光
その日の夜、ユメヒちゃんの事をいろいろ思い返していた。
ユメヒちゃんの家は、代々奇形児や白痴の子が生まれ、そのような子は神?の生贄として早死するらしい。
だから星空観察の話のとき、黙ってしまったんだね。
…生きられないの?
その家は、その神によって栄えているらしい。
ユメヒちゃんは本当は家から出てはいけないらしいが、敷地内だからという事で、こっそり散歩しているとのこと。
ということは、お家はこの山の所有者さんだね。
プレゼントの栞は、世話係のばあやさんが老人会で作ったものが何枚かあって、貰ったものらしい。
自分の事は誰にも知られたくないから、できれば秘密にしてほしいとのこと。
ユメヒちゃんと会えて、仲良くなれて嬉しいけど、つらいような悲しいような、何とも言えない気持ちになった。
私はユメヒちゃんと精一杯仲良くしよう。
優しくしよう。
ユメヒちゃんが護られますように神様にお祈りしよう。
(ユメヒ…コ視点)
今日もこっそり抜け出したつもりだけど、何も言わないばあやは気付いているはず。
この家で唯一、優しくしてくれるばあやに迷惑かけたくないけど。
もう少しだけ、たった一人の、初めての友だちと会うのを許して…。
何もなかった虚しいユメヒコの心に、優香を通して、いろいろな色彩が光となって差し込んできた。
今日描いた、真っ白なスケッチブックの小鳥たちのように。
まだ少し生きられるなら、もう少し小鳥を描いて増やしてみよう。
ユウカさんの思い出も、もう少し増やしてみよう。