美里の報復大作戦!
何かが有る……
佐伯は川上ジムに行き、甲斐は西田拳闘会に顔を出した。試合の翌日であり、ファイトマネーを受け取り休暇に入る。2人共、しばしの休息である。
ファイトマネーを受け取った2人は、待ち合わせをして食事に行く予定であった。約束した場所に着いた2人、時間は15時である。
「何処に行く?」
「何処でもいいけど……池本さんと徳井さんも誘えば良かったな?」
「確かにそうだな……昨日の試合、意見を聞きたいもんな?」
「あの2人の意見……これから先に、絶対に役立つよな?」
「ああ、絶対に役に立つ!」
そんな話をしていると、甲斐の携帯が鳴る。
「はい、拳人」
「美里です……昴君も近くに居る?」
「え?……居るけど?」
「それは良かった……今から駅前のファミレスに2人で来なさい」
「は?……何で行くんだよ?……俺達は昨日の祝勝会も兼ねて飯食うの!」
「うるさいわねぇ……黙って来なさい!……さもないと、大変な事になるわよ!……もうなってるけど……」
「???……昴も連れて行くの?」
「当たり前でしょ!……2人共来なかったら…………恐ろしい事するわよ……」
「……………………分かりました。すぐに行きます……」
甲斐は携帯を切った。
「どうしたんだ?…顔色が悪いぞ?」
「……お袋が駅前のファミレスに来いって……」
「俺の名前も出てたみたいだが?」
「……2人で来ないと後が恐いって……」
「…………祝勝会でもやってくれるんじゃないか?」
「そんな平和的なお袋じゃないんだが……とりあえず、行かないと後が恐い……」
「考え過ぎだよ……俺も呼ばれてんだ、大丈夫だよ!」
「………………そうだよな?」
「そうだよ!」
「そうだな……気楽に行くとしようか?」
2人は駅前のファミレスに向かった。2人は美里が、きっと祝勝会をやってくれると考えていた。これが、作戦開始の合図だとも知らずに。
駅前のファミレスに着いた2人は、そのままファミレスに入って行く。中に入るとすでに美里は来ており、美里の他にエリーと中谷も居る。祝勝会だと確信した佐伯と甲斐は、そのまま美里達の方に歩く。
「遅かったわね……まぁ、座りなさい」
「はいよ」
「失礼します……って、席がおかしくないですか?」
美里はテーブルの一角に1人で座っており、美里から見て右側にエリーと中谷が座り、左側に佐伯と甲斐が座る形である。美里の向かい席に椅子が2つ用意されている。
「おかしくないわよ……少し待ってなさい。後2人来るから……」
「誰が来るんだよ?」
「もう少し経てば分かるわよ!」
「拳人、何かおかしくねぇか?」
「おかしいとは思うけど……何が有るんだろう?」
佐伯も甲斐も困惑していると、そこに最後の2人が現れた。池本と徳井である。
「悪い悪い、待たせたちゃったね」
「いや~……時間が有ったんで、コンビニで立ち読みしてたんだけどさぁ……」
「池本さん、本に集中しちゃって……」
「結局、本を買って来ちゃった……いや~、参った参った!」
「相変わらずね、純也君!」
「池本ハ、ソコガカワイイ!」
「!?」
「そんな池本さんに付き合う清隆さん、やっぱり素敵!」
「!?」
「全員、揃ったわね?」
「ちょ、ちょっと待て!」
「今の2人の発言、おかしくないですか?」
「ああ、その事か……それなんだけどな……」
「まぁ、今日はその話なんだよね……」
「「!?」」
「まずは、話を聞きなさい。エリーも好美ちゃんも、拳人と昴君が余りにも放っておくから……」
「私から言います……そんな時に清隆さんの優しさが嬉しくて……更に、私の家族は清隆さんのファンだから……」
「私ハ、前カラ池本ノファンダッタシネ……」
「待て待て待て、この流れでいうと……」
「2人は池本さんと徳井さんと付き合うの?」
エリーと中谷は頷く。
「池本さん徳井さん、どういう事ですか?」
「説明して下さい!」
「説明も何も……」
「まんまだよね……そのまんま……」
「2人には、彼女が居るじゃないですか?」
「渡辺さんに豊本さん……2人はどうしたんですか?」
「裕子はさ……エリーの情熱には負けたって……それで、俺もエリーを選んだんだ」
「豊本さんも好美には負けたってさ……そうなったら、応えないと男じゃないよね?」
「そういう事……それで、私が間を取り持つ事にしたの!」
「取り持つも何もないよ……エリー!」
「エリーさんと呼べ……もしくは、池本夫人だ!」
「!?……エリー……さん……」
「何?」
「そうなんですか?」
「ソウヨ!」
「好美!」
「好美さんだろ?……気安く呼ぶな!」
「……好美……さん……そうなんですか?」
「そうなるわね!」
「さて、話は終わったな……これを渡さないとな……」
「そうそう、池本さんとも話してたんだよね……」
池本と徳井は、指輪が入っている様な箱を出した。
「「!?」」
「これをさ……」
「そう、これを……」
「ちょっと待った!」
「俺は認めない!」
「何言ってるのよ……」
「エリーは俺が結婚するんだ!」
「俺だって、好美とずっと一緒に居るんだ!」
「試合の後で、2人を置いてったくせに?」
「俺と徳井に喧嘩売るのか?」
「リングの上で決着付けてもいいんだけど?」
「「!?」」
「……それでも、譲れません!」
「絶対に譲れません!」
「「……ぷっ……あっはっはっはっは!」」
「ちょっと、純也君に徳井君?」
「もう無理です……これ以上は笑いが止まりません……」
「顔が……2人が物凄い顔してますよ…あっはっはっはっは!」
「「!?」」
「…………2人共、冗談よ……」
「冗談?」
「辞めて下さいよ!」
「でも……エリーと好美ちゃんを蔑ろにしたのは本当でしょ?」
「…………確かに……」
「…………反省します……」
「という訳だ……あんまり、俺達を困らせるなよ」
「俺だって、本当は豊本さんと出掛けたかったんだから」
「「すいません……」」
「それより、その箱……」
「指輪ですか?」
「これか?……中身入ってねぇぞ?」
「質屋で俺が買って来たんだ!」
「とりあえず、拳人も昴君も彼女を大切にしなさい!」
「「はい……」」
「純也君に徳井君、悪かったわね!」
「いやいや……たまにはいい薬ですからね……」
「豊本さんには、池本さんから説明して貰ってるので大丈夫です」
「おう、任せろ……しっかり説明したぞ…[女の子に会うから、明日は徳井は会えない]ってな!」
「!?……それ……まずいでしょう?」
「そうか?……しかし、事実だからなぁ……」
「わぁーーーー、池本さんの性格忘れてたーーーー!」
徳井はどこかに電話を掛けながら、孟ダッシュでファミレスを出て行った。
この後、佐伯と甲斐はファイトマネーでそれぞれの彼女にプレゼントを買う事になる。まぁ、一件落着である。
1番の被害者は、豊本への説明を池本に任せた徳井であった。
別名、徳井のとばっちり……
徳井、いじられ方は変わらないな……




