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鏡映した現実の風~リアル・ワインド~  作者: 四神夏菊
序章・初花咲いた戦火の叙景(ういばなさいた せんかのじょけい)
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14 転換期の夜空(てんかんきの よぞら)

レストランで出会った不思議な出会いを終え、食事を済ませたギラムはアリンの用意した車で自宅まで送ってもらっていた。不思議と食事をする前と後とでは気持ちに落ち着きが出てきた様子で、帰路へと向かう道中は安心して居眠りをしてしまう始末であった。付いたと同時に起こされた後、彼は恥ずかしそうにしながらも彼女にお礼を言って自室へと向かって行った。



『気が抜けると、どうも油断して寝ちまうな…… 疲れなんだろうけどな。』

シャワーを済ませ着替えをした後、アイスコーヒーを口にしながら彼はソファに腰かけ寛いでいた。何かと変化を要する日であったためか、いろいろありすぎて疲れてしまったのかもしれない。首を左右に曲げながら、手にしていた飲み物を彼は飲んでいた。

『でも、気持ち的には休みを貰う前と今とじゃ何だか違うんだよな。 それも全て、なんとなく気が付けるための切欠とやらに感謝しないとな。』

その後空になったグラスをテーブルに置きながらベランダへと向かい、彼は夜風に髪を靡かせながら空を見た。何時しか満月は昇るのを止めて下がるかどうか位置にまで到達しており、優しい光を街に送っていた。


不思議な出会いを果たした時もそうであったように、気分が落ち着いていると冷静に物事を見る事が出来る。それだけで、彼はいろんな目線を見る事が出来る様になった様だ。自然と浮かぶ笑顔が、その証拠だ。

『俺にしか出来なくて、俺の力を生かせる仕事…… 何かはまだ分からないが、多分今のままじゃ駄目だ。 俺に出来る事を、探そう。 今日までに起こった切欠を、無駄にしない様に。』

ベランダの柵に身体を預けていた彼はふとそう思い、近くに置いてあったサンダルを履いて庭へと向かって行った。その後ゆっくりと深呼吸をするように両手を動かし、息を大きく吸い込んだ。吸い込んだ息をゆっくりと履き出したのち、笑顔で月を見上げ彼は言った。



「俺は俺でしかないが、俺にだって出来る事があるんだ。 ……大丈夫、皆が居るんだからな。」



月明かりに照らされる中、彼はそう呟き出会いに感謝をするのだった。全てが上手く行くかもわからない、どれくらい先かもわからない未来に向けて。


以上で、3年前の番外編回の終了です。

以降は本編、切欠が生じた時間軸の物語を、お楽しみください。

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― 新着の感想 ―
[良い点] なるほど、次回からはちょっと時間が飛ぶのですね、丁寧に過去の話が進んでたという具合、いいですね。
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