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少女と救出(2)

★レグル視点です




「さて、じゃあレグル君。特別授業です」


立ち上がってスカートの裾を払うアミス。

そういえば、いつの間にか元のアミスに戻っているな…


「はい、師匠」

「アレの名前は軍用殺戮兵器、コーロスちゃんです」


…命名したの、アミスだね。

殿下とグレン様も微妙な顔しちゃっているよ!

っていうか流石双子。

髪色や瞳の色の違いを抜けばそっくりだな。


「コーロスちゃん含む、魔兵器の利点は中級、物によっては上級までの魔法攻撃が効かないことにあります」


そういってアミスは中級の炎をコーロスちゃんにぶつける。

だが、コーロスちゃんは何事もなかったようにこちらに向かってきた。


「つまり、魔法で殺すなら超上級か最上級だけってことだね」

「えぇ、または物理でもいけます。まぁ、下手な攻撃したら武器の方が折れますけどね」


このままコーロスちゃんが来ると殿下たちが危険なので、彼女は少しずつ僕たちから離れていく。

…気を引くために上級魔法を連発しながら。

もう殿下とグレン様の開いた口が塞がってないよ。


でも、気にしたら負けだッ!今は授業に集中しなくては!


「…じゃあ、結局壊せるのは魔法だけなんじゃ…?」

「そう、でも超上級や最上級をポンポン使える魔法師は限られています。魔兵器の利点その二は、量産できるところにありますから」

「…じゃあ、どうするの?」


魔兵器って最強なんじゃ…?

この世界で超上級魔法を使えるのは各国の宮廷魔導士団のトップとアミスと僕くらいのものだ。明らかに片手で事済む人数。しかもそんなものが大量生産できるときた。

今戦争がおきていなくてよかったよ……


「…現在魔兵器はこの世界に残っていません。それは何故か。答えは簡単明白。それ以上の存在が現れたから」

「…それ以上の存在?」


大量生産出来て、上級の魔法を防いでしまう魔兵器の上の存在…?

そんなもの、思いつかない。


「はい、特別授業終了。面倒なので終わらせちゃいます。〈さようなら〉」


突如起きる大爆発。

でもよく見ると天井が崩れ落ちないよう、コーロスちゃんの周りにだけ結界が貼ってある。

…本当に抜け目がない。


アミスが変に授業を切ったことよりも、大爆発の方に気を取られてしまった。


「…アミス。ソレは何?」

「オリジナルSSS級軍魔法。〈万象の終焉〉」

「…炎と氷を同時に作りだして、そこに雷と風ね……はぁ」


〈さようなら〉の一言で国が『さようなら』する気がする。

最上級の炎と氷を同時に創り上げた上、超上級レベルの雷と風。

雷属性さえ入っていなければ無詠唱で出来たんだろうな…

うん、欠点があるだけ可愛げがある。

―欠点とは呼べない気がしないでもないけど。


「……お前ら、国を滅ぼさないでくれよ?」

「………本当に」


もう理解することをあきらめたような顔をしている殿下ーズ。

そりゃね。

失われた六属性の失われた最上級魔法(しかも加工済み)を見せられたら、僕でも何かを開ける気がする。


「失礼ですね。国を滅ぼしたら美味しいご飯を食べられなくなるじゃないですか。いくら滅ぼすのが簡単でも、そんな無意味なことしませんよ」


…無意識に国を貶しているアミスさん。

国の良いところはご飯だけじゃない…と思うよ?

まぁ、確かにアミス相手じゃ宮廷騎士団も魔法師団も、手も足も出ないだろうけどさ。


「…そうか。よかった」


うん、グレン様諦めちゃったね。

殿下も苦笑い隠す気なくなってるし。


「…そういえば、殿下はどうしてこんな場所にいたんです?さっきのコーロスちゃんと何か関係が?」


これ以上被害が出ない前に話題を変えよう。


「あぁ…実は、ハーヴェル伯爵が国に秘密に軍用兵器を作っているらしいと聞いてね。書類証拠はなかったから現場を押さえようと思ったんだ」


…殿下の行動力おそるべし。

思わず呆れていると、アミスが口を開いた。


「殿下、次からは行動する前におっしゃってください。今回間に合ったから良いものの、殿下の身に何かあってからでは遅いのです。私たちがいれば護衛にもなりますし、行動の幅も広がります。一人より二人、二人より三人、三人より四人ですよ。殿下」


うーん…ちゃっかり僕とグレン様も巻き込まれているぞ……?

まぁ、いいんだけどね。


「殿下、アミスの言う通りです。一人じゃ出来ないことも四人なら出来るかもしれませんよ?ですから、どうか次は先にお知らせくださいね」


まぁ、次がない方が良いんだけど…

でも、アミスと一緒にいると絶対に次がある気がする…ッ!


「まぁ、アミスやレグルもこう言っているし、俺も国のためだったら兄貴の手伝いをするよ。だから一人で抱え込むな。俺たちは双子なんだし…苦労も分け合おうぜ」


おぉ…グレン様が超かっこいい。


アミスも「良いこと言ってんなッ!」って顔で見てるよ。

殿下は…あ、感動している。まぁ、『ツン』しか見たことないと結構衝撃的か…。


「…分かった。これからはみんなに相談することにするよ。折角だし、アミス、レグル。私と友達になってくれるかな」


…うん。こうなる気はしていた。


「はい!もちろんです、殿下」

「…了解です、殿下」


あれ、そういえば僕とグレン様は友達じゃないんだっけ…?


思わずグレン様を見る。

うをぉ、目が合ったよ…!


「…俺とレグルも友達だ。いいな」


前アミスが『ツンデレは可愛い』って言っていたけど、本当だな。

ぷいって視線を外しているけど、少し拗ねていることは分かっていますよ?


「はい!よろしくお願いしますね、グレン様」

「…」


おっ、グレン様の頬が少し赤いぞ…?

アミスも隣で笑っているし、見間違いではなさそうだね。


「…アミス、レグル」


不意に殿下から名を呼ばれた。


「? 何でしょう殿下」

「…それ」


((どれ))


アミスと僕の心情が見事に一致した。

グレン様の次は殿下が拗ねていらっしゃるよ…

この双子大変だな…。


「えーっと?」

「私のことも是非名で呼んで欲しい……」


恥じらっている姿が乙女なのですが!?

繊細な顔立ちも相まって、様になってしまっている…ッ!


「…ラヴィレント様、でよろしいですか?」

「…ううん、長いからラヴィルでいい。あと様もいらない。私たちは対等な友なのだから」


出会って数十分でまさかの愛称呼び!

しかも『様』なし!

うっ、なんか距離が近すぎる気が…

ううん、もう諦めよう!ココに常識人はいないッ!


「はあ…じゃあラヴィル」


アミスが少し呆れ顔で名を呼べば、ラヴィルはホロリと笑った。


「…うん。よろしくね、アミス、レグル、グレン」


(((可愛いなッ!おい)))


この時僕たち三人の心情は寸分違わず一致した。


「アミス、レグル。俺も様はいらない。これからはグレンと呼べ」

「はい!グレン」

「了解、グレン」


またしても少し拗ねているグレンに笑いかければ、頬を赤くしてそっぽ向いた。兄弟そろって可愛いな…。


ふとアミスを見ると、彼女は噴水の前とは打って変わって幸せそうに笑っていた。


なんだ…よかった。




幸せな時間はすぐに過ぎる。


でもそれでも良いって思えるほど、今が楽しかった。

―だから僕は、失念していた。


「おい!そこで何をしている!?」


―そう、ココが敵地のど真ん中だってことを





To be continued………




グ「ヒロインの座はアミスよりも兄貴の方がいいんじゃね?」

ア「ヒロインポジの私としては否定したいんだけど…絶対ラヴィルの方がいいわね」

レ「…そこは否定しようよ、アミス」

ラ「いや、ヒロインはアミスしかいないと思うよ。美しい白銀髪、綺麗な瑠璃色の瞳。多くの令嬢を見てきたけど、アミスほど美しい少女は見たことないもん」

ア「……そう、面と向かって褒められると、なんか照れくさいわね」

レ「………(イラ)」

グ「確かに見た目も良いけど、アミスは剣と魔法もすごいよな」

ア「まぁね…(育った環境が環境だから)」

レ「……(イライラ)もう!早く話し進めよう!ほら伯爵に見つかっちゃったよ!」

ア「うぇ?どうしてレグル怒っているの…?」

グラ「さぁ…?」

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