さらばアメリカ……
試合も終わり……
試合が終わった佐伯と甲斐、翌日にジムに顔を出しラリオスとミゲールに会う。
「なかなかいいファイトだった!」
「ナイスKOだったね!」
「ありがとうございます」
「少しは強くなれました」
「そうだな……まぁ、これからが本番だ……しっかりやっていかないとな!」
『はい!』
「聞いただけだけど……池本は厳しそうだね?」
「確かに厳しいですけど……」
「自分がやっちゃうからなぁ……」
「あの馬鹿なら、そうかもしれんな……とりあえず休め、28日にはアメリカを出発するからな!」
『はい!』
「ミゲール、ありがとう!」
「ちゃんと、俺達の試合…見に来てよ!」
「言われなくても見に行くさ……俺の生徒でもあるからな!」
『はい!』
2人はファイトマネーを受け取り、ジムを後にした。
2人でブラウンと渋崎の所に向かう。本日は合同練習との事で、渋崎の道場にみんな集まっている。
「やあやあ、2人共良く来たね!」
渋崎が迎え入れてくれる。
「佐伯も甲斐も凄いじゃないか?…世界ランカー相手にKO勝利だもんね!」
「まぁ、俺は予定通りでしたけど……」
「計量の時に騙されそうになったくせに!」
「あれはわざとだよ!……拳人も分かってねぇな~……だから危ねぇ試合するんだよ!」
「お前は馬鹿か?……俺のが完勝だっただろ?……お前はもう少しで逆になってたんだからな!」
「出た!…必殺僻み!……みっともねぇな~……」
「この口だけ男め!」
「相変わらず、君達は変わらないなぁ……」
「成長したかと思えばこれですか……2人の事が良く分かりませんな……」
佐伯と甲斐は頭を掻く。
「所で、今回の試合で何か感じた事は無いかな?」
「2人の感じた事を聞きたいですな?」
「俺は……相手の攻撃の中心に行く程、安全地帯だと思いました。だからこそ、攻撃こそ最大の防御だと感じました!」
「台風の目は穏やかですからね……」
「佐伯らしいね……甲斐は?」
「俺は……打たれない事の大切さを感じました。防御こそ最大の攻撃って感じですかね?」
「甲斐らしい発言だね?」
「後の先ですね……ボクシングという格闘技なのに、面白い答えですね……まぁ、2人なりに成長はしているという事ですね」
「まだまだこれからですけどね」
「先は長いですけど、俺達の決着の時は来て下さいよ!」
「必ず行くよ……腑抜けた試合したら、思いっきり蹴り飛ばすからね!」
「はっはっは、ブラウンさんも結構結構……私は、日本に行く時もありますので、意外に再会は早いかもしれませんな!」
この後、練習生も交えて話は盛り上がった。
佐伯と甲斐は、アパートまでを一緒に歩いていた。
「ちょっと、私達には挨拶も無いの?」
「酷いと思うんだけど~!」
エリーと好美が立っていた。
「拳人、私に挨拶無い訳?」
「挨拶って……そのうち日本に来るんだろう?」
「そうだけど……すぐって訳じゃないんだけど?」
「……まぁ、待ってるよ……どのみち、俺にはボクシングしかないからね……」
「必ず日本に行くからね……池本にもよろしく伝えておいてね!」
「…………それが有ったか……」
「何?」
「……いや……なんでもない……」
「拳人、もう尻に敷かれてるのか?」
「うるせぇな!」
「昴、私に挨拶無いの?」
「好美そろそろ日本に帰るんだろ?…時期的にはぴったりだと思うんだけど?」
「でも……私は6月まではこっちだよ?」
「あっという間さ……それまでに、もっと自分を磨かないとな……」
「??」
「好美に、久しぶりに会ってがっかりしたなんて言われない様にな!」
「うん!…私、日本に帰えるの楽しみにしてるね!」
「おう!」
「昴……キザ過ぎるだろ?…好美さん、こいつは女に慣れてるから気を付けて!」
「拳人なんて、女の人見たら鼻の下が伸びてるじゃねぇか?」
「伸びてねぇ!」
「俺だって、慣れてねぇ!」
「ほぅ……詳しく話を聞きたいですね……拳人さん?」
「私も詳しく聞きたいなぁ……昴さん?」
「「!?」」
この後、佐伯も甲斐も2人からかなり責められる。どうやら、2人共に尻の下に敷かれるのは決定の様である。
この後2人は、自分のアパートに戻り荷物をまとめる。
いらない物は捨て、なるべく少ない荷物で帰ろうとしている。元々荷物は多くない2人だが、それでも捨てる物は結構有った。
荷物整理やアカデミーの面々に挨拶をしているうちに、時間はあっという間に過ぎて行き、2月の最終日になっていた。
空港に向かう佐伯と甲斐、一緒にラリオス·ミゲール·ジョシュが居る。
「日本に帰っても、君達の活躍に期待してるよ!」
「任せて下さい!…絶対に結果を出します!」
「試合見に来て、がっかりはさせませんよ!」
「頼もしい発言だな……口だけにはなるなよ!」
「当たり前ですよ!…口だけだと、怖い人が居ますから……」
「確かに……恐怖の大王が居るので……」
「池本の事だね?……なかなか酷い言われ様だね?」
「ジョシュ?」
「何で分かったの?」
「ジョシュは意外に、池本と仲がいいんだ」
「「そうなの?」」
「ふっふっふ……池本に告げ口しよう…この間のお返しだ!」
「ジョシュ、それはないよ!」
「そうだよ、あれは冗談だって!」
「……聞こえないなぁ……」
なかなか楽しい話をしている。
空港に着くと、みんなで空港に入る。搭乗手続きを済ませ、一旦ロビーに集まる。
「時間だね?……2人共、元気でね!」
「「はい、ありがとうございました!」」
「さて、行くか?」
「そうだね!」
「待て……ジョシュも行くのか?」
「僕が居ないと、池本の通訳が居ないからね!」
「佐伯と甲斐が居るだろう?」
「俺達はほら……」
「練習忙しいから……」
「そういう訳で、留守番は頼んだぞ!」
「よろしくね、ミゲール!」
「おかしいだろ?…なら、俺も連れてけ!」
「いやいやいや……お前は別れの挨拶しただろ?」
「何だか、感動の1場面してたじゃないか?」
「そうかもしれないが……」
「まぁ、しょうがないな……ミゲール、俺は会長だ!」
「僕は会長からの命令だからね!」
「しょうがないよ、ミゲール!」
「人間、諦めが肝心だよ!」
『じゃあ、そういう事で!』
「裏切り者共め~……」
4人はミゲールに軽く手を上げ、国際便の方に消えて行った。
ミゲールは1人残され、物凄い表情をしていた。
(この恨み、必ず晴らしてやる……)
ミゲールの密かな決意が生まれた。
遂に日本に戻ります……




