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デウステイマーズ~降神戦隊~  作者: 削畑仁吉
7/24

試練

 拭き終わった身体を、寝間着ではなく田中の仲間が用意したという外出着の袖に通す。黒一色のコーディネイト。お洒落でもなくダサくもない、無難なチョイスだ。まあ、○△□にとって衣服などTPOに反していなければそれ以上の関心も好みもないので問題はない。

 そして○△□は床に這いつくばった。ベッドの下に手を伸ばす。そんな○△□をアシータは珍獣を見る目で見下ろしていた。


「○△□君、いやらしい本でも探してるの?」

「何言ってるんですかナーシャさん」

「シータでいいって言わなかったっけ?」

「……少し黙っていてください」


 指が冷たく硬い何かに触れた。埃と一緒にベッドの下から掻き出す。


「それ……」


 流石にアシータも気付いたらしい。ベッドの下から出てきたのはいやらしい本ではなく、小さな御霊石だった。

 御霊石の中に封印されている神獣も一種の霊である。だから降神師であれば部屋の中にある御霊石の存在を感知するのは容易だ。


「これでハッキリしました。これは試験です」

「試験?」

「ナーシャさんは下がってください」

「シータ」

「警告しましたからね、知りませんよ」


 窓際に佇む悪霊を見たときから○△□は気付いていた。これは田中の所属する組織が仕掛けたテストの1つだ。おまえが本物の降神師ならば、部屋の中に隠された御霊石を探し出し、それをもって悪霊を退治してみせよ、というわけである。

 幽霊が見えなかったり、御霊石に気付かなかったり、悪霊に敗れたりするような弱い降神師や、あるいは御霊石を手にしながら何もしないで寝るような男には用はない、ということだ。


――やってやるさ。


 ○△□はガラス玉のような御霊石を見つめる。鑑定の結果、封じられているのはエスケレトと呼ばれている最下級の神獣だった。人間の骨格標本に似た容姿とサイズを持つ神獣で、数十体から百体を一度に召喚して数の暴力で相手を圧倒するのが本来的な使い方だ。

 つまり1体1体はたいした戦力ではない。悪霊1体相手なら苦戦はしても負けはしないだろうが、これを持って田中の組織に戦いを挑んでも容易に鎮圧されるだろう。そういうチョイスだった。


「エスケレト、アクティベート」


 ガラス玉から零れた光が、1体の骸骨を構成する。骸骨は己の肋骨を1本へし折って手に握る。するとそれは一振りの剣に変わった。

 臨戦態勢のエスケレトに反応したのか、首なしの悪霊が振り向いた。○△□は息を呑む。悪霊の手には拳銃が握られていた。本物ではない。彼等が身にまとう衣服と同様、最期に身につけていたもの、あるいは思い出の品が霊体の一部を使って形成された模造品だ。ただし機能は本物と寸分違わない。

 とはいえ、霊体で作られた武器など銃だろうがミサイルだろうが普通の人間にはまったく効果がない。だが悪霊の存在を知覚し、時には触覚さえ反応する霊能力者にとっては話は別だ。外傷こそ負わないまでも、痛覚神経はそれ相応の苦痛を脳に送り込むだろう。

 冷や汗が○△□の背を伝った。

 そして神獣に対しても悪霊の持つ武器は有効だ。苦戦はしても負けはしない、という評価は改めねばならない。サーベラスなら兎も角、エスケレトは銃を持った悪霊に対してどこまで戦える?


「エスケレトッ!」


 ○△□は骸骨の兵士に突撃を命じる。先手必勝だ。剣を振り上げ、エスケレトがベッドを飛び越える。

 だが銃弾の方が早い。○△□以外には聞こえない銃声が轟き、剣を握ったエスケレトの腕が関節から吹き飛んだ。

 体勢を崩したエスケレトに悪霊がキックを繰り出す。

 床に仰向けになった骸骨の腰関節を踏み折りながら、悪霊はかつて自らの命を奪ったリボルバーの弾丸を髑髏めがけて叩き込んだ。

 頭部を失ったエスケレトは弱々しくもがいていたが、ゆっくりと塵に変化していく。


(まだだッ!)


 ○△□が――突進。

 悪霊の拳銃が火を噴いたが、実体のない弾丸は彼が盾のように構えたプラスチックの額縁に弾かれる。


(このッ!)


 額縁を相手に向かって投げつけ、○△□は右腕に持っていたものを両手で構えて突き出した。

 その手の中にあるものは、剣を握ったままのエスケレトの腕だ。

 剣先が悪霊の心臓に突き立った。拳銃を取り落とし、悪霊はがっくりと膝を折る。


「○△□君ッ!」

「――エスケレトッ!」


 腕だけになっても、神獣は降神師の命令に応えてくれた。剣を手放したエスケレトの指が、落ちたリボルバーのグリップをつかむ。

 ○△□は振り返った。

 天井から、悪霊の頭の上半分が○△□の首筋めがけて降下してくるところだった。いかなる怨念がそうさせたのか、男の前歯はサーベルタイガーの犬歯のように鋭利かつ巨大な凶器へと変化している。

 銃身と牙が真っ向からぶつかる。火花が上がったかのように見えた。

 反動でよろめきながら、悪霊は驚きの表情を浮かべる。


「慣れっこなんだよッ! そういう手はッ!」


 踏ん張る足があったおかげか、体勢を立て直したのは○△□の方が先だった。こめかみを一筋、汗が伝う。


――まずいな、コイツは悪霊なんかじゃない。悪鬼だ。


 そうなると話は違ってくる。もはや次元とか位相とか(レイヤ)とかいうものが人間よりも上位の存在だ。こっちは向こうに触れられないが、向こうはこっちに触れ傷つけることが出来る、そういう一方的な関係が成り立つ相手だ。

 肘まであったエスケレトの手はもう手首の少し先まで短くなっていた。エスケレトが完全に消滅する前に決着をつけねばならない。間に合わなければ○△□には打てる手段がなくなってしまう。悪霊ならまだしも悪鬼が相手となれば、与えられる傷は脳の錯覚どころではすまない。現実に血肉をぶちまけるものとなるだろう。


「撃て、エスケレト!」


 骸骨兵士の指が引き金を引く。焦って狙いをつけ損なった。放たれた弾丸は、牙に弾かれて横に逸れる。


()ッ――!」


 右手首に激痛。現実においては撃ったこともない銃の衝撃を再現してみせる己の脳の高性能さには恐れ入るばかりだ。

 脂汗を垂らしながら、○△□は銃を構える。片方の犬歯を砕かれた生首が床から浮き上がる。

 

「!」


 銃口と敵の延長線に、アシータがいた。

 馬鹿野郎、と怒鳴る余裕も、伏せろと叫ぶ猶予もない。生首が突進してきたからだ。○△□はベッドに飛び込むようにして回避。

 すぐさま振り向いて右腕を突き出す。しかし、その手からエスケレトの腕は消えていた。

 タイムリミットだ。

 リボルバーはすぐ近くに落ちているが、神獣を介さなければ霊体に触れられない以上、○△□にとってそれは地球の反対側よりも遠い場所にあった。

 生首が咆哮した。その形相はもはや人間のそれではない。

 

(終わった!)


 馬鹿か俺は、と○△□は自分を罵った。アシータとて倒すべき悪霊の1体に過ぎないのに。そんなもののためにクズノハどころか自分の命をドブに捨てるなんて。

 暗黒が○△□を包んだ。

 

「あがああああッ!」


「――え?」


 いつの間に目を閉じてしまったのか。○△□は瞼を開く。

 見えたのは、すぐ目の前にまで迫った乱杭歯の切っ先。

 そして、その向こうには、肩から血を吹き出したアシータの姿があった。


「ナーシャさん……?」

「……大丈夫、○△□君?」


 アシータがニッコリと微笑んだ。

 その背中から咀嚼音がする。その度にアシータは顔をしかめた。悲鳴をあげないのは、○△□に気を使ってか。


「なんで……?」

「だって、こうなったの、わたしのせい、だし……?」


 アシータは震える手でベッドをまさぐる。リボルバーがその指に触れた。グリップを引き寄せ、背後の生首に向けてトリガーを引く。アシータの背後に血飛沫が広がり、間もなくそれはリボルバーと一緒に消滅した。


「……これでおしまい。よしよし、怖かったわね……?」


 目の前で微笑む女が何者なのか、○△□は一瞬わからなくなった。アシータはこんな風に笑う女だっただろうか? まるで――。

 ○△□はいつの間にか泣いている自分に気付いた。理由はわからないしわかりたくもないが、それが痛みや恐怖からではないことだけは認めざるを得ない。


「おま、え……、馬鹿……、でしょ、う……?」


 アシータは微笑みながら○△□の頬に手を伸ばす。その指先が○△□の頬をすり抜ける。


「……あれ? さっきは触れたような気がするんだけど……?」


 あの瞬間、アシータには確かに○△□を押し倒した感覚があった。でなければ位置関係上、2人仲良く串刺しになっていたはずだ。


「それ……うっ……あ……!」


 ○△□は説明しようとしたが、上手く言葉にならない。

 アシータの身体が、ぐらり、と傾く。

 

 そして消えた。


「ナーシャさん!?」


 ○△□はアシータが消えた場所に手を伸ばす。右手で。

 激痛が脳を灼き、○△□はそのまま昏倒した。




「あ、どーも、すみません。大丈夫ですかー?」


 目を覚ました○△□を、頭をかきながらヘラヘラと笑う田中と、小学生くらいの見知らぬ少女が見下ろしていた。


「いやー、なんだか大変な部屋に御案内しちゃったようですねえ」


 白々しい。○△□は奥歯を噛みしめた。よりにもよってあんな洒落にならない相手を用意しやがって。あんた達の所為でナーシャさんが消えてしまった。

 

 消えてしまった。


 そうか、彼女はもういないんだ。○△□は窓の外を見る。まだ暗い。時計を見ると、思ったほど時間は経っていないようだった。


 消えたなら、もうそれで終わりだ。


 死者に対する感傷など降神師には不要だ。それは相手が悪霊となって襲いかかってきたとき、他ならぬ自分の命取りとなる。だから降神師を目指す者は早い段階で死者への感傷を切り捨てる(すべ)を叩き込まれる。

 そして○△□は優秀な降神師だ。

 ○△□は目を閉じ、深く息を吸う。死者への未練を断ち切る儀式だ。

 3、2、1――。


――だが、それは何のために?


――アシータは既に幽霊だったのだから、もう出てくることはないだろう。


――別に素直に悲しんでいいんじゃないか。


――もう、絶対に会えないんだし。


――どうやったって。


――絶対に会えない。


「ど、どうしました、童嶋さん!? 傷が痛むんですか!?」


 突然ボロボロと涙を零し始めた○△□に、田中は眉を寄せた。どうしましょう、とトリアに目を向けたが、少女は無表情で傍観を決め込んでいる。


「あー、気にしないでください。かまってやってたら甘ったれが治りませんから、そこのマザコン」


 その言葉に反応したのは、狭い部屋の中でたった1人だけだ。


「ナーシャさん!?」


 跳ね起きた○△□の枕元に、勝ち誇った顔のアシータが立っていた。

 

「どうしたの~、○△□く~ん? お姉さんが死んだと思って泣いちゃった~? 普段あんなにクールぶってるのに~?」

「くっ……!」

「まー、わたしだって銃で撃たれたら死ぬだろうけどさ~、言ってしまえば肩を刺されて背中を齧られたくらいだし~? その程度じゃ死なないよ~? 気絶したからベッドすり抜けて落ちただけだし~? あれぇ~、わからなかった~? 悪霊退治の専門家なのに~?」

「…………」


 ○△□が何も言い返せないでいるのをいいことに、アシータは○△□の物真似をし始めた。それもなんだかカッコイイポーズまでつけて。


「『人は……死んだら終わりですよ……』」

「…………!」

「『俺は、全財産をはたいてここに来ました』……ッ!」

「…………ッ!」

「『それでも俺は、クズノハを取り戻したい』ッ!」

「~~~~~~~~!」

「『別に、そこまで親しい兄弟子じゃなかったけど、さ。……フッ』」

「そんな気持ち悪い笑い方はやってなかっただろ!」

「……そんなカッコイイ○△□君が……ボロ泣き……」

「やめて!」


「……あの、どうしましたか、童嶋さん?」


 泣き出したかと思えば、今度は何もない空間に向かって赤くなったり歯ぎしりしたり叫び出したり身悶えたりし始めた○△□に、田中は恐怖さえ入り交じった困惑の表情を浮かべる。


「田中さん、すみませんが御霊石をもう1つ用意できますか? たった今、全力をもって(めっ)すべき悪霊が出現しました」

「そうなんですか? 申し訳ありませんが、あれだけなんですよ」


 田中は床に落ちたままのひび割れた御霊石を見る。ヤマト帝国の降神師達にも田中の組織にも、いや、今の人類の誰にも神獣や御霊石を複製・修復する技術はない。出来るのは御霊石の中に眠る神獣を呼び出し、元通りに戻すことだけだ。エスケレトが力尽きた以上、もはやそこにあるのは御霊石ではなく、ただのガラス玉に過ぎなかった。


「ところで……その子は田中さんの娘さんですか?」


 まだ悪意に満ちた物真似をやっているアシータを、○△□は意識から閉め出すことに決めた。


「違う。私はトリア・ブルースクリーン。田中鈴樹とは同僚、だ」


 ロボットめいた平坦な口調で少女が答える。○△□が最初目にしたときからずっと無表情だったが、心なしかさっきよりも頬が引きつっているように見えた。


「……先程の悪霊は我々の組織がセッティングしたものだ。童嶋○△□が誰かの隠れ蓑ではなく真に霊能力者本人であるかどうか、もしそうならばアレにどう対処するか知りたかった」

「やっぱりな。で、俺は合格したって考えていいのかな?」

「それを判断するのは我々ではない。我々の任務は全てを監視し、報告し、明日君を指定された場所に連れて行く。それだけだ」

「君達は試験監督であって採点者じゃないってことか。じゃあ、なんで今此処に来た? 試験が終わった以上、今すぐ連れて行ってくれるの?」

「いいや」


 トリアは右手に持った救急箱を掲げた。


「あの悪霊が武器を持っていたのは、こちらの調査不足だった。その所為で君を危険な目に遭わせてしまった。我々の目的はあくまで君のデウステイマーとしての資質の把握だけであり、怪我を負わせるつもりはなかった。深謝する」


 無表情のままトリアは深々と一礼した。田中もそれに倣う。

 彼等が何者かは知らないが、そこまで悪い連中ではないのかもしれない、と○△□は思った。それとも自分が世間知らず過ぎて、表面的なやりとりに騙されてしまっているだけだろうか。

 少なくともまだ1人で笑い転げているアシータ・ナーシャに比べればずっとマシだ。

 

「顔を上げてくれ。田中さんも。それよりその、なんだっけ、デウステイマー?」

「ええ、童嶋さんのいうところの、降神師って奴ですよ」


 田中の話によると、半年前、逃走中のテロリストを追っていたヤマト帝国陸軍ヒエムス駐留部隊のパトロール隊が巨大な獣に襲われて全滅する事件が起きたという。軍は獣を『地獄の門より来たる者(ヘルゲイター)』、それを使役する存在を『神を調教する者(デウステイマー)』と命名、対策部隊設立を急いだ。


「その過程で、我々は朱川鴇貞に出会い、降神師と神獣の存在を知りました。そして先日の事件で新たな降神師がやってきたと知って、こりゃもうなんとしても仲間に引き入れたいな、その前に小手調べ……と思ってたわけですよ。ちょっと洒落にならなかったみたいですけどね」

「……『ちょっと』……ね……」


「童嶋○△□、いいだろうか」


 トリアが○△□の服の裾を掴んで揺さぶる。


「え? ああ、はい?」

「謝意の証として、我々に君を治療させて欲しい」

「ああ、是非とも」


 ○△□の腕の痛みは脳の錯覚により引き起こされたものだが、症状が出ている以上、通常の怪我に対するのと同じ処置をすることに意味はある。


「だからって……」


 手当が終わった時、○△□はため息をついた。


「……ここまでする必要はなかったはずだよね?」


 ○△□の両手は包帯で出来たボールになっていた。


「1度、こういうのをやってみたかった」とトリアが言う。

「謝罪でやってるのか遊びたかったのかどっちだよ。なんでそこはかとなく満足げなんだ?」


 ぐう、と○△□の腹が鳴った。そういえばまだ朝から何も食べていない。


「ルームサービスを取りましょう。ちゃんと私が『あーん』してさしあげますので安心してください」と田中。

「いや、包帯を外してもらえれば1人で食べられるしそっちが百倍安心なんですけど」

「1度こういうのやってみたかったんですよね」

「2人とも、俺の身体であんたらの長年の夢を勝手に実現しないでもらえますか?」


 最終的にどちらの希望が叶えられたのかは割愛する。




 時刻は零時を回った。

 照明を落とした暗い部屋で、○△□はずっと天井を見続けている。

 頭の中では、あの装甲服の男の言葉がリフレインしていた。


――亡者ヲイジメテ粋ガッテイル、ダサイ奴等。


――格下ノごーすとトバカリ戦ッテ。


 あの男なら、同じ条件でももっとスマートに勝利を収めたのではないだろうか。多分そうだろう、という気がする。

 あいつからクズノハを取り戻すことが自分に出来るのだろうか。


「……寝られないの?」


 ベッドに入っても天井を見上げたままでいる○△□にアシータが訊いた。○△□は無言で返す。


「寝られないなら……、そうだ、お姉さんが子守歌を歌ってあげようか」

「安眠妨害はやめてください」


 まったく、と○△□はため息を吐く。

 

「年甲斐もなくはしゃいで……。あなた、自分がどれだけ危ないことをしたかわかってるんですか?」

「わかってるよ、そりゃ。うん、怖かった。だからこそ笑い話にして笑い飛ばすんじゃないの。コワイのコワイの飛んでいけーって」

「俺まで笑いものにするのでなければそれでいいと思いますけどね」

「でも正直あの時はもう死んだと思ったわ。だから気絶してただけだったのがわかった時は嬉しかったよ。ああ、私まだ生きてるんだなって」

「いや、そもそもあなたは死んでるでしょ――」


 いや待て、と○△□は思う。自分の定義では、幽霊とは『死者の姿をとっているだけの、人間とは別個の生き物』だったはずだ。幽霊を憎むのも、この世に在るべきものではないから、ではなく、単純に自分達に危害を為すものだからであったはずだ。

 だったら。

 アシータ(このひと)を、そんなに憎まないでもいいんじゃないのか?

 

「もう寝ます。おやすみなさい、アシータさん」


 結局○△□が眠りについたのはそれから2時間後であったが、それまで彼はアシータのいる方向に寝返りをうつことが出来なかった。




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