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「名産のお菓子のある町にて」 七話 

前回の更新から大分遅れてしまい申し訳ありません!!

 エクエスが姿を消して二日。今日も変わらず広場は大賑わいだ。今までの違いとしては広場にいるほとんどが子供であるということ。

 もちろん移動図書館と名乗る女性とその護衛の男はいるが、一人だけだ。

他の護衛は町を出回って荷運びなど町人の手伝いをしている。

 そのおかげか、一週間も経たずに移動図書館ご一行は町全体に受け入れられた。

 「次の町長に!」なんて声もあるほどだ。


 一行が人気を集めるのと同時に町では二つの噂が広まっていた。

 一つは移動図書館一行は町にある魔法書を探している、というもの。

移動図書館はそのことについて明言していないが、広場で魔法書の危険性を説いている。

 そのため、一行の人気と相まって「町に潜む魔法書の危険を取り去ろうとしている」「町人に言わないのは町人に危険が及ばないようにしている」という都合の良い解釈をされていた。

 二つ目の噂は、移動図書館を襲おうとした愚かな町人の子供がいる、というもの。

これについても移動図書館は明言していないが町にいる護衛が‘うっかり’話してしまったこと、ある特徴の子供の家族を探していることから町全体で魔女狩りのようなことが始まってしまった。

 といっても、基本的には奥様の井戸端会議で広まり疑わしい家族によそよそしくなる程度だ。

 だが放置していては村八分のような状況になるに違いない。


 そんなこととは露知らず、ユティはノルマの本をすべて読み終わり、町を散策していた。

エクエスには勘違いされているが、ユティは別にエクエスが居なくとも生活には困らない。

 いや、部屋が混沌としたり、ユティが自堕落にはなるが、衣食住には困らないほどの金銭は持っているので自分が動きさえすれば問題ないのだ。

 というわけで、今回ユティが向かっているのはエクエスがいつも買いに行くパン屋だ。

 目的はこの町の名産お菓子。というのも、エクエスがパン屋の店主から貰って以降、ユティは事あるごとにエクエスに名産のお菓子を買いに行かせていたのだ。

 エクエスもユティが相当気に入ったと思ったので部屋に常備するようにしたのだが、ユティがご飯前にお菓子を食べたり、夜中にこっそりと食べ始めたりとあまりにも目の余るので部屋のどこかにお菓子を隠したのだ。

 しかしエクエスが部屋を出ているうちに見つけられたのは良いが、肝心のお菓子を補充するエクエスが行方不明のため、こうして部屋の外を出ることにしたユティ。





 「ごめんください」

 「はい、いらっしゃい」


 店のドアを開け、カランカランとなる鐘と共にユティは声を出し、その返答に店の店主の少し野太い声が返ってきた。


 「あの、名産のお菓子が欲しいのだけど、今あるかしら?」

 「あいよ、少々お待ちを」

 「たくさん下さい。お金はあるので」

 「あいよ」


 店主は慣れた手つきで次々と紙袋のお菓子を詰めていく。


 「こん位でいいかい?」

 「えぇ、どうもありがとう」


 数枚の硬貨を店主へと手渡し、紙袋を受け取る。

 両手で抱え込むように持ち、その間に鼻腔を擽る甘い香りに思わず頬を緩ませる。


 「なぁ、嬢ちゃん。もしかしてエクエスっていう弟いないかい?」

 「…たしかにエクエスは私の弟ですが、如何されました?」


 ふと、店主が浮かない顔をしながら訪ねた。

 その質問だけでユティは店主の言いたいことを察した。

 エクエスが頻繁にこのパン屋を利用していたことをユティは知っている。また、その度に名産のお菓子を大量に買っていたのだ。そのエクエスが姿を消し、代わりにエクエスが買っていたものを別の誰かが買いに来た。その誰かもエクエスが姉と呼ぶ女性に似通っている。

 なら、誰でもエクエスとユティの関係に気づき、町人が日常的に使うパン屋を構えている店主だ。町で囁かれている愚かな少年の噂を知って、その少年がエクエスを指していることも気づいているだろう。


 「安心してくれ。エクエスの坊主のことは誰にも話してちゃいねぇって。あぁ、文句が言いてぇ訳じゃないんだ。ただ、心配でよ…。あいつ、本当に何しやがったんだ?」

 店主に言葉は本当にエクエスを心配している様だ。


「なにをしたかをわかりません。でも、弟は何もしていないと思いますよ」

「今の町は異様だ」


店主は神妙な顔でうつむき、思いため息を吐いた。


「なんで、そう言い切れるんだ? いま町はエライことになっているぞ? 嬢ちゃんがエクエスの坊主の姉ちゃんってわかっただけで町の連中は喜んで移動図書館様のもとへ差し出すだろうよ」

「あなたは違うんですか?」

「…少なくとも今の移動図書館様に嬢ちゃんを差し出す気にはなれねぇな」

「今回の移動図書館が、あなたの知っている移動図書館ではないからですか?」

「っ!?」

「正解ですね」


「よかった」そうつぶやいたように見えたユティのどこか艶めかしい微笑みに思わず心臓が跳ね上がる店主。


「たしかに、今この町はおかしいです。異常といってもいいでしょう。正直、エクエスだけでは少し頼りないところだったんです。ですが、そのエクエスすらいない状態では話になりません」


途中、お菓子を一つまみ口に放り込みながらユティは話を続ける。


「今晩、エクエスを助け出すのを手伝ってください。あなたが手伝ってくれたのならば、私はあなたに‘本物の’移動図書館をお見せいたしましょう」


店主は目の前で助けを求めているにしては堂々と要求をの述べる女性に唖然としながらも、どこかで見たことがあるような既視感を覚えつつ、彼女を綺麗だと思った。


プロットはありませんがこの後の展開などは決まってるんです。

ただ、書いていたら予想外の方向には進みそうなのですが…。

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