりには身体を動かしてるからね…………孔明叔父さんにも、よろしく伝えといてね!」
高松は渋崎の手を離すと、
「佐伯君に甲斐君、重明叔父さんに付き合ってくれて、ありがとうね!……じゃあ、ブラウンも怪我しないでね!」
高松は軽く右手を上げて、去って行った。
「渋崎先生?」
「参りましたね……1発何かお見舞いしようかと思いましたが……しっかり対応されてしまいました……参った参った」
渋崎は、自分の右手で後頭部を軽く叩いている。
「高松さんて、強いんですか?」
「実は、それなりに名前の通った人とか?」
「はっはっは、康介はハンドボール選手ですよ……最も、我々兄弟の中では才能の塊と言われていましたけどね!」
「渋崎先生、彼は何をやってるんですか?……孔明さんて、もしかして……」
「孔明兄さんは、これから会えますよ……康介は、幼い頃より聡明兄さんに鍛えられてましたからね……一応、柔道のくくりでは有りますが……孔明兄さんの所に行けば、何となく分かりますよ」
4人は、渋崎の案内で渋崎の兄の元に向かった。
電車を乗り継ぎ、とある場所に着いた。
「ここが、目的の場所です!」
何かの道場の様である。入り口に看板が出ている。[久我流古武道]の文字が書かれている。中から、1人の男が出て来る。渋崎より年上の男であり、黒い道着を着ている。
「久しぶりじゃな、重明!」
「ご無沙汰してます、兄さん!」
「ここって……」
「久我って書いて有る……」
「あれ?……2人は知らないの?……渋崎先生は、久我の流れを組んでる人だよ?」
「「!?」」
「はっはっは、内緒にしてましたからね……久我龍皇は私の父親です……孔明兄さんが、現在の正当な跡取りです」
「確かに儂は、久我流古武道の正当な跡取りだが……その2人は?」
「プロボクサーです。これからの試合に、何か役に立てばと思いましてね!」
「まぁ、こんな所で何だから……上がって色々やるとしようかのぅ?」
「はい、ありがとうございます……さぁ、みんな入って」
4人は道場に入る。
道場に入り渋崎は着替えて来ると、孔明の前に立った。
「兄さんの前に立つのは久しぶりだが……構わないよね?」
「はっはっは!…相変わらず甘いのぅ……声を掛けずに仕掛けてくればいい物を……」
「いやいや……久しぶりに会って、それでは……」
渋崎は話しているうちに孔明を掴んだ。
「はっはっは!…甘い甘い……」
孔明は渋崎の右手を掴むが、渋崎は構わず攻撃を続ける。孔明の力を利用しようとする渋崎だが、孔明は巧みに体重移動をしながら渋崎の攻撃を防いでいる。渋崎が孔明との距離を更に近くした瞬間、渋崎は後方へ吹っ飛ばされた。
立ち上がる渋崎、
「やられましたね……」
「あの瞬間に後ろに自分から飛ぶとは……腕を上げたな、見事だ重明!」
「やられて見事とは……しかし、相変わらずですね、兄さん」
「渋崎先生、あの瞬間にどうやって分かったんですか?」
「佐伯さん……説明は要りません。分かる瞬間が有るんです……何故だか分かりませんが、来ると分かる時が……」
「久我先生、今のパンチは?」
「君は?」
「甲斐って言います。全然距離が無かったのに……」
「……1インチパンチなんて言ってる奴が居たのぅ……間合いなんて僅かでも有れば、思いのままに打撃は打てる物じゃよ!」
「思いのまま……」
この光景を見て、ブラウンは少し笑っていた。攻撃に重きを置く佐伯が渋崎に話を聞き、守りを重視している甲斐が孔明に話を聞いている。ブラウンには、さぞかし珍しい光景に見えていた事だろう。
しかし、この時の2人には、確かに自分のレベルアップに必要な物が見えた気がしていた。ただ凄いと感じたのでは無く、それぞれのボクサーとして、とても必要な物を感じた。この事は、この後の2人のボクサーとしての人生に、かなり役立つ物となった。
何やらヒントが有ったらしい……




