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やはりこの世界はどうにかしている  作者: 鯖野むみのすけ
3/3

火星人の初テロ遭遇

相当久しぶりです。

隣にいる仁がつぶやく。


「モテたい。」


「……どうした?」


「モッテモテになりたい。」


「なんで今それを?」


「今だからこそ言うんだよ!今日が人生最後の日になるかもしれないんだぞ!」


「人生最後って……」


「なんでお前はそんな落ち着いてられるんだよ!」


騒ぐ必要が無いからなんだがな。

極めてやばいって訳じゃないし。

むしろ何でこんなに焦ってるんだコイツ。


……たかがテロごときで。


「おいそこ!」


「ひいっ!」


テロリストがこっちに銃を向けてくる。

仁さんや、火星の技術で何とかならんものか?

まあ、何とかならないの知ってるけども。


「動いたら撃つぞ。」


「すいませんでしたッ!」


仁は頭を勢いよく下げた。余程死にたくないようだ。


「ちくしょう!なんでこんなことに……」


事の発端はお前だろうが。

そう、あれは1時間ほど前のこと……


~一時間前~


「買い物行こうぜ!」


俺、悠、仁の3人で遊んでいたら唐突に仁が買い物に行こうとほざき出した。


「なんでだ?お前の家の冷蔵庫満タンだったぞ。」


「ふっふっふっ、それはだな……ってお前人の家の冷蔵庫勝手に漁っただろ!」


さあ、何のことやら。


「で、何故買い物に行くの??」


「悠よ、よく聞いてくれた!」


「俺も聞いたんだが……」


「前回!悠が突然女になるんじゃないか的なフラグをさらっと立てた!」


「勝手に立てるな!」


「そこでだな、悠がいつ女になってもいいように様々なサイトの小説で調べた!」


悠が女になる前提かよ。

というかこのご時世、普通に調べりゃいいだろ。


「それでわかった特徴がある!まず一つ!目が覚めたら容姿が変わってる!それについては俺がっ!前もってっ!親御さんにっ!連絡しておいたから大丈夫だァ!」


「おい!お前勝手になんてことしてくれたんだ!」


「もうちょっと落ち着こうぜ。」


「すまない、取り乱した。二つ目は衣類についてだ。」


「男物の服は着れないだろうから買いに行こうと。」


「そういう事だ。因みにこれも親御さんに報告済みで許可も取れてる。」


あかん、悠が白い目をしている。

しかし、悠よ、悪いな。俺は仁側の人間だ。


「そういう理由で行こう!」


「ウェーイ!」


「そういう理由じゃない!俺は行かないぞ!」


「えー。」


「えー。」


「二人してそんな残念そうな顔をするな!とにかく帰る!」


そう言って悠は帰ってしまった。


~現在~


はい、回想終了!

結局悠が帰ったのに仁が「俺たちで買いに行ってやろう!もちろん善意だ!」と言ってきたので、正しき心でデパートまで足を運んだのだが物の見事に俺の巻き込まれ癖が発動し、大惨事に。

冷静になって考えたら男2人で女物の服を買おうとしていたという事実が精神をえぐる。

隣の仁は初めてテロに遭遇したらしく、別の理由で精神が痛めつけられている。


「でも、相手が普通の人間だったのが唯一の救いか。」


「そこ、喋るな!」


おっと、うっかり声に出してしまった。

仁よ、そんな今にも泣きそうな顔で俺を見るな。悠と違って男顔だから全くときめかないぞ。

でも可愛そうだから少し希望を与えてやるか。


(仁、聞こえるか?)


(な、なんだよ。)


(あいつらを何とかする方法を知りたいか。)


(俺に出来るのか?)


(多分な。)


(……言ってみろ。)


(あいつらの人数わかるか?)


(2人か?)


(そうだ。だけど1人は武器がナイフで拳銃を持っているのは1人なんだ。)


(本当だ!つまり、あいつを抑えこめば勝機はあるという事だな?)


(ああ。しかも呑気に腕を組んで拳銃をしまってやがる。更に、俺たちから近い。加えて見るからにひょろい。おまけに武器を持ってるだけで拘束されてない。)


(これは、モテるチャンス!)


こいつ、煩悩を捨てきれないのか。

しかも残念なことに人質男しかいないし。


(行くぞ海斗!)


(待て!まだ作戦が!)


「うおおおおお!!」


あの馬鹿!相手は大人だ!何の考えもなしに一人で突っ込んだら流石に勝てないぞ!

……と思ったがテロリストの顔面に仁のドロップキックが綺麗に入った。どうやら俺は火星人の身体能力を甘く見てたようだ。

そして、すかさず拳銃を取り出しナイフの男に向けた!女がいたら惚れるぐらいの綺麗な動きだった。女がいればな!


「俺の勝ちだ!武器を渡せ!」


「……くそっ!」


ナイフの男は武器を床に滑らせて仁に渡した。

丁度、誰かが通報したのかパトカーのサイレンが聞こえた。

……そういえば、あのテロリスト共、30分ごとに1人撃つとか言って誰も撃てなかったな。まあ悪事なんてこんな結果に終わるもんだ。


「動くな!お前は完全に包囲されている!」


そう言って、警察達は仁に拳銃を向ける。

……あれ?


「えっ、なんで俺!?」


そしてすぐに警察に拘束されてしまった。

そうだよね、銃もナイフも持ってたらそいつが犯人だと思うよね。

哀れなり仁。ヒーローになったのに逮捕されてしまうとは。まあ支持の途中だったし俺はワルクナイヨネー。

その後、取り残されたテロリスト共は「つ、次は爆弾とか持ってくるから覚えてろよー!」と、大層迷惑なお言葉を残して逃げていった。もちろん買い物は中止。

仁?目撃者の証言で何とかなったらしいぞ。

俺はなんにも証言しなかったがな。

悠→友

仁→人

つまり海斗の現在の友人はこの2人だけです。悲しいですね。

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