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少女とプレゼント


「レグル、レグル!どう?似合っている?」

「うん、良く似合っているよ、アミス」


くるり、とレグルの前でターンを決める。

珍しくはしゃいでいる私を微笑まし気に眺めているレグルに思うことはあるが、とりあえず無視しておこう。


今の私の格好は紺がベースのワンピースに白いエプロン。

―つまり、メイド服だ。

といっても、私の本職は護衛なので動きやすさ重視に作られている。

本来のメイド服よりもスカート丈が短いことも、それが理由だ。


「ごめんね、女の子の護衛なんてめったにいないから…」

「ううん、王宮に行くならこれくらい仕方ないよ。私も付いて行って良いことが十分嬉しいもの」


そう、これから私たちは王宮へ行く。

レグルがこれから剣として使えることになる殿下に挨拶をするためだ。

ファルファード家の子供は十歳になると必ず主に挨拶に行く伝統があるんだとか。先月レグルは十歳になったので、その伝統を遂行するために王宮へ向かう。


私がこの家に仕え始めて早二年。

魔法は中級魔法なら十属性、上級魔法なら八属性、最上級魔法なら二属性操れるようになっている。

剣も手加減はしているものの私との斬り合いが三分間は持つようになった。

実は、メキメキと上達するレグルに少しだけ戦慄を覚えている私がいる。先生として、抜かされないように私も日々精進だ。


「あ、そうだアミス。これ良ければどうぞ」

「…リボン?」


レグルから手渡されたのは紅色のリボン。

―でもなんで急に?


「この前のボクの誕生日にプレゼントくれたでしょう?それのお返し。よければ使ってくれないかな?」

「―ぁ、ありがとう。レグル。」

「え!?どうしたの、アミス。リボン嫌いだった?」

「い、や…嬉しくて。プレゼント、もらったの、初めてだから」


昔は戦争中だったからプレゼントなんて貰えなかった。

誕生日には「おめでとう」って戦友たちから言われるだけ。

前世独りぼっちでそんなこと言われてこなかったから、初めて言われたときは嬉しくて泣いちゃったっけ。

今も少し涙目だけど、仕方ないよね…


「ありがとう、レグル。大切にする」


髪に括りつけて笑えば、レグルも嬉しそうに笑ってくれた。

私にはそれだけで十分だ。



**


そして馬車に乗り、揺られること三十分。

他愛のない会話をしながら(半分が訓練の話)王都の町を眺めていた。

THE・異世界、とでも言いたげな色とりどりな建物。

多くの人、物で賑わう姿は見ていて楽しかった。


「あ、王宮が見えてきたよ、アミス!」


レグルとは向かい合って座っているため、体を捻って窓から外を窺う。


「っわぁ…本当だ!でかいねぇ」


目の前に広がるのは、前世で見た西洋風のお城。

それは三千年前のものとは大きく異なり、威厳溢れる門も高く覗く棟も実用性を完全に無視していてた。

―でも、まぁ。一乙女としてワクワクしてしまうのは仕方がないだろう。


「あはは、迷子にならないでよ?」

「もう、子供じゃないわよ!」

「ハイハイ。今までそう言って屋敷の中で何回迷子になったことか」


出会った時よりも大人っぽくなったせいか、私を妹扱いすることが増えてきている気がする。

精神年齢なら私の方が断然上なんですけど!?

昔は子ウサギみたいだったのに、今は美しい豹のようだ。

綺麗な顔立ち、美しい瞳…ここが乙女ゲームの世界だったら絶対攻略対象ね。


あれ…乙女ゲーム…?そういえばこの世界って乙女ゲームの世界なんだっけ?転生してからはずっと戦場、こっちに来てからはレグルの訓練ですっかり忘れていた。

えーっと…舞台は魔法学校で、メインヒーローはラヴィレント殿下。

金髪に緑の瞳。なんでも出来ちゃうタイプの人間で、毎日を退屈して過ごしている。そんな中面白い発想をするヒロインと出会って興味を持つんだよね。


…なんでも難なく出来ちゃう人間……なんか、レグルみたいじゃない?まぁ、この子の場合どんな努力も惜しまないから出来るようになるんだけどね。

―本当、出会えてよかったなぁ………

レグルのお陰で本当にたくさんのことを学べた。


「アミス…?もうすぐ王宮着くよー?」


レグルの声にはっとする。


「え、あ、うん」

「どうしたの、寝不足?」

「ううん、考え事していたのよ。あ、止まったみたいね」


心配そうな顔をしているレグルに微笑みかけ、馬車から降りる準備をする。


「よいしょ…お手をどうぞ、レディ?」


先に馬車を降りて、私に手を差し出してくるレグル。

なにコレ、まるで物語の王子様みたいじゃない。


「あら、メイドに手を貸す主なんておかしくてよ?」


悪戯にそういえばレグルは笑って私の手を引いた。


「いいから、いいから。さぁ、行こう」


ぎゅって握られた手が存在を主張している。

耳にかすった紅色のリボンが何だかとてもうれしかった。




To be continued ………

ア「ちょっと…何時まで手をつないでいるの…///」

レ「ん?恥ずかしいの?アミス」

ア「そッ…そんなわけないじゃない……!!た、ただメイドと主が手をつないでいたらおかしいって話をしているのよ……!」

レ「ふ~ん…じゃあ、もう少しつないでいようか♪」

ア「ちょ、え…ッ!?」



翻弄されるアミスさん(笑)

レアですよ~?

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