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心魂拳~共鳴する拳~  作者: 澤田慶次
24/159

続く戦い……

アメリカに来て大分経ちました。

佐伯と甲斐は、毎日練習している。当たり前ではあるが、この毎日の練習をどれだけストイックに出来るかでボクサーとしての純度が変わって来る。2人は毎日の練習を妥協なく行っている様だ。

そんな2人の生活も少しだけ変わって来た。

トンプソンとバンナと対戦した辺りから、2人の会話は相変わらず揉める事はあるが、決着を付ける云々等の言葉は無くなっていた。多分、迂闊に言えないくらいにお互いがあの試合を高く評価しているのだろう。

それは、練習でも如実に現れる。

佐伯も甲斐も、隣でサンドバッグを叩く事は多いが、どちらも先には辞めない。黙っていると、ジムが終わるまで打ち続けそうである為、ミゲールが時間を見計らって2人をサンドバッグから引き剥がす。

サンドバッグでこれである。その他についても、2人は競い合う様に練習していく。

ロードワークはジムにどちらが先に帰って来たかで揉め、ミット打ちは必ず、後に行った方が延ばす様に依頼をする。

筋力トレーニングにしても、2人は競ってこなしていく。

2人はお互いに刺激し合い、刺激し合う事でより厳しい練習をしている。今の所は、いい感じである。


性格の違いは現れる物である。

ボクシング以外の所で、佐伯と甲斐はかなり違っている。

基本、足元をしっかりと見つめじっくりと物事を進める甲斐、石橋を叩いて渡るを通り越し[石橋を叩いて違う道を選ぶ!]様な感じであるが、好奇心旺盛で何でも自分から飛び込んで行く佐伯は、差し詰め、当たって砕けろ精神である。最も、佐伯の場合[当たって砕けろ、砕けねぇけどな!]的な考えの様に感じる。

2人は良くも悪くも、考え方が反対である。だから、休日の過ごし方にも当然違いが出る。

切り替えが早く、リフレッシュして次の試合に望む佐伯に対し、反省と振り返りを何度も行い、同じ失敗を繰り返さない様に練っていく甲斐、どちらがいいとは言わないが、これだけ違うのはある意味珍しい。そんな2人だから、お互いを意識するのかもしれない。


2人がお互いを意識し、ライバル心剥き出しで練習をする事により、ラリオスのジムの雰囲気は凄い事になっていく。

佐伯と甲斐は、ラリオスのジムでは有望株になっているが、元々居るジム生も佐伯と甲斐に負けない様に必死で練習する。

2人が意識して激しく練習する度に、周りのジム生も釣られて厳しい練習をしていく。

いつの間にか、ラリオスのジムの選手は連戦連勝していた。

2人がこのジムに来た効果であるとミゲールは喜んでいたが、ラリオスとしては2人が来た事で他の選手の甘さが露呈した為、複雑な心境の様だ。

しかし、確実に2人はボクサーとして歩みを進めていた。


2人の成長を楽しそうに見守るのは、他にも居た。渋崎とブラウンである。

ブラウンは佐伯を、渋崎は甲斐を見守りながら、時々合同で練習をする様になった。

お互いの門下生達にも刺激になるらしく、練習は物凄い熱気である。

勿論、お互いの門下生同士で立ち合いも行う。

なかなか激しい物になり、渋崎もブラウンも満足している。

「佐伯と甲斐でやれよ!」

「見てみたいな!」

「俺は佐伯に賭けるね!」

「何言ってんだよ、甲斐だろ?」

こんな会話が門下生達から出るが、その度に渋崎とブラウンが、

「2人はまだ、未熟ですからね」

「2人の戦いは、まだまだ先だね」

と言って、立ち合いをやらせなかった。

それでも、やはり2人は合同練習の中心であり、存在感を表していた。


意外な事があった。

何と、エリーと中谷が初めて会った時、意気投合したのだ。

佐伯も甲斐も、2人は喧嘩になるんじゃないかと心配していた。どちらも気が強く、なかなか素直に言う事を聞かない。

絶対に衝突すると思っていたが、

「あなたが好美?」

「エリーだね?」

2人が初めて会って最初の言葉を交わすと、後は何年も前からの知り合いの様に話が弾んでいた。話の内容は佐伯と甲斐の文句であったが、それは致し方無い。

2人が仲良くなった為、佐伯と甲斐は4人で出掛ける事が増えた。

出掛ける度に、佐伯と甲斐は揉める事が度々あったが、そこは手を組んだ彼女連合に押さえ付けられ、酷い時はその場で説教をされる。すでに尻の下に敷かれている感じだ。

とはいえ、2人は楽しい時間を過ごす事も出来ていた。


2人が変わった事といえば、お互いの部屋に行き来する様になった事だろう。

最初のうちは、意地を張っていてなかなかお互いに行動は出来なかったが、トンプソンとバンナの一戦以降、2人はお互いの部屋を行き来する様になった。

近い階級のチャンピオンの試合や世界ランカーの試合のビデオを見て、こいつの攻略法はああでもない、こうでもないと言い合っていた。口では相手に文句を言いながら、お互いがお互いを認め始めているらしく、その意見はお互いに参考になっている様だ。

しかし、この2人が素直になるには、まだまだ時間は掛かるだろう。

とはいえ、空いている時間もボクシングの研究をし、息抜きからもボクシングのヒントを得ている。2人が強くなる筈である。

そして、絶妙のタイミングで彼女連合が2人を外出に誘う。色々と上手くいっている様だ。

気が付けば、2人がアメリカに来て2年半を過ぎ様としていた。

日本に帰る日が近付いて来ました。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 2人はかなり甘さが抜けてきましたね。 彼女達もよい動きしてますね!
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