己の決意
1
もっと速く、もっと先の何かに一番乗りで届くくらいに、この足で、この体で、もっと速く。俺には速さしかない。学力も、身体能力も、顔も、体型も、財力さえ平均的。身体能力に関しては特に酷い。どんなスポーツをやっても平均以下だ。でも、
「俺には…速さがある…!」
何をしてもダメな俺は唯一速さ、いわゆる反射神経が発達している。俺はその速さに依存した。速さだけは誰にも負けない、負けてはならないという自信から全てを越えてきた。これからも一番速い俺でいよう。
「…そう思っていた時期が俺にもありました。」
高校一年性になった黒崎 俊は風呂の中で小さい頃の痛い思い出に浸っていた。
「ああ、なんで俺あんなこと考えてたんだろう。高校に上がってすぐにある身体能力テストの短距離走、他のやつより少し速いくらいで平均的、ぶっちゃけて言えば中の上くらいだったってのに…」
俊は陸上部が全国に行く程の実力を持った猪走学園へ入学した。しかし、俊が思っていた以上にレベルは高く、俊はずば抜けていなかった。それが俊のプライドを粉々にしたのである。
「もう俺には何もない…はあ、鬱だ…上がってゲームでもやるか…」
部屋に戻って野球ゲームをしていてふと気が付く。
「あ、俺って足が速いんじゃなくて反射神経が速いんだった!」
俊は自分が運動出来ないが速さという才能があるということを知った時二つのことを考えた。走った時の速さと反射神経の速さだ。俊はそこそこ足が速く、中学の時まではトップクラスだった。それが自信へと変わり、同時に自身本来の素質を忘れてしまったのである。
「俺は今まで何してたんだ…でも、今更分かったところでどうしろってんだよ…反射神経良いだけなんて何に生かしたら…」
そこで俊は今何をしていたか思い出しすぐに下を向いた。
「俺なら…俺の反射神経なら…」
2
「はあ、早く家に帰って寝たい…」
俊は眠い目を擦りながら昼食をとっていた。その時、背後から背中を思い切り叩かれた。
「よう!俊!元気してっか〜?はっはっはー!!!」
俊の親友もとい腐れ縁の豊田 秋成が気さくに話しかけてくる。
「いってーな!なにすんだよあき!あとうるせえ!」
さすがに普段は温厚な俊も怒鳴った。
「いや〜いいじゃねぇの〜親友だろぉ〜そんなことよりお前、部活入らねーの〜?」
俊は顔を俯けて言った。
「俺は…転向する。」
秋成は愕然とした。そしてすぐに聞き直した。
「は?!何あってんだお前!」
俊は秋成の目を見据えて言い放った。
「俺は…野球をするために明高に行く。」
明快高校、野球の名門校で甲子園に出場しなかった年がないという大挙を挙げている超エリート校だ。
「ちょっ、明高ってお前、何でもかんでもいいところに行けばいいってもんじゃないぞ!」
「うるさいな、俺は強くなりたいんだ。強くなって、俺の存在を裏付けするものを手に入れる。」
秋成は沈黙し、やがて口を開いた。
「はーまったく仕方ないやつだなーお前は!俺も行く。」
俊は目を見開いた。
「は?何言って…」
「どうせここまで来たんだ、とことんお前について行くよ。」
俊は驚いたが、顔を綻ばせて嬉しげに、
「別に付いてこなくていいけど、鬱陶しいやつだな。…ありがとう。」
「おう!」
秋成はニッと笑った。
どうも、黒井 和と申します。ちなみにこの名前は黒いわ!みたいなニュアンスでつけました(笑)いやー、まさか生きてきた間に溜め込んだ妄想を解き放つ時が来るなんて思ってもみませんでした!でもなんか、思ってたより違う作品になったかも…まあそんなことはいいんですよ!楽しければ!文が気持ち悪いと思われた方、すみません!文法力皆無です!はい!好評ならば続きを書かせていただきます!(好評でなくても陰で書きますね。)読んでくださった方ありがとうございました!




