表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
心魂拳~共鳴する拳~  作者: 澤田慶次
6/159

2人の練習……

若い2人は、アメリカの生活も慣れて来た様子。

4月も終わり、5月に入った。だからといって、佐伯と甲斐は変わらない。いつも通りに生活をしている。

アカデミーでは、色々と勉強になっている。特にトレーナーの勉強で、どれだけトレーナーが大変で、どれだけ選手を見ているか、改めて理解していた。

選択格闘技でも、2人には意味の有る物になっていた。


カポエラの授業、佐伯…………

カポエラは基本、足技が中心で蹴りが主体の格闘技である。

また、独特のリズムがありブレイクダンスにも似た動きがある。実際、みんなブレイクダンスが上手かった。

佐伯はこの授業でリズムと足の使い方を覚えていく。早いテンポやわざとずれたリズム等でも、自分の動きを崩さずに行っていく。

ボクシングの試合でも、どんなにリズムを狂わせても対応出来そうである。


合気道の授業、甲斐…………

合気道は護身術の1つであり、実際には先手は無い。これは、講師の渋崎が話していた事であり、戦わなくて済むならそれが1番との事である。

しかし、それが通用しない事がある為に技が必要との事だ。

合気道は静と動がはっきりしている。そして、その動きに淀みがなく全く無駄が無い。最も、渋崎以外にそれを出来る者は居ない。

甲斐はその動きをマスターするべく、授業の時は誰よりも率先して意欲的に動いた。


アルバイトも慣れて来ていた。

2人はホールを任されており、なかなか人気があった。2人はよく、女性に声を掛けられていたが、あくまでアルバイトであり、お金を稼ぐ事が目的の為に上手くかわしていた。

常連の女性客からは誰が最初に2人を落とすか·落ちるならどちらか·という賭け事の対象となっており、レストランはなかなか繁盛していた。


ボクシングでも同じである。

ジムにも慣れ、ロードワークはいつの間にか距離が延び、かなりの距離を走る様になっていた。

ジムワークでは相変わらず切れのいい打撃音を響かせ、ミゲールも納得の様である。

そして、ジムが終わった後のアパートまでの夕飯を掛けたランニングも白熱していた。現在12勝12敗、全くの五分である。1度、エリーがこのランニングに参加したが、途中で置いて行かれ泣きそうな顔で最後にやって来た事があった。どうやらエリーは、この事が悔しくて毎日のロードワークの距離を増やし、密かにリベンジを狙っているらしい。


そんなある日の土曜日、2人はラリオスに言われジムの戸締まりをする事になった。

アメリカと日本の違いは色々あるが、ボクシングジムでもそれは如実にある。

例えば、練習メニューは基本選手が考え、あくまでトレーナーはサポートであり選手は自分の休みまでを考えなくてはいけない。更には、ラリオスのジムは日曜日が休みだが、試合前であってもこれは変わらない。日本だと臨時に開く事があるが、この辺がアメリカらしい。

2人はある程度片付けをした。

「佐伯、少し練習しねぇか?」

「おう、丁度やろうと思った所だ!」

2人はグローブを嵌め、サンドバッグを打ち出した。

時間が経つのも忘れ、2人はサンドバッグを打ち、その後にシャドーボクシングをしていた。

ジムに明かりが付いている為、通り掛かったラリオスがジムに寄る。ラリオスからジムの戸締まりを依頼されてから2時間程経っていた。

ラリオスは窓からそっと覗くと、佐伯と甲斐がシャドーボクシングをしていた。見慣れた光景の筈だが、何かが違っていた。ラリオスは2人のシャドーボクシングを観察していた。

佐伯は、色々リズムを変えながらシャドーをしている。どれもなかなかの動きをしている。不意に右ストレートを放つが、誰に教わった訳でもなくコークスクリューブローになっていた。それも極自然にである。

一方の甲斐は、オーソドックスでシャドーをしながら、流れる様な動きでサウスポーにスイッチし、そこから見事なワン·ツーを放っている。更に、オーソドックスとサウスポーをこまめにスイッチし、攻撃のバリエーションが増えている。

見ていたラリオスは我慢が出来なくなった。ジムのドアを開ける。

「おい!」

「「!?…すいません……」」

「いいから、グローブ着けろ!」

2人はラリオスに言われるまま、グローブを着けた。

「甲斐は軽くサンドバッグを叩いとけ!…まずは佐伯だ!」

ラリオスは佐伯のミットを持つ。佐伯はラリオスのミット目掛け、パンチを打ち込んでいく。

「最後に右!」

ラリオスの言葉に佐伯が反応し、コークスクリューブローを叩き込む。

「甲斐と交換だ!…軽くサンドバッグを叩いとけ!」

今度は甲斐のミットを持つラリオス、甲斐もラリオスのミット目掛けてパンチを放っていく。

「スイッチでワン·ツー!」

甲斐は滑らかな動きからサウスポーにスイッチし、ワン·ツーを放った。そのままサウスポーでのミット打ちをしていると、

「オーソドックスで3つ!」

甲斐はまたもスイッチし、ワン·ツーからの左フックを放つ。

ここでミット打ちは終了となる。

「2人共、いつ覚えた?」

「いや、特には……」

「何となくでやってました……」

「……池本達が夢を見たがる訳だ……佐伯!」

「はい!」

「これからは、体幹のトレーニングを入れていけ!」

「はい!」

「甲斐!」

「はい!」

「お前はサウスポーの練習も入れるぞ……これからは、スイッチとして磨いていく!」

「はい!」

「それとな…………」

「「はい!」」

「休むのも仕事だ!…片付けて早く帰れ!」

「「わぁ、ごめんなさい!」」

2人は慌てて片付けをする。ラリオスは口元を緩めながら見ている。2人にとって、何かが変わりそうな日になった。

この後2人は、恒例のゴチマラソンを行うが、殆ど同時にアパートに到着した。どちらが勝ったかで揉めていると、

「君達は進歩がないねぇ……」

ジョシュに呆れ顔で仲裁されるのであった。

何やらレベルアップの予感……

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 2人の新たな武器が芽生えてきましたね! アルバイトも大人気、強くなるほどファンも増えそうですね!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ