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心魂拳~共鳴する拳~  作者: 澤田慶次
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試合の準備……

試合が近付いて来ました。

9月も半ばを越え、佐伯と甲斐の練習も厳しくなっていく。

スパーリングは相変わらず、佐伯は喜多が、甲斐は手塚がパートナーをやっている。スパーリングに関して言えば、2人は日に日にパートナーを苦しめる様になっていき、少しずつではあるが手応えを感じ始めている。

スパーリングが終われば、後はいつも通りのジムワークである。ミットを打ち、サンドバッグを叩きと2人は練習に没頭している。


10月に入り、減量が始まる。

佐伯は川上ジムである為、徳井と一緒に減量である。徳井は減量が始まるからといって、特には変わらない。池本とのスパーリングやロードワークも普段と変わらない。

佐伯も徳井を見習い、極めて変わらない様に動いている。疲れが残り、肉体的にきつい日が増えてくるが徳井が居る事は大きい様だ。


一方の甲斐であるが、こちらも10月に入り減量が始まる。

西田拳闘会の初試合とあり、西田会長を始めトレーナー陣も気合いが入っている。特に手塚は、気合いが入り過ぎて練習生のミットを長いラウンド行い、珍しく篠原トレーナーから注意を受けていた。

甲斐はというと、周りの音に乱される事無く、自分の事をしっかりとやっている。どうウェートを絞っていくか、ある程度予定を決めている感じである。


10月14日、試合1ヵ月前である。

徳井に関しては、ここでは特に触れないでおく。

佐伯は順調の様である。スパーリングでは、喜多に対し対抗出来る様になっている。ジムワークについても、集中力が途切れる事は無い。

しかし、きついのはここからである。

水分すらストップしなければならない、本当にきつい作業がこの先待っている。しっかりとクリアして欲しいものである。


甲斐の減量も順調である。

スパーリングでは、手塚をコーナーに追い詰める事も出て来た。確かな成長が感じられる。ジムワークについても、甲斐はひたむきに練習をしている。とてもいい傾向である。

また、甲斐のこの雰囲気がジムの空気を作っていく。甲斐自信は気付いて無いのかもしれないが、ジムの代表選手としても成長している証拠である。結果も伴って欲しい所である。


10月25日、佐伯と甲斐の対戦相手が来日した。

2人は空港からジムに直行し、すぐに練習を開始した。2人はそれぞれに、佐伯と甲斐を警戒している様だ。


佐伯は、減量の最終段階である。

水分をストップし、厳しい毎日を送っている。この時、順調にウェートが落ちているとしても、リミットまで達していないと不安になる物である。時に、周りに当たる者まで現れる。

佐伯も例外では無く、精神的にもきつい時期である。

しかし、ここでも徳井の存在が大きい。黙って練習に没頭する徳井、これを見て佐伯も徳井に負けない様に練習に集中していく。

佐伯はリミットまで、1.5kgとしていた。


甲斐も厳しい時期である。水分ストップで疲れも抜けず、睡眠もなかなか取れない。更には、スパーリングパートナーである手塚は手を緩めない。何とも苦しい時期である。

しかし、甲斐は自分のやる事を理解している。どう戦うか、どう身体を作っていくか、自分の中である程度プランが出来ている様だ。

この厳しい時期のスパーリングでも、手塚に対し応戦している。疲労等が溜まっている時にこの動き、期待が持てそうである。

甲斐はリミットまで、1.3kgとしている。


11月1日、川上ジム。

佐伯はスパーリングを行っている。かなり激しいスパーリングになっている。喜多は手加減無しに戦っているが、佐伯は喜多のパンチを貰わなくなっている。ガードをするのではなく、文字通り貰わないのだ。減量も進み、きついこの時期に素晴らしい戦い方である。

その後のジムワークでも、佐伯が手を抜く事は無い。しっかりと練習し、試合に向けて余念が無い。

そして、佐伯は本日リミットをクリアした。試合へしっかりと照準を合わせている。


11月1日、西田拳闘会。

甲斐も手塚とスパーリングをしている。甲斐も減量中とあり、疲れも溜まっている筈だが、スパーリングでは手塚を圧倒する場面も増えて来た。佐伯と同じで、この時期にこの動きは期待が持てる。

スパーリング後のジムワークでも、甲斐は集中力を切らせる事なく練習している。

リミットもしっかりと落ちた。後はやるだけといった感じである。


11月10日、アレクセイ·シウバとガオチャイ·タノムサクの公開スパーリングである。

シウバのスパーリングは、石谷トレーナーが見学に来ていた。

スパーリングは終始シウバが流しており、殆ど参考にはならなかった。石谷トレーナーは頭を右手で掻いて、足早にジムに帰った。

ジムに戻った石谷トレーナーに池本が声を掛ける。

「どうでした?」

「流してて、まるっきりだな……」

「流してか……仕上がりはいいのかもしれませんね」

「身体は作れてたな……後は、きっと何か有るな!」

「何か……トレーナーは察しが有りそうですね?」

「まぁな!」


ガオチャイのスパーリングは、篠原トレーナーと西田会長が見学している。

ガオチャイは頭を振り、前に詰めて速い連打を何度も見せている。なかなか仕上がりはいいらしい。とはいえ、ある程度は流している。なかなか手の内を見せない。

スパーリングが終わると、篠原トレーナーと西田会長は自分達のジムに戻る。その帰り道、

「篠原さん……ガオチャイ、何か有りそうですね?」

「お?…西田君も気付いた?……確かに有るね!」

「何が有るんでしょうか?」

「……大体予想は付くよ!」

「本当ですか?」

「……試合が楽しみだ」

佐伯も甲斐も、セコンドはとても頼もしい。試合への準備は、セコンド陣もばっちりの様である。


11月11日、佐伯と甲斐の公開スパーリングである。

佐伯は喜多を相手に、軽く3ラウンドのスパーリングをする。疲れも抜け、軽快な動きを見せている。

シウバ陣営が見学に来ていたが、佐伯の仕上がりを見て慌てて帰っていった。


甲斐は手塚と3ラウンドのスパーリングをする。ガオチャイ陣営も見学に来ている。甲斐もある程度でスパーリングをしているが、動きやパワーがかなり飛躍している。

ガオチャイ陣営も足早にジムを出ていった。


11月13日、計量日。

佐伯も甲斐も1発で計量をパスした。シウバとガオチャイも計量をパスしている。

計量室を出ようとして、佐伯も甲斐も足を止める。強い視線を感じたからである。2人はそちらに視線を向ける。

その先には、シウバとガオチャイが居た。

シウバは佐伯に冷たい目線を送り、佐伯と視線がぶつかる。青白い炎が上がっている様である。

ガオチャイは甲斐と視線がぶつかる。こちらは、真っ赤な炎が上がっている様である。

喜多は佐伯を、手塚は甲斐を引っ張る様にし、計量室を出て行った。

この後、徳井の会見を見てから全員が帰路に着いた。

明日、佐伯と甲斐のタイトルマッチが行われる。

明日、ゴングが鳴ります。

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― 新着の感想 ―
[良い点] いよいよ初のタイトル戦が来ましたね! まずはここを越えて欲しいですね!
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