二人に訪れた人生のチャンス
学校のチャイムが鳴り響き生徒が下校していくなか、二人の男子生徒が教師に囲まれて怒鳴られていた。
「全く、おまえら二人はどうしていつもそうなんだ!」
「大人を舐めるのもいい加減にしろよ!」
お決まりのセリフを並べてくるだけの話す人形と罵り二人は学校の全教師を敵に回したのだ。
「はぁ、もう帰ろうぜ。蒼慧」
「だな、バカに付き合ってる時間が無駄だ。」
二人の生徒は帰ろうとしたが、当然のごとく止められた。一人の蒼慧と呼ばれている生徒は持ち前のフットワークを生かし、軽々と教師を跳ね除けていった。もう一方の生徒は、豪快に教師を薙ぎ払って階段まで逃げた。
〇
「ふぅ、上手く撒いたか。今回はちょっとだけてこずったな準矢」
「まぁ、結果オーライってことで」
二人は笑ってグータッチして、別れた。
この二人の名前は、黒桐蒼慧。クールなイケメンで声がカッコいい。もう一人は、星原準矢。可愛い顔立ちをしていて、全校からモテモテ。二人は学校でとても慕われていて教師がとても手を焼く問題児でもある。
大のゲーム好きで、オタクなのにモテモテなので、一部の男子生徒からは嫌われると思いきや、寧ろ逆で仲が非常にいい。理由は単純、恋を応援して実らせたからだ。高校生活で皆が気にする。カップルはごく平然と存在する。
「帰ってゲームしよっと」
赤信号に気が付かずに、横断歩道に飛び出した時にはもう遅かった。トラックが目の前に迫っていたのだ。
蒼慧は何かを察した。そして呟いた。
「あっこれ天罰だ」
バァンと血しぶき舞踊り、横断歩道が真っ赤に染まった。
〇
「はぁ帰りたい」
準矢は、疲れている様子もなくただただ歩いていた。
そこに猛スピードの自転車が来ていた。だがしかし準矢は気付く様子もなく歩いて、撥ねられた。
撥ねられるだけなら、まだよかったが、飛ばされた先は、なんと崖だった。
準矢は呟いた。
「日頃の行いって大事だな」
二人の問題児はこうして死んでしまうのだった。
こんなところで死んでしまうとは情けない。とでもいいたげな顔をしているそこの君(読者)
続くさ、物語はまだ始まってすらいない。真の二人の大暴れはここから始まるのだよ。