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心魂拳~共鳴する拳~  作者: 澤田慶次
29/159

佐伯の戦い……

最初は佐伯から……

試合当日、佐伯と甲斐は2人で会場入りをした。

かなり早く会場入りした事で、時間はたっぷりと有る。2人は着替えるとゆっくりしていた。

そこにラリオスとミゲールが来る。

「落ち着いてるな?」

「ここまで来て、じたばたはしないですよ!」

「やる事は決まってますからね!」

「頼もしいな……」

「しっかりと結果を残そう!……ここで勝利して、大手を振って日本に帰ろうか?」

『はい!』

「時間を確認しながら、しっかりアップしとけよ!」

「勿論!」

「抜かりは無いです!」

ラリオスとミゲールは控え室から出て行った。

佐伯と甲斐は話しをしている。

「昴、作戦は?」

「そうだなぁ……手の位置に惑わされない事だな……それより拳人は?」 

「俺はだな……狙っているパンチを貰わない事だ」

「お互いに、やる事は分かってるな?」

「おう、絶対に勝つぞ!」

2人は改めて声に出す事で、試合で何をするのかをはっきりとさせた。


試合が始まり、どんどん進んで行く。

本日は判定が多く、試合時間が延びている。こういう時のアップは難しい。自分の試合開始の目安が立たず、なかなか精神統一が出来ないからである。

しかし、佐伯と甲斐はしっかりと準備している。まだまだ続くボクサーとしての長い時間から比べれば、このくらいは何とも無いのかもしれない。

ラリオスとミゲールが控え室に現れた。

「さて、出番だ……」

「はい!」

「勝って、しっかりと自分の強さをアピールして来い!」

「はい!」

「しっかりと見てるからね!」

「はい!」

「必ず続く、絶対勝て!」

「任せろ!」

入場の合図が入り、佐伯は控え室から出て行った。


青コーナーより佐伯が入場する。

佐伯は花道に姿を表すと、1発だけ確かめる様に左ジャブを放った。その後でゆっくりと花道を歩いて行き、リングに上がる。

佐伯は観客席に頭を下げた。

続いて、赤コーナーよりナッシュ·ゴルドーが入場して来る。

ゴルドーは頭からタオルを被り、周りから顔が見えない状況でリングに上がる。リングに上がるとタオルを外すが、その表情が少し冴えない。

佐伯はこれを見て、昨日の計量での出来事を思い出していた。

(騙されるかよ……)

佐伯は静かにゴルドーを睨んだ。

選手紹介の後、リング中央でレフェリーより注意事項を受ける。一旦、お互いにコーナーに別れる。

「カーン」

ゴングが鳴る。


1ラウンド…………

佐伯は左ジャブを放ち、左に回って行く。先に先に、自分から仕掛けていくつもりらしい。

ゴルドーはサウスポースタイルに構え、右ジャブを放ちながら佐伯に近付いて行く。

佐伯が左に回る分、ゴルドーは距離を詰め易いらしく開始早々に佐伯の懐に潜り込む。そのままゴルドーは佐伯に右ボディを放つつもりだったが、佐伯の右のショートフックがゴルドーを先に捉えた。ゴルドーが佐伯の懐に入って来るのは、佐伯の作戦だったらしい。

佐伯の右を貰ったゴルドーは一瞬動きが止まる。

佐伯はそのまま細かいパンチをゴルドーに放っていく。

ゴルドーはガードを固め、佐伯のパンチをガードするが佐伯が止まらない。次々にパンチを叩き込む佐伯、ゴルドーはガードしながら後退していく。

ゴルドーが相討ちを覚悟でパンチを出した瞬間、佐伯はバックステップをし外から左を放り込んだ。

ゴルドーのパンチは空振りとなり、佐伯のパンチはしっかりとゴルドーを捉える。ゴルドーの顔が何回か跳ね上がる。

ゴルドーが再びガードを上げると、佐伯は距離を縮め細かいパンチを放っていく。

ゴルドーはガードしながら頭に来たらしく、ガードを解いてパンチを放ち出す。

佐伯は距離を取り外からパンチを当てていくが、ゴルドーは佐伯のパンチはお構い無しである。佐伯のパンチを浴びながら、ゴルドーは前に出て来る。

このゴルドーの動きに佐伯は警戒心を強め、無理に打ち合いに付き合わない事にした。左ジャブを放ち距離を取りながら、試合をコントロールしていく。

ゴルドーは佐伯のパンチを喰らっても怯まず、前に出て佐伯を追い掛ける。

佐伯がゴルドーのパンチをかわし、自分の左フックを当てた所でゴングが鳴る。1ラウンド終了である。


2ラウンド…………

佐伯は先程と同じ様に、左ジャブから左に回って行く。

ゴルドーは余程頭に来たのだろう。右ジャブを放ちながら前に出て来るが、その勢いが凄い。佐伯のジャブを己の額で受けながら、強引に前に出てパンチを放って行く。

逆に佐伯は冷静であり、ゴルドーが出た分だけ下がりしっかりと距離を取りながら試合を進める。佐伯の動きは切れている。

ゴルドーは佐伯にパンチが当たらないと分かると、ギアを1段階上げる。頭を振りながら、スピードを上げて佐伯を追って行く。

それでも佐伯は、ゴルドーのパンチを被弾する事無く試合を進めて行く。さながら闘牛士の様に、華麗にゴルドーのパンチをかわしながら自分のパンチを当てていく。

試合が進むに連れ、ゴルドーの顔が赤くなっていく。どうやら、思い通りにいかない事でゴルドーの血が更に頭に登っている様だ。

ゴルドーは左右のパンチを大きく振りながら、佐伯を追って行く。

ここで少し様子が違って来る。

今までの佐伯なら、カウンターを合わせて試合を優位に進める筈だが、今の佐伯はゴルドーのパンチをかわしながら、外から的確に自分のパンチを当てるだけである。

これには理由がある。ゴルドーは前に出ながら、スタイルをスイッチして佐伯を追っている。これが佐伯がカウンターを狙わない理由である。

佐伯は、ゴルドーのサウスポーのタイミング等は覚えたがオーソドックスのタイミングは取れていない。更に言えば、そのサウスポーにですら試している状態である。

佐伯は慎重に試合を進める。

ゴルドーの右のパンチを佐伯はかわし、自身の右フックをゴルドーに当てた所でゴングが鳴った。2ラウンド終了である。

試合は続く……

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― 新着の感想 ―
[良い点] まずは佐伯からですね! 今のところは、順調に自分のボクシングができていますね。
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