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少女の目覚め(2)


「……ぅ、ん………?」


今まで感じたことのない暖かさと心地の良さを感じながら目を開ける。

あれ、今何時だろう。

フェレベティシア軍を追い返したから、しばらくは安全なはずだけど――


「え」


視界に飛び込んできた情報が信じられず呆けた声が漏れる。

いつも寝ているボロボロの仮眠室ではない……?

天蓋付きのふわふわベッドから始まり、上質なものだけで飾られた部屋。

―――ココどこだッ?!

どこの国に世界大戦中にこんな豪華な暮らしをする奴がいるんだよッ!

愚王のいたベスファチアだってもっと………


「あれ、私…生きている………?」


状況確認をしていたせいで忘れていたけど、なんで私、生きているんだ?

あのクソ大魔法のせいで、氷漬けになったはずじゃ……

あー、もしかしてまた転生した?二回目の転生?

三回目の人生スタート!的な感じなのかな?

それとも――


色々な可能性が頭に浮かんでは消えていく。

召喚、転移、天国、地獄…といった案から、隣国の捕虜になった、とか、幻惑魔法を受けている…等々。


(ううん、考えていても仕方ない。取り敢えず自分の姿を見てみよう)


そう決意して部屋を見渡すと、少し離れたところに鏡台が見えた。

考えるより行動!と無駄に広いベッドから床へ足を降ろす。


(……あれ?何かおかし………)


「あ!目が覚めたんだね!気分はどおう?」


自分の見ている光景に違和感を覚えていると、急に扉から無邪気な声が聞こえた。


バッと目を向けると、ニコニコと笑う少年が目に入る。

異世界特有の鮮やかな空色の髪に綺麗なエメラルドの瞳。年齢は九歳といったところだろうか。


「え?あ、あの。気分は…悪く、ない。けど……」

「そっか。よかったぁ!ずっと目が覚めないから心配していたんだ。今メイドを呼んでくるからちょっと待っていてね!」


そう言い残すと颯爽と廊下へ消えていく少年。

―部屋に残されたアミスはポカンと呆けていた。


「あ、それより状況確認ッ!」


八ッと我に返ると勢いよく立ち上がる。

――が。


「きゃぁっ!?」


前に向かって足を進めるどころか、立つことすら不安定極まりない。


(え、なにっ!?歩くのってこんな難しいことだったの。さっきの少年とか走っていたけど、実は超すごい子なの!?)


無邪気に笑う少年を思い返してみる。

戦争中にはありえないような実用性を無視した綺麗な服装。

やっぱり、二回目の転生……?

でも「目が覚めた」ってあの子は言っていたし…。


悶々と悩みながら、壁伝いに鏡台へ急ぐ。

三分もかけて、なんとか鏡台までたどり着き鏡を覗き込む。

そこには――


「あれ…?私だ」


見慣れた私の顔が映っていた。

長く伸びた白銀髪の髪、血を連想させる真紅の瞳。前世とは似ても似つかない美貌。

でも、どこかおかしい。

どことなく違う感じがする。

そう、それはさっきからずっと感じている違和感――


「こらこら、病み上がりのお嬢ちゃん。大人しく寝てなきゃダメでしょう!」

「きゃぁ!」


違和感について考えていたせいか、背後からきた女性に気づかず抱き上げられる。


「うわぁ、軽いねぇ。今ご飯持ってくるから、たくさん食べなね!そうじゃないと大きくなれないぞぉ!」


私を軽々と持ち上げてベッドまで運ぶメイド。


ってか、大きくって!

やっぱり、私………


「お嬢ちゃん今七歳くらい?可愛いねぇ~」


小さくなっているぅぅぅぅううう!?




To be continued………

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