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プロローグ

この投稿の主人公は、気が荒く、ツンデレな性格なので、少々性格が悪いです。気分を悪くされたら中止してください。R-15は念のため。

「おい柳瀬、今年の夏、樺太(からふと)に行くんだって?」


隣の席の男子が話しかけてきた。クラスのまとめ役のようなしっかりした存在、角田だ。5時間目の授業も終わって、今は5時限目と6時限目の間の休憩時間である。今日で1学期の最終日の授業だ。明日から夏休みである。


曾祖父が樺太に住んでいた、と祖母から聞いた。樺太は、ロシアではサハリンという。サハリンはロシア領地だ。1945年、日ソ中立条約を破棄してソビエト連邦(旧ロシア)が対日参戦をして侵攻し、南樺太と千島列島の全域を占領した。曾祖父はそれに巻き込まれて死んだらしい。曾祖父のお墓がサハリンにあるので、墓参りに行ってほしいと昨日言われ、急遽(きゅうきょ)行くことになった。


「まぁね」


クラスの女子1人が、俺らの会話に入ってきた。神社好きの変わり者、三浦である。


「『亜庭(あにわ)神社』とか『樺太神社』っていう日本の神社が、ロシアに樺太を取られる前にはあったんだよ。今は、宗谷岬神社とか稚内の北門神社が最北端だけど、もっと北にも、神社はいっぱいあったんだよ、はぁ。」


吐息混じりの声で、悲しい気持ちが伝わってくる。しかし、俺は神社に興味ないので同感はしない。三浦は、容姿はかわいいのに、個性が強すぎるのだ。残念女子である。その彼女の交際相手も神社好きでお互い気が合い、今月で2年目だ。


…バカップルめ。


生真面目の角田が、三浦に返答する。


「でもロシアに日本の神社があるって不思議だね。」


三浦の交際相手が三浦のもとにやってきた。そして、俺らを見渡して、話している内容が神社だと分かったのか、熱く語りだす。


「僕、神無月の10月に生まれたんだ、だからこんなに僕が神様のことが好きでも、10月に生まれたことがすごく不幸だとしか思えない。だって、神様いないんだもん。」


三浦の交際相手、森谷は、神社に関してはデレデレと話出し、賢いイメージはかけらもないが、実際、学年で頂点に君臨する超エリート男子だ。


「柳瀬くん、ついでにお土産も買ってきてくれる?亜庭神社跡の写真とかぁ…」


亜庭神社に興味ないから、曖昧に返事しておく。


「行けたらね」


そしたら、森谷が亜庭神社ってどこ?と三浦に質問をしだし、語り合う。2人の目がキラキラと輝いている。


「2人とものめりこみすぎ」


角田は俺の言葉にフォローできなかったのか、苦笑いで済まされた。しかし、これほどの2人なら聞き流すほどの大した言葉ではない。


…向こうのお土産ってなんだろう。ロシアのお菓子とか妥当だな。


今日は快晴だ。母が、港のターミナルまで車で送ってくれた。母は俺を送った後、老人ホームで介護の仕事をしに行くのだ。父は郵便局でほぼ年中無休で働いてる。祖父母は体の調子が悪いし、両親もサハリンに行けないし、俺には兄弟なんていない。つまり、俺1人で行くのだ。


海の潮の匂いがしてきた。変わった匂いだな、といつも思う。しばらくして匂いに慣れてくると、心地よく思えてくる。海に近づくにつれ、青銅のようなコバルトブルー色が見えてくる。そして、波の音を大きく立て、太陽から降り注ぐ日光に、キラキラと美しく光っているのが見えてくる。


今は9時半。サハリンでは11時半だろう。大体2時間くらいの時差があるのだ。


…日本と近い島なのに、2時間も時差があるなんて、不思議な感じだ。


船に入ると、すぐに食料販売店が見えた。古風で、昭和の喫茶店のような落ち着く店だ。日本酒やウイスキーやら並べられている隣に、日本のお菓子やロシアのお菓子が並べられていた。値段を見てみると、定価以上に高い。自動販売機は、サッパロビールが半数を占めていた。


…うそだろ、100円。いや、俺未成年だったわ。


サッパロビールを買ったことなんてないから定価は知らないが、ビールが100円なんてめちゃくちゃ安いだろう。ここ以外、自動販売機で100円の酒類はないだろうと思う。


…菓子が高くて、サッパロビールが安いなんて、未成年にはかわいそうではないか。


ちなみに、俺は甘党だ。苦いのかうまいのかよくわからない味のビールより菓子だ。俺のように、サッパロビールの方が安いことに不満を持つ未成年たちの代表として訴えたい。


講堂のような所に入ると、家族団欒(かぞくだんらん)としている人達や老人夫婦、スマートフォンを見て時間をつぶしている者や、昼寝をしている人もいる。たまに外国人がいたりする。おそらくロシア人だろう。僕は雑誌棚にある雑誌を手に取ってパラパラと読むことにした。ほかの雑誌も見渡してみると、英語やロシア語で書かれている雑誌もある。全く読めないので受け付ない。


講堂のようなところから抜け出すと、電車のように席が規則正しく並列に並べられていた。しかし、普通の電車とは違って、西洋のような雰囲気がある。土足厳禁なので靴を脱いでから入ることになる、これは珍しい。入り口の右には下駄箱が用意されており、そこに脱いだ靴を入れた。俺はあたりをしばらく見渡しながら、窓際の席を選んでゆっくり座った。席はソファーのように柔らかく、赤色である。僕が座った席の左側には、白くて透明感のある薄いカーテンがなめらかに柱に沿って、綺麗に整頓されている。ここで昼寝を取り、時間つぶしをすることにした。


「……はぁ、やっと着いた」


5時間半船に乗れ続けて、やっとたどり着いた。サハリンの旅始まる。

いよいよ始まりました、長編小説。


柳瀬が両親に頼まれ曾祖父のお墓参りへ。

5時間半の船旅をえて、サハリンへたどり着く。


愛読ありがとうございます。

次回は、8月11日

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