日本での出来事……
遂に日本に帰って来た2人……
佐伯と甲斐はラリオスとジョシュと共に、日本行きの飛行機に乗る。
2年半という長い様な短い様な留学であったが、2人には確かな進歩が見られる。日本に帰ってからも、しっかりと歩いていけそうである。
佐伯も甲斐も、アメリカでの生活で少なからず手応えを感じていた。その為に、日本に着くのが待ち遠しかった。
飛行機の座席は、佐伯が通路側となる。行きの飛行機の中で揉めた事をジョシュがラリオスに伝え、帰りは揉めない様に配慮した形だ。
長いフライトを終え、4人は日本に着いた。
「さて、挨拶にでも行くとするか……ジョシュ、悪いがホテルのチェックインを済ませてくれ」
「はいはい、お安いご用さ!」
ジョシュは東京の街中に消えて行った。
「よし、ボクシング馬鹿達に会いに行くか?」
「「はい!」」
3人は、川上ジムの方へ歩き出した。
3人で歩いていると、前に見慣れた人影が2人居る。池本と徳井だ。
「手塚、仕上がって来ましたね!」
「そうだな!」
「楽しみですね?」
「勿論だ!」
「池本さん、現役復帰しないんですか?……今ならウェルター級に復帰して、Sウェルター級まで取れば3階級制覇ですよ?」
「それも有りかもしれないが……ラリオスが惨めになるだろ?……唯一複数階級を制覇した事しか、俺に自慢出来ないんだから!」
「何だって池本!」
ラリオスが池本に声を掛けた。
池本と徳井は振り返る。ラリオスの後ろには、佐伯と甲斐が居る。2人は池本達に声を掛けたかったが、ラリオスは言葉を続ける。佐伯が通訳をする。
「聞き捨てならねぇな!」
「本当の事を言われたからって怒るなよ……」
「ふざけるなよ……俺が居ないと、お前はすぐに変な事を言うからな!」
「俺は本当の事しか言わないよ!」
「この野郎……感動の再会じゃねぇねか?」
「お前に会うのに感動?……迷惑の間違いだろ?」
「この野郎、言わせておけば……」
ラリオスが池本に近付いて行く。
周りは息を飲み込んで見守っている。
ラリオスの右手が池本に伸びる。
「元気そうだな、池本!……相変わらずで安心したよ!」
ラリオスは笑顔で池本の左肩を叩く。
「叩き方が強えよ……お前も変わりが無くて何よりだ!」
池本はラリオスの肩を組んで声を掛けた。
「「今帰りました!」」
「おう……少しは強くなったのか?」
「そのつもりです!」
「まだまだですけど!」
「そうか……明日にでも、徳井にスパーリングして貰え……自分達の位置が分かる!」
「「はい!」」
「俺はいいですけど、2人は大丈夫?……疲れてないの?」
「「大丈夫です!」」
5人は話をし、佐伯と甲斐は実家に帰って行った。
ラリオスは池本と徳井に声を掛け、この後ジョシュも交えて夕飯を食べる事になった。
佐伯は久々に実家に帰る。
「ただいま」
「お帰り、アメリカはどうだった?」
「お兄ちゃん、お土産は?」
佐伯を最初に出迎えたのは、母親と妹である。
「疲れたから、とりあえずは飯にしてよ……お土産は後で渡すよ……」
佐伯はそう言って、中に入って行く。
「ただいま、親父」
「おう……少しはいい顔になったな!」
「そうかい……元々の素材がいいしね!」
「まぁ、俺の息子だからな!」
佐伯が父親と話していると、夕食が運ばれて来る。久しぶりに一家団楽である。
甲斐も実家に戻る。
「ただいま」
「お帰り……純也君は?」
「……1人で悪いかよ……」
「何してんの?…純也君連れて来ないとダメでしょう?」
「何でだよ!」
「あんたは馬鹿ねぇ……純也君にお金出して貰って、お礼するのは当たり前でしょう?」
「最初に挨拶はしたよ……」
「久しぶりに帰ったんだから、母親の願いくらい察知しなさいよ!」
「……無茶言うなよ……」
「本当にどうしようもないんだから……とりあえず上がりなさい、ご飯にするから」
「はいはい……」
甲斐は上がると、いつものテーブルに座る。美里が料理を運んで来る。
「純也君が来ると思って、いっぱい料理作ったのに……」
「息子より池本さんて、おかしいだろ!」
「あんたはどうせ、彼女の方に行くんでしょ!」
「???」
「アメリカでいい人見付けたんでしょ?……そうじゃないと、こんなに頑張れないもんね?」
「うっ…………」
「全く、たまには私の喜ぶ事をして欲しいわよ……」
「……………………」
「あなたの彼女が来る時、純也君が来なかったら交際は認めません!」
「おいおい、それは無理が……」
「認めません!」
甲斐は美里の迫力に言葉を返せず、黙って夕飯を食べていた。
ラリオスは池本·徳井を連れ、ジョシュと落ち合う。
「お待たせ!」
「やぁ、池本と徳井も一緒なんだな!」
「お誘いを受けまして……」
「ロートルラリオスからの誘いだろ?……いつ迎えが来るか分からないから、断れねぇよ!」
「……口の悪さがパワーアップしたな……今すぐぼこぼこにしてやろうか?」
「いいのか?……俺との差を痛感する事になるぜ?」
「言いやがったな?」
「ストップだ!……とりあえず、夕食でも食べよう……ラリオス、佐伯と甲斐に言えないよ……徳井は何で嬉しそうなんだ?」
「いや~……この2人見てると、仲がいい程喧嘩すると思ってさ~……」
「それは言えるけど、少しは周りを気にして欲しいよ……」
「待て待て、ロートルと俺を親友の様に言うな!……どっちかって言えば、主人と召し使いだろ?」
「勿論、池本が召し使いだからな!」
「俺に歯が立たなかったお前が召し使いだ!」
「ふざけるな!……ちょっとだけ、お前に運が有っただけだろう?」
「出た!…負け惜しみ!」
「事実だ事実!」
「はいはいはい、仲がいいのは分かったからさ……ご飯食べに移動移動……君達に付き合ってたら、夕飯にありつけなくなっちゃうよ……」
「それは同感ですね……はいはい、行きましょう」
ジョシュと徳井に急かされ、ラリオスと池本は渋々言い合いを辞めて食事に向かった。
何はともあれ、佐伯と甲斐は日本に戻って来た。
これからの2人、色々とやらかしそうである。
ラリオスと池本は仲がいいのか悪いのか……




