表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
心魂拳~共鳴する拳~  作者: 澤田慶次
62/159

佐伯の進歩……

試合は続く……

3ラウンド…………

佐伯は左ジャブを出しながら左に回っていく。先程のラウンドの様に、その動きはかなり速く追い付く事すらなかなか出来ない。そんな高速の動きの中、佐伯は左ブローを出して自分のリズムを作っていく。

ランディは作戦を変える。アウトボクシングだと部が悪いと思ったランディは、セコンドの指示に従い頭を振って前に出て行く。どうやら、インファイトで活路を見出だすつもりの様だ。ランディは距離を詰めながら左ジャブを出し、佐伯に対して直線的に追い掛ける。

佐伯はランディにガードの上から強く左拳を当て、一瞬ランディの動きを止めると距離を詰めた。ランディとインファイトで勝負をするつもりの様だ。

ここで確認したい事が有る。

スピードでは確かに佐伯の方が上であるが、ランディが佐伯に勝る物が有る。パンチ力である。これは、佐伯のセコンド陣だけでなく佐伯自身も分かっている事である。それでも佐伯は、ランディとインファイトで戦う覚悟をした。スリリングな展開になりそうである。

距離が詰まると、佐伯から手を出していく。その回転から素早いパンチの連打が何発も放たれ、ランディ目掛けて飛んで行く。

ランディは最初こそガードを上げていたが、すぐに反撃態勢に入り多少の被弾は覚悟して佐伯に対してパンチを出していく。

リング中央で危険な打ち合いが繰り広げられる……筈であった。

リング中央での打ち合いだが、おかしな光景になっている。佐伯のパンチはスピードこそ速いが、かなり軽いパンチでありランディはガードすらしなくなっている。

対するランディだが、こちらは腰の回転数を上げ相討ちも覚悟してパンチを出している。その速く重い連打のパンチを佐伯は一向に貰わない。1発1発に威力の有るランディのパンチだが、佐伯はカウンター気味に自分のパンチを当てながら、全くパンチ貰わないでこのインファイトを進めている。

佐伯のパンチにランディが少しではあるが、後退した所でゴングが鳴った。


4ラウンド…………

佐伯は左ジャブから前に出て行く。このラウンドもランディとインファイトをやるつもりの様だ。

ランディも左ジャブを出しながら前に出て行くが、動きが少し重い。確かに軽い佐伯のパンチだが、余りに貰った為にダメージが残ってしまったのである。更に付け加えるなら、佐伯は天性のカウンターパンチャーである為に、無意識にランディのパンチに対してカウンターで合わせていた。軽いと思われていたパンチは、実はなかなか威力が有った訳である。

ランディは先程のラウンドと同じ様に、前に出て強いパンチを放っていくが、連打が先程よりも遅くなっている。佐伯はランディの右フックに合わせ、自分の右フックを被せた。カウンターの成立である。

ランディは堪らず2·3歩後退すると、佐伯は更に距離を詰めていく。佐伯はそのまま、ランディのボディにパンチを集めていく。ランディはガードを固め丸くなりながら後退していく。そのランディのガードの上から、佐伯はパンチを何発も打ち付けてコーナーに押し込んでいく。

コーナーに詰まったランディ、佐伯の右フックに合わせて屈伸から伸び上がる様な動きから左のブローを放った。ガゼルパンチである。手塚が使っていたパンチであり、左右逆ではあるが甲斐が前の試合で見せたパンチである。

このパンチに対し、佐伯は上半身を高速で動かし、自分の頭をこのパンチの軌道から外した。そのまま佐伯は、自分の左フックをランディ目掛けて打ち、ランディの頭を打ち抜いた。

ランディは前のめりにゆっくりと倒れる。佐伯はゆっくりとニュートラルコーナーに歩いて行く。

レフェリーはすぐにランディの元に駆け寄ると、カウントを数える事なく試合を止め、ランディのマウスピースを無理矢理に口から出した。すぐに担架が運ばれ、ランディは担架で退場して行った。

4ラウンド1分14秒KO、佐伯は戦績を14戦14勝13KOとした。


インタビュアーがリングに上がる前に佐伯はリングを降り、控え室に戻って行った。

控え室でシャワーを浴びてから着替え、佐伯は観客席に向かう。普段なら甲斐に声を掛けてから向かう所だが、本日はそれをしない。佐伯の中でも、これからの甲斐はライバルとしての認識が強くなっている様だ。

佐伯のこの勝利にセコンドに付いていた喜多は、驚きの表情とご満悦の表情が入り交じった様な顔をしていた。素直に褒めたい所だが、まだまだ先が有る為に複雑な心境の様だ。

そんな喜多を見兼ねて、石谷トレーナーが喜多の頭を軽く叩いた。

「少しは強くなったな?」

「はい、強くなりました!」

この2人の会話は、佐伯には秘密である。

佐伯は足早に、池本達の元に向かった。


佐伯は池本·徳井の所に来る。

「お疲れ!」

「やったね!」

「はい、ありがとうございます……どうでした?」

「まあまあかな?」

「全力じゃなかったから、やっぱりまあまあだな!」

「ばれてました?」

「当たり前だ」

「……試合で、色々試してたよね?」

「そこまで分かってましたか……」

「俺達だけじゃねぇぞ!」

「確実に、もう1人は居るね!」

「……次に試合する、あの馬鹿ですね……」

「正解だな……」

「分かってる様で、良かったよ……」

3人はリングに目線を向けた。いよいよ、メインイベントが始まる。

素晴らしい結果に……

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] さすが佐伯、圧巻の試合でしたね。 これは甲斐へのプレッシャーが高まりますね。 どんな試合をするか、メインを務めるに値するか、楽しみですね!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ