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鏡映した現実の風~リアル・ワインド~  作者: 四神夏菊
第一話・強面傭兵と願いの奏者(こわもてようへいと ねがいのそうしゃ)
18/302

04 令嬢(アリン)

依頼先から帰宅した彼が家に着く頃には、すでに陽は落ち夜となっていた。走行中にライトを点灯させながら帰宅した彼は、バイクを停車させ、アパートの中へと入って行った。

丁度帰宅したサラリーマンと思わしき人達とすれ違いながらも、彼は借屋のロックを解除し帰宅した。

「ただいま。」

軽く疲れた様子で帰宅したギラムは、手にしていた荷物を定位置へと置き、少し遅い夕食を取るべく冷蔵庫を開けた。中には買い置きをしてあった『チキンナゲット』と『青菜サラダ』が入っており、彼はそれ等を手にした。小分け袋に入れてあった食品達を皿の上へと出すと、彼はナゲットを電子レンジの中へと入れ、サラダをボウルへと移し替えた。

比較的シンプルな夕食ではあるが、仕事後は基本的に自炊をする気力が無い事が多々あるため、彼はこのような形の夕食を取る事が多い。朝食に関しては自炊をするも、他はほとんどしないのである。とはいえ、栄養バランスだけはしっかり気にする所が健康的な証拠である。


レンジがしばらく仕事をしている間に、彼はテーブルの上に食材と使用する食器をセットし、近くに置かれていた『ラジオ』を弄った。トカゲをモチーフとしたおもちゃの様な外見のラジオであり、頭にあるトサカ部分がスイッチとなっており、彼が触ると自動的に外部から電波を受信しだした。

【こんばんはっ! ヴィジョンズタイムのお時間でーす! 今日のナンバーは………】

「ん、もうそんな時間か。 早いな。」

受信した放送の音声が流れ出すと、彼は番組の内容で今の時刻を把握し、センスメントで時間を確認した。時刻は19時過ぎを示しており、少し遅めの夕食であった。



ピーッピーッピーッ


「ん、出来たか。」

そんな現状の時間を確認していると、後方で電子レンジが仕事を終えた事を知らせてきた。音を耳にした彼はその場を離れ、温めていたチキンナゲットを取り出し、テーブルで夕食を取り出した。

「いただきます。」

ラジオの放送に耳を傾けながら、彼は合掌し食事を取った。少し香料の聞いたナゲットが、彼の味覚を刺激していた。


その後食事を終えた彼は食器を片付け、再びシャワーを浴びようと浴室へと向かって行った。昼間に帰宅した時と同様に衣類を洗濯機近くの籠へと入れ、ガラス張りの部屋で温水シャワーを浴びだした。徐々に温かい水による熱でガラスが曇って行く中、彼は気持ちよさそうに疲れを流すのだった。



シャワーを浴び終え軽装な井出達でリビングへと戻ると、彼は目的もなく窓辺に向けた大きなソファへと腰掛けた。近くに置かれていたウォーターポットから冷水をグラスに入れ、ぼんやりと星空の広がる夜の街を見ていた。

街の建物からは様々な明かりが放たれ、どの住宅にも暖かくも温もりのある灯が宿っているのが目についた。今居る彼の部屋は室内灯が弱めに設定してあるため少し薄暗いが、月明りと街の明かりもあるため、彼は左程気にしていない様子だった。

『……… 獣人……か。』

手にしたグラスに入る水を口にしつつ、彼は昼間の出来事を思い返していた。


たまたま見かけた人に似た姿をした虎は少し大人しめの印象があり、彼の様に雄々しい雰囲気はあまり感じなかった。上司から『獣人』という存在の話を聞くまでは名称すら解らない相手だったにも関わらず、彼は怖い印象を受ける事は無かった。獣でありながら人の姿を持つ彼等はどんな存在であり、どんな理由があってあの場所に腰掛けていたのか。

解が視えない考え事を、彼はしばし考えるのであった。

『容姿からしたら、普通に和解出来そうな顔はしてたが……… ……でも、俺の顔をちゃんと見てた……とは考えにくいな。 普通の顔だったら、俺も気にせず声をかけてたのかもな。』

そんな考え事へ対する情報収集をしなかった事に対し、彼は考え出した。

自ら話し情報を得る事は、人であれば誰しもが行う情報収集手段の一つだ。しかし彼には率先して行えるほどの話術は愚か、自らの容姿で相手に避けられる事を負い目に思っていた。周りの存在達の様に、普通の顔付きであれば恐れなどを与えず、ただ単に気楽に話しかける事が出来たかもしれない。だがそれも言い訳に過ぎず、自分は『しなかった』だけなんだと思うのだった。


その後彼はグラスをポットの近くへと置き、部屋の隅に置かれた立てかけの鏡の元へと向かった。鏡に近づくと彼の全身が映し出され、彼の顔には負い目に感じている顔が映し出され、右目を中心に『赤い痣』が刻まれていた。それは昔、彼がある事件に巻き込まれた際の名残であり、詳しい経緯や容疑者等々の情報を知る事無く、事件は静かに終わりを迎える事になった。

傷跡に対し上司から『腕の良い医師を紹介する』と、傷跡を消すための選択肢を与えてもらった事もあった。だが彼はその話に乗る事はなく、今になってその事を少しだけ後悔していたのだった。



とはいえ、彼は全てを負い目に感じている訳では無かった。

「……でもまぁ、まだ俺が男なだけましか。 アリンみたいに女だったら、傷を気にし過ぎて外に出る気にもならなかっただろうしな。」

彼は彼自身の顔を大切にしようと言う前向きな思考を持ち合わせており、例え出来なかった事を何時までも後悔する事はしないのだ。自分が男であった事を幸運に思い、傷跡が刻まれたとしても亡き父親に似た顔を大切にしようと、気持ちを前へ前へと持っていくのだった。

その後作り笑いかもしれない笑みを少しだけ浮かべると、鏡に映った自分も笑みを見せてくれるのだった。


家族がそばに居なくても、周囲で孤立感を味わったとしても、自分よりももっと辛い人が居る。自分はまだ平気な方であり、何度も何度もそう思えば思うほど、志を強く持てるような気がしていた。毎日の行動で笑顔を浮かべる機会は少なかったとしても、明るく生きて行こうと思うのだった。

そんな現実へ対し前向きな気持ちを再確認すると、彼は鏡から離れ寝室へと移動し、ベットに入り床へ就いた。







その後夜が明け、朝日が昇った次の日………



「……そろそろか。」

朝日が昇りしばしの時間が経った頃、彼は都市内にある小さな公園で待ち合わせをしていた。昨日虎獣人と出会った公園とは反対の場所に位置しており、住宅と木々に囲まれた静かな場所だった。


今日の彼は依頼とは別の要件で外へと出ており、普段身に纏う衣服よりも少しオシャレな雰囲気が漂う井出達だった。春先の外出でも大丈夫な薄手の上着を羽織っており、中はタンクトップというシンプルな服装。ズボンは比較的ダメージを抑えたジーンズを履いており、足元の靴は履きなれた焦茶色のブーツ。髪型はいつもと変わらずオールバックのスタイルでゴーグルを額に付けているが、服装との雰囲気が合い違和感が無かった。

園内にある噴水の音を聞き流し、彼は手にしていたセンスメントで時間を確認した。時刻は10時前を示しており、約束の時間よりも少し早い時間である事を見た後、彼は園内を見渡した。


平日と言う事もあり、園内には多くの人影はなく、近隣に住んでいるのであろう老人達の姿が目に映った。園内には転々と緑色のベンチが置かれており、彼が入って来た側の入り口には自動販売機も置かれていた。先日立ち寄った公園の花壇とは違うも、こちらの公演にも花壇には花々が植わっており、暖色の多い暖かな空間だった。

「……… ん?」

そんな園内を見ていると、不意に彼は奇妙な光景を目の当たりにした。

彼の視線の先に合ったモノ、それは園内に立つ1本の赤い街灯であり、そこに頑張って姿を隠しながら様子を見ている存在の姿があった。そこに居たのは先日から気にかかっていた虎獣人の姿であり、どうやらギラムの様子を伺っている様だった。あからさまは無い自身の存在を主張しており、控えめなのか主張したいのか解らないアピールをしていた。表情を明るく眼差しが向けられており、気付いてしまった自分に軽く毒付くギラムなのであった。

『見てくれてるかな………』

「………」

視線に気付いてしまった彼は自然を装いながら顔を横へとずらすと、虎獣人も行動すべく街灯から移動し、彼の視線の先にある街路樹の傍へと移動した。そして再び姿を隠しながら視線を送り、視界に入っているかどうかを一生懸命に確認していた。元より話をしたわけではないため、虎獣人自身も本当に視えているのかどうか解らないのだ。ゆえに、相手も確認したかったのだ。


彼は自分の事が視えているのかどうなのかを。



そんな虎獣人の姿が再び視界に入ると、ギラムは少し鬱陶しそうに表情をしかめながら、再び視線を別の方へと向けた。それからというもの、何度となくこの行動が繰り返され、虎獣人は飽きもせずしっかりと彼の事を監視していた。心なしか見張られている様な感覚もあるため、彼からすればいい迷惑である。




「ぁ、ギラムさーんっ」

「?」

そんな無駄な首の運動をしていると、彼の名を呼ぶ優しい声がやってきた。声を耳にした彼は顔を動かし声の主を探すと、手を振りながら自身の元へとやって来る女性の姿が目に映った。

やって来たのは先日会った『アリン』であり、可愛らしいハート柄の日傘を手にしていた。服装は先日とは違いレース素材を生かした桃色のワンピースを身に纏っており、一言で言うならば『お嬢様の休日』と言えそうな井出達だった。しかし春先のため露出は控えており、白色のボレロで腕元を隠していた。足元はヒール付きのパンプスのため、転ばない程度の速さで彼の元へと走っていた。

「よう、おはようアリン。」

「お待たせしてすみません、ギラムさん。 長らく待たせてしまいましたか………?」

待ち合わせ主が到着すると、彼は普段通りの挨拶を彼女にしだした。挨拶を受けた彼女は軽くお辞儀をした後、彼を待たせてしまった事を詫びだした。


待ち合わせ時間に対する遅刻は双方共にしていないが、彼女自身が相手を待たせる事はしたくなかったのだろう。深々と頭を下げた後、彼の顔色を心配する様に言葉を重ねていた。

「いや、気にするほど待ってないから大丈夫だぜ。 今日で良かったのか、日差しが強そうだが。」

「大丈夫ですよ。 無理を言ってお時間を作らせてしまったのは、私の方ですから。 さぁ、行きましょう。」

「ああ。」

心配そうに話す彼女を視ながら彼はそう答えると、天気に対し軽く気遣う言動を見せた。

彼女が日傘を手にしていると言う事は日差しが強くなると言う事であり、予報でもその日一日は晴れである事を彼は理解していた。元より白い肌が印象的な彼女が日焼けしている姿は見た事が無いため、待ち合わせがその日で良かったのだろうかと思ったのだろう。

しかし彼の心配は気にするほどでもなかった様子で、彼女はいつも通りの笑顔を見せ、目的地に向かうべく彼の足を促した。その言葉を聞いた彼はそれ以上気にすることは止め、その日一日が楽しくなれば良いと思うのだった。

そんな2人の様子を見た後、虎獣人も後を追うようにゆっくりと彼等の後ろをついて行った。




目的地へと向かうべく二人が歩いていると、時折すれ違う人々からの視線を集めている事が多々ある。

1人は上品な品格があるお嬢様なのに対し、変わって隣を歩いてるのは鍛え上げた肉体が印象的な顔のイカツイ青年。服装の差はなるべく少なくしているのにも関わらず、どうしても雰囲気が違うという事もあり、異色なのだろう。とても視線を集めていると、彼は感じていた。

しかし隣を歩くアリンは視線を感じていない様子で歩いており、長い髪とワンピースの裾を靡かせながら歩いていた。彼女自身は某企業の令嬢と言う立場でありながら、半ば一般庶民である彼と行動する理由を探しても、普通ならば見つからないだろう。とはいえ関係性はすでに築かれている事もあり、彼女自身は視線と共に隣を歩く彼に対する違和感を感じていない様だった。

「……… そういえば、今日の服装も新しい服か?」

「えぇ、そうですよ。 もう時期企画しているサマーコレクションの1つで、夏の桜をイメージした物なんです。 まだ春先の季節ですが、早く着ても着くずれしない、丈夫であり柔らかさを出したのがこちらなんです。」

「なるほどな。」

そんな周囲からの視線を気にしない様意識しつつ、彼は彼女に他愛もない話を振ってみた。


時折二人が外で会う際、彼女は決まって違う服を身に着けており、とても視線な印象を彼に与えていた。その日身に着けていた洋服は、近々行われる『夏のファッションショー』へ向けてデザインした洋服らしく、夏らしくない色合いで快適な服装を企画した際に誕生した物だという。ミスマッチな色合いではあるが、好きな色を四季で通して着てみたいという声もあり、中々期待される品の様だ。

ちなみに手にしている日傘は常に持ち合わせているモノであり、いつもの自分である事を教えてくれていた。

「……でも、いつも申し訳ありません。あまり外での撮影に応じないようにしているのですが、ギラムさんと歩いていると常に視線を集めてしまいます。」

「まぁ、そればっかりは仕方ないさ。 俺の顔にも問題はあるが、アリンは有名人だ。 異色なんだろうぜ。」

「そ、そうですか……? ギラムさん、とてもお優しい方ですのに。」

「悪い意味じゃないから、別に懸念しなくても良いぜ。」

「ぁ、はいっ わかりました。」

とはいえ、周囲の視線を釘付けにしている事実は服装を変えても変わらない。衣服のバランスを抑えに抑えてもコレであり、隣を歩く彼の雰囲気に合わせても、周囲の目はごまかされない。雑誌等々の撮影に彼女はあまり応じず、顔をなるべく出していないのにも関わらないのに対し、世間の目は彼女を『有名人』として認知している。

知る者は知る常識であり、こうした外出も噂になってしまうのだ。


そんな視線へ対し彼女が申し訳なさそうに話す中、彼は彼女だけのせいではなく自分にも理由があるとフォローをしだした。顔も含め、彼は普通に立って居ても背丈や髪型から視線を集めてしまい、画体の良さも薄い服の上からでは解ってしまうほどなのだ。イカツイ青年と清楚な美女という組み合わせが、互いにインパクトを与えているのが最大の理由かもしれない。

そんな話を交わした後、二人は苦笑しながら目的地へと向かって行った。




彼等が向かった場所、それは木造のオープンテラスが印象的な喫茶店だった。

その店の看板には『MiddleGarden(ミドルガーデン)』と書かれており、白いタープとチョコレートカラーのテーブルがオシャレな雰囲気を創っていた。テーブルのそばに置かれている椅子は何処かアンティークな雰囲気を出しており、カフェらしくもありレストランの様な空間を演出していた。そんな店の中へ入ると、アリンは店長であろう人物に出迎えられ、予約席がある様子で店の奥へと通された。その後をギラムも着いて行き、背後から着ているであろうマスコミを退ける対応なのだろうと、彼は理解するのだった。

しかしそんなマスコミさえも防げる場であっても、目視されていないであろう虎獣人は、遠慮なく彼の後を付いて行く。軽く彼は奴をどうしようかと迷うものの、特に害があるわけでは無いため、ひとまず気にしない事にしようと思い立った。店の裏庭へと到着した2人は、中央に設置されたパラソル付きテーブルの元へと移動し、席に着いた。2人が席に着くと、店長自ら注文を伺いだし、いつものコースメニューが振る舞われることになった。


店の裏庭と言っても立派な作りとなっており、あまり土地が設けられないであろう都市内でも立派な所有地を誇っていた。横に広い店前のオープンテラスに、店内の客席を丁度足したくらいの広さが裏庭であり、貸切であるのにも関わらず土地の無駄遣いをしていた。しかしその分の雰囲気形成には抜かりは無く、芝生が丁寧に刈り揃えられた裏庭の踏み心地は、まるで雲の様だ。所々に生えている花々は元気に咲いており、近くに置かれている小さな噴水からは水の流れる音が聞こえていた。

「毎度の事ながら、やっぱりすげえよな……… この裏庭。」

店長が去り際に置いて行ったおしぼりで手を拭きながら、ギラムは時々足を運ぶ店の雰囲気を堪能していた。


2人で話をする際によく立ち寄るのがこの店であり、彼女自身が予約をし店の裏を貸し切って使っている。そのため彼が支払うのは料理代だけで、仕事を互いにしているとはいえ、これでいいのだろうかと彼も時々気になっていた。時々予約が取れない日もあるため、その時は別の店を予約する事が多いくらい人気なのだ。

「店長ご自身で手入れをなさってるそうですよ。 私もこの空間が好きで、ギラムさんとお話をする際にいつも利用しているんです。」

「手入れも自分でやるのか……… 凄いな。」

笑顔で話す彼女も同様に手を拭いており、静かにナプキンを畳みながら説明していた。

彼女からいつも彼に誘いをかけるのだが、基本的に用事は無い。だが話をする事に意味がある様子で、恋等の話題は無いものの、アリンはこの日を心待ちにする事が多かった。

企業財閥の娘と言う事もあり周囲の目を気にしなければならないが、彼に対してはする必要が無い。彼は普通の女性として彼女を見てくれており、共に歩く際も左程気遣うことなく話を持ちかけてくれる。時々自分が上から目線の言葉を話している事を気にする事もあるが、彼は何事もなかったかのように話を聞いて返答をし、その時を楽しんでくれている。彼女はそれが普段の仕事を忘れられる時間だと思っており、気晴らしも込めて彼との時間を大切にしているのだった。

だからと言うわけでは無いが、企業に顔を出す際は彼女は絶対に店に居る事を決めているのだ。その際のスケジュール管理もキチンと行っており、場合によっては無理な時もあるが、基本は融通を聞かせているのだった。


その後運ばれてきた前菜を2人は食べだし、会話をしながらその一時を楽しみだした。




「……ぉ、美味いなコレ。」

「お料理のアイス、美味しいですね。 普段の物とは違うんですか?」

会話を楽しみながらデザートへ移ると、その日出てきたスイーツに彼女は気になり声をかけた。

普段はバニラを主体とした盛り付けをする事が多いこの店では、珍しく色味のあるアイスだった。見た目は紫色と少々食物の色ではないが、甘味は強く程よい酸味が癖になりそうな味である。

「はい、さようでございます。 本日のアイスは『ベリーミュージック』と言う、当店オリジナルのフレーバーでございます。 磨り潰したブルーベリーとラズベリーの果汁を使い、果肉を残さずふんだんに使ったデザートでございます。」

「まぁ、それでその名前を付けらしたのですね。 美味しいですわ。」

「ありがとうございます。」

お客からの質問に対し、店長は丁寧に応対していた。


元々企業のご令嬢と言う事もあってか喋り方も品があり、質問するにしても答える側は何かしらのプレッシャーを感じてもおかしくない。淡々とではないが店長もしっかり説明をしているところを見ると、相手も相当な数の相手を応対してきたに違いない。何となく2人のやり取りが自分と違う事を感じ、ギラムは少々驚いていた。

その後デザートを食べ終えた2人は会計を済ませ、店を後にした。


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