死者
蒼慧はあの戦いの後、一週間寝込んだという。
あれから一か月たった
〇
「蒼慧殿!此度の戦いに同行させていただきます。フェリスです」
「よろしく蒼慧だ。」
一か月たった今、蒼慧は国の遊撃部隊隊長に就任していた。
この国には大きく分けて四つの部隊が存在する。一つ目は、蒼慧率いる遊撃部隊、。二つ目は碧上率いる奇襲部隊。三つめは、クロム率いる特攻部隊。四つ目は、防御部隊。
細かく分けると偵察や暗殺など様々だ。
「今回の任務敵の殲滅だ。まあ簡単な仕事だ。敵に四天王がいたらすぐに撤退だ。」
「はい!」
四天王はあと二人。蒼慧が殺した二人は四天王の中の下二人。上二人は下二人の比ではない。
蒼慧もこの一か月で前とはくらべものにならないくらいの実力をつけていた。鎧等も全くつけず余裕の表情を見せていた。
「よし、じゃあ行くか」
遊撃部隊は敵がいるとの情報が入っている。集落へと向かった。
〇
集落につくと異様な空気に全員が恐怖を覚えた。
「なんだ?なんか変だな」
「空気がどよめいている?とでもいうんでしょうか。気持ちが悪いですね。」
血肉が飛び散り、酷い悪臭を放っていた。
「ん?この服…見たことあるな。これはラックの奇襲部隊の服だな」
「え!?じゃあこの惨劇は」
「だろうな、ラックじゃねえ」
蒼慧は周りを警戒しつつ前に進むように促す。
「うわあ!」
一人の兵士が悲鳴を上げた。その兵士の顔色が急変し徐々に皮膚が腐っていくその光景に全員が驚愕した。
「う、あああああ」
襲ってくることを想定し蒼慧は
「わりいな」
首を斬った。
「なぜ?なぜ斬った!」
フェリスが突然叫んだ。
「なぜって、決まってるじゃねえか。こっちが殺されるからだ」
「まだ彼には意識があった。あなたは意識のある。人間を殺したんですよ!?」
「ああ~!!分かってねえな!今回は殲滅だったがあっちに乗り込んだらこんなの沢山いるぞ」
「え…?」
そう、ラックでは死者を戦力として使っている。それは碧上が偵察した情報で、蒼慧も目の当たりにしたのは初めてだった。
「にしてもなんで死んだんだ?」
「それはね」
「僕らの仕業だよ」
上から声がした。
「なんだお前ら」
「僕たちはね~ラックの暗殺者だよ。一瞬で体に回って死ぬ毒で殺したの」
「うふふ。あなたたちもこうなりたくなかったらおとなしくゔっ!!」
「うっせーガキだな。オラ」
蒼慧がその暗殺者と名乗る子供の首にナイフを差し込んだ。
「この!」
もう一人がすぐに剣を投げてきたが剣ではじき返した。そのまま顔に拳を叩き込む。
「大したことねえな、サージの方が強かったぜ。」
蒼慧の遊撃任務はある意味成功という形になった。