プロローグ
初投稿です。
至らない点の多い文章力ですが生暖かい目で見ていただければ幸いです。
投稿自体はかなり気ままになります。
移動図書館と呼ばれる女性たちがいる。
一度読んだ本は一字一句違わず、絵柄であろうと覚えているという。
人の姿をした、人ならざるもの。
彼女たちは旅をしながら新しい知識を求める対価に各地で望む人々に知恵を与え、あるいはいまだ知られてない秘境の絵を描き、あるいは吟遊詩人のように詩うという。
古今東西あらゆる知識をその身に蓄え、その飽くなき蒐集欲を満たし続けるために世界を旅する。
彼女たちはどこにでもいるし、事実記録にもよく見かける。
あるときは王の側近として。
あるときは宗教家として。
あるときはただの村人として。
誰もが彼女らの賢智を頼りにする。
だがしかし、その膨大な知識のすべて手に入れようとしても無駄。
なぜなら彼女たちには番犬がついているから。
その名も「司書」。
文字通り彼女たちを管理するものだ。
ただし、彼らは人間だ。
だからと言って油断は禁物。相手にすればとても厄介。
彼ら、彼女らはとても狡賢く、勇敢でそして、老獪だ。
あらゆる手段で彼女たちを守るその姿は、差し詰め騎士様といったところか。
はたして、彼らが守りたいのは彼女らかそれとも知識か。
だからだろうか、番犬を連れていない移動図書館は極稀にいたりする。
彼女らのことを知るものからは、捨てられたとか壊れているから、などと聞いたことがあるが実際はよくわからない。
でも、ぼくはそうなった彼女たちに会ったら一つだけ聞きたいことがあった。過去形。
どうしたら孤独に耐えられる?
返答。
「私の司書になりませんか?」
ぼくの目の前にいる彼女はにっこりと微笑んだ。