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少女と家族計画


「さあアミス。できたわよッ!」


はぁ、ようやくか…という愚痴を噛み殺して鏡を覗く。


「………!」


鏡の中には様々な青と白の豪奢なドレスを身に着けた少女が一人。

目の瑠璃や髪の白銀と相まって、幻想的な神々しさを醸し出している。


「うん!可愛いわぁ!折角のパーティーですもの、楽しんでらっしゃいね!」


とん、と背中を押されて部屋を出る。

前世でも三千年前でも着たことのない豪華なドレスを棚引かせて玄関へと向かう。

着慣れていないせいか歩みが遅い。

ハイヒールで床を踏みしめながら思い出すのはつい一週間前のこと―



**



「え…?ノトス王国の護衛、ですか?」

「あぁ、二か月後に王族と二代公爵家でノトス王国へ行く。その時の殿下たちの護衛をレグルとお前に任せようと思ってな。ラヴィレント殿下やグレン殿下と仲が良いのだろう?」

「まぁ…はい」


まぁ確かに、一週間に二回以上お茶をする仲だ。

何気ない日常の話、訓練の話、不思議と話題が尽きない。

それに、最近ではラヴィル、グレン、レグルに加わってキースも一緒にお茶を飲むようになった。

いやぁ、これは嬉しい。


ほわほわと喜びの波に揺られていると、レイフォンドさんが爆弾を落とした。


「そろそろレグルの護衛任務も終わりになる。そこでアミスに…」

「えっ!?ちょ、ちょっと待ってくださいッ!」


今、重要なことを流さなかったッ!?


「む?なんだ」

「れ、レグルの護衛任務終わりって……」

「あぁ、アイツも大分強くなった。レグルが幼いから護衛をつけていたが、もう必要ないだろう」


確かにレグルは強くなった。

それはもう五百の兵と戦っても生き残れる程度には。

…じゃあもうレグルとは―


「そこでな、アミス。お前に養子に入ってもらおうと思う」

「……………はい?」


え?容姿?用紙?要旨?洋紙?ヨウシ?YO・U・SI??


「お前の強さは失うには痛い。国にとっても大きな痛手となること間違いなしだ」

「…」


まぁ、国一強い自信はあるんだよなぁ。


「別に戦闘メイドにしても良いが…養子に入ればレグルや殿下たちとも今まで以上に気軽に話せるようになる。殿下たちに危険が及んだらお前が付いている故安心。賊も狩れる。一石三鳥だろう?」


…確かに。

公爵令嬢に何を求めているのか分からんが、win-winってやつね。


「はぁ、了解しました」

「お前はレグルの姉、フレムとクーゼの妹という立場になる。アイツらにはもう話は通してあるから、よろしく頼んだぞ」


なんだ。もう外堀は囲まれていたわけね。

それに、レグルと家族になれるのも悪くないし…


「それで、護衛の話に戻りますが。南の島国、ノトス王国に公爵令嬢として参加。ラヴィルとグレンの護衛をすれば良いんですね?」

「あぁ。道中、宿泊中くれぐれも離れないように。詳しいことは日を追って説明する。とにかく、今のアミスの任務は公爵令嬢としてのマナーを一週間後のお披露目パーティーまでに完璧にすることだ」

「はぁ?!一週間後ッ!?!養子の話、もうとっくに拒否権なんてなかったじゃないですかッ!!」

「…パーティーは王宮の茶会だ。午後からマナーの先生が来る。頑張り給え、我が義娘よ」


くそう、狸爺がぁああああ!


「あーあと」

「?はい、なんでしょう」


私は今、貴方への罵倒で頭が埋まりそうなんですが。


「義理の家族は結婚できるから安心したまえ」

「?………はぁ」


何言ってんだ?コイツ。


**


と、いうことである。

いや、最後の会話は不必要だと思うんだけどね。


ゆったりと正面階段を下りて行けば馬車が目に入った。


「あっ、レグルー!お待たせ」

「!義姉さん(アミス)!うわぁ……すごい、綺麗だね」


正装しているレグルも十分格好良い少年になっている。

これは…令嬢の方々(レグルのファン)の反応が楽しみね♪

もし囲まれてしまったらニヤニヤしながら見守っていてあげようッ!


「えぇ、マイさんとチリ―が頑張っていたわ」

「あー、うん。まぁいいや。兎に角行こう。ほら、お手をどうぞ」

「はいはい、どうも」


これが貴族の嗜みと言っても、今更小恥ずかしい。

涼しい顔を装いながら少しだけときめいている私がいた。


「それじゃあ、いざ!戦場へ!!」




To be continued……

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