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書いてて死にたくなった
「来るな! 僕の意志は変わらないぞ!」
ビルの屋上の端に、少年がいた。何故こんな所にいるのか? 言わずもがな、自殺志願者である。だが、その気の弱さが災い(幸い?)して、中々決意が固められず、幼なじみである少女に発見されてしまったのだ。
「馬鹿な真似はやめなさい!」少女が叫ぶ。
「イヤだ!」負けじと少年。「僕なんて生きている価値がないんだ! 何の才能も、取り柄もない! 僕が死んだって世界は何も変わらない! どうでもいい存在なんだ僕は!」
「そうかもね」少女が言った。「あんたが思う程、あんたは世界で重要な存在じゃない」
「や、やっぱり!」「でもね」「えっ……わっ!」一瞬。少女の手が、少年を捉えてーー「あんたが思うより、あんたは誰かに必要とされているのよ」ーー唇を、重ねた。
「……!?!?」唇が離れる。困惑する少年に、彼女は頬を赤らめ、優しく微笑んだ。
「例えば、そう……私とかに、ね」