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ⅩⅧ.リアル腹黒はお好き?

 買い物が思ったより長くなってしまい観光は明日となり、そのまま学舎に登校した。今日は精霊達も一緒なので、教室は賑やかになっている。


「アンナ、おはよう」

「オッス」

「空海、おはよう」


 アンナを見つけた双子は一目散に行き元気良くご挨拶。アンナの顔にパッと花が咲き、三人で教室中を飛び回り遊びだす。私も誠さんと知夏さんを見つけ華恋はいなそうだから、挨拶をするため二人の元に駆け寄る。


「誠さん、知夏さんおはようございます」

「古都音くん、おはよう」

「月島さん、おはようございます。二人は知り合いだったの?」

「会社が同じだったんだよ。趣味も同じでね友達になった」


 なんの躊躇もなく私達の関係をご機嫌に答えてくれたのが、少しだけ嬉しく思う私。

当たり前と言われれば当たり前なんだけれど、この歳で友達になるのは意外に難しい。


「それは良かったですね? 誠義兄さんのリア友は少ないから、古都音さん仲良くしてあげて下さい」

「こちらこそ。え、誠兄さん?」

「誠義兄さんは、旦那の兄なの」

「へぇー。姉妹と兄弟で形成されてるパーティーか」

「そう言うことになるね」


 初めて知る真実に驚きながらも、だから全員金持ちだと納得する。

 本当に私なんかがお友達になって良いんだろうかと思いつつも、誠さんから友達と言われたのだから問題なし。


 「所で姉と何かありました? 例のごとく庵さんを見つけて飛んでいったんだけど、すぐに戻ってきて落ち込んだ様子で家に帰ってしまってここにはまだ来ないの」

「ライじゃなくて庵さんの大切な姪だと知らずに罵るだけ罵しって、庵さんを怒らしたんだよね」

「姉さんの自業自得ね」


 さすがの華恋もやっぱりあれは、相当ショックだったらしい。しかし知夏さんは心配することもなく、呆れてため息をつくだけだった。

 私も可愛そうなど思うことなくざまぁ見ろとしか思えない。おかげで今日は平和に過ごせそうだ。


「だったら誠さん、私のパーティーを紹介しますね」

「それは嬉しいね」


 華恋がいたら怖いから紹介なんか出来ないけれど、今はそう言うこともなく誠さんも喜んでくれる。昼間うらやましいと言っていたのは嘘ではないらしい。



「みんな、こちら私の会社の友達の九条誠さん」

「よろしく」


 早速みんなに誠さんを紹介するけれど、敢えて副社長と言うことは伏せておく。


「キツネの会社の友達ね? オレは沼田直樹で娘のうさぎ」

「仲良くして下さい」

「私は六波羅藍子です」

「俺は乱堂庵」


 タヌキだけが何か言いたそうな口調だったけれど、紹介はスムーズに行く。なので突っ込まず見守ることにする。


「乱堂さんのことはよく知ってます。私と古都音くんはオタク友達ですから。私もちょっとしたファンです」

「そうなんですね? 男性のファンは貴重なので嬉しいです」

「……そういう関係なら納得いくか」


 これも社会人の知恵なのかあっと言う間にライオンさんと打ち解けたようで、ファンでも普通に接していれば仲良くなれると立証された。つまり華恋も普通にファン宣言をしていたら仲良く出来ていたのかもしれない。そう考えると本当にもったいないことをしたんだと思う。


「良かったですね。誠さん」

「ああ。古都音くん、ありがとう」

「わ私はただ紹介しただけですよ」


 なぜか私は感謝されてしまい不意討ちだったため、顔が真っ赤に染まり声が裏返る。

 何もしてないのになぜ私は感謝される? それともいつものようにからかわれてるだけか?


「キツネさんって可愛い人なんですね」

「は? コアラちゃん何言ってんの? 可愛いなんてあなたかうさちゃんに使う言葉でしょ?」


 コアラちゃんまで私をからかっているのか意味不明なことをクスクスと笑いながら言いだすから、更に声を張り上げ激しく反論し正しい使い方を教える。

 しかし同じ事を昨日も聞いた気がする。


「そうだね。キツネちゃんは可愛いよ。コロコロ表情が変わってなんでも楽しそうにするから、見てて飽きないんだよね?」

「まぁ可愛いって言うか、良い歳した大人なのにガキ見てぇんだよな?昔からそうだった」

「うっ……、そう言う意味なら、悔しいけれど納得」


 どうせそんな所だと思いつつも言われると悲しかった。

 でも今の行動は多分普通の事だったはず。……少なくても乙女系では。


「どうやらそのようだね? 古都音くんといれば、飽きることがなさそうだ」

『!!』


 誠さんの発言にタヌキ親子以外全員彼に注目してしまい唾を飲む。爽やかな笑みは裏がありそうで、昼間のやり取りを思い出し再び鳥肌が立ち寒気までしてきた。

 私といたら飽きないって、私はおもちゃなんでしょうか?  腹黒キャラは二次元だけで十分です。


「知夏ちゃん、これが地なの?」

「ええ、そうらしいです」

「そうなんだ。キツネちゃん、良かったね。と言えば良いのかな?」

「なんでですか? リアルでは勘弁です。第一私なんかを相手にしてくれませんよ」


 あくまでも誠さんに聞こえないよう知夏さんに話を聞けばうなずかれてしまい、なぜかライオンさんは困った様子でおかしな事を言ってくる。誤解も良い所で速攻否定とあり得ないことも主張。

 私はそんなどMではないし、そもそも誤解されて一番困るのは誠さん。選び放題の誠さんがなぜ私を選ぶんだ?


「でも結構リアルでも腹黒毒舌キャラはモテるらしいですよ」

「まぁ誠さんはイケメンインテリと来てますし、同じ毒舌でもタヌキわね」

「そう? 彼もなかなかいい線行ってると思うけど」


 何か勘違いする知夏さんに誠さんは別格で良い例であろうタヌキの名を挙げるが、あんまり分かってはくれない模様。確かにタヌキの外見だけはそこそこだから、モテはしないものの恋愛対象以外の人気はそこそこあった。実際私もそうだったし。


「キツネちゃんって、結構理想が高いの?」

「まさか。行き遅れのアラフォー女に理想を言える立場じゃないですよ。でも優しくて私を大切にしてくれる禁煙者ですかね?」


 タヌキに無反応な私がそんなに奇妙だったのか、またまた誤解を生みそれは笑いながら軽く訂正。


 私になんて選ぶ権利がない。

 そりゃ自分の年収以上で正社員も望みたいけれど、障害者の結婚は相当難しい。しかも障害者の男性は働けるだけで偉いのだから年収が低くて共働きでも、家事は当然女の仕事で分担なんて無理。強く言えば求めるだけ求めて自分は何もしないクズ女。(共働きすると言っている)結婚とは持ちつ持たれずと立派なことを言うけれど、安月給で亭主関白希望の男性は一体何をしてくれるんだろう? お荷物でしかない旦那だったら結婚なんてしなくても良いとこの時思った。


「それだったら簡単に見つかると思うよ」

「私が普通の人ならそうかもしれませんが、障害があると相当性格が良くないと健常者には相手にされないですよ」


 ライオンさんの本心からだろう嬉しい言葉だったけれど、信じてしまうと後で辛くなるからわざと否定的な事を明るく言って自ら首を絞めた。

性格の悪い嫌な女だと思われると思うけれど、辛い思いをするよりかは数百倍はましだ。


「本当に、古都音くんは面白いね? もっと君のことをよく知りたい」

「え? ここでそれを言います……と言うか聞こえてたんですか?」

「私の耳は地獄耳でね」

「…………」


 絶対この流れは気まずく重たい空気になるはずなのに、誠さんが話に割り込み恐ろしいことを愉快そうに暴露し私は絶句する。

 それは乙女ゲーなら間違えなくフラグが立つ所なんだけれども、リアルでしかも相手が私なのだから面白がられているだけ。深い意味なんかまったくない。


「キツネ、良かったじゃん。お前にもようやく春が来たんだな」

「良くない」


 なのに今まで何も言わなかったタヌキの馬鹿にしかしてない祝福の言葉に腹が立ち、思いっきり足を踏み肘鉄も食らわせノックアウトさせる。


「パパ、大丈夫? 何があったの?」


 幸いうさちゃんには視角だったようで犯人が私だとは気づかれず、びっくりしてタヌキを心配していた。

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