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忘れな草といちご飴  作者: ねこにさかな
3/5

秘密の写生会

今日も晴れたので、朝早くから支度して、自転車漕いで例の本来立入禁止の忘れな草の所に来た。

「今日は会えるかな。」

はりきって、二人分のスケッチブックと鉛筆、水彩色鉛筆やクーピーを持ってきた。

おやつもいちご飴や個装されたイチゴチョコを持ってきた。


浮かれ気分で張り切り過ぎだよ、私。

大体ユメヒちゃんはお絵かき好きかわからない言ってたし。

あと私が一方的にユメヒちゃんが好きになって、強引に誘って迷惑に思われてたら…

静かな風が緑の香りを運んでくる。風が吹くたび、さわさわ草木のなびく音が聞こえる。野鳥もいるのだろうか、澄み渡るような鳴き声も聞こえる。

景色をぼんやり見ながら、しばらくこんな考え事をしていたら、「…こんにちは…ユウカ…さん…」と、鈴の音のようなかわいい声がした。

振り向いたら、木の影に隠れた白いのがチラッと見える。もう怖さはない。かわいい。

「わあーい‼︎ユメヒちゃんっっ⁈来てくれたんだー。ヤッホー‼︎」

もう私の方が年下のようなはしゃぎ方をして、隠れてる友の方に駆け寄った。小学の私は礼儀も作法もなってない。また会えた嬉しさで、そんなものは吹き飛んでしまった。


友の格好は、昨日よりも斬新さがアップしていた。

死装束に白いクロックスは昨日と同じだったが、その上に白いダボダボなパーカーを着込んでいた。フードもしっかりかぶっている。

そして何より、目だけ隠すような白い仮面?を身につけていた。元々整った美しい顔立ちだからか、そんな斬新な格好がしっくりと似合っていた。

「昨日は薄着だったもんね。今日は暖かそうだね。」

「…うん。」

ユメヒちゃんは俯きながら、小さく頷いた。

よく見ると、はにかんでいる様な嬉しそうな表情に見える。

多分嫌われてない。心から嬉しくなった。


早速、昨日スケッチした場所に座り、持ってきた画材を広げた。昨日ラフに鉛筆で描いたものに、色を乗せたかった。あの妖精の棲家のような草花と光をうまく再現できるかな?

ユメヒちゃんに新品のスケッチブックを渡し、「色鉛筆もクーピーも、好きに使っていいよ?別にスケッチじゃなくても、何でも描いてみてね。」と、またもや強引に絵描きを強制した。

私は水彩色鉛筆で鉛筆で描いた所に色を乗せ、持ってきた水入れに水筒の水を少し入れ、筆で色を広げたり、ぼやかしたりしてみた。

ユメヒちゃんはその様子を興味深そうにじっと見ていた。自分のスケッチは何も進んでないようだった。

忘れな草もアップで描いてみた。こちらは初めから色鉛筆で仕上げてみた。

「…きれい。」

ユメヒちゃんが話しかけてくれた。

私の腕は、昔美大生だった祖母が手ほどきしてくれたものだ。小学生にしては上手な方なはずだ。

おばあちゃん、ありがとう。





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