83/84
水滴
私が食料を求めてさまよっていると、何か香ばしい風の吹く洞窟に行き当たった。
中に入ると、そこは仄暗く、妙に生温かった。更に天井には多数の鍾乳洞が生えており、時折、水が滴り落ちてくるのだった。
何だか気味の悪いところだ。そう思いながらも、前に進もうとしたとき。落ちた水滴が、偶然私の足の端に触れた。
瞬間、激痛が走った。「ぐっ……!」見ると、自分の足が少し、溶けていた。そうか。これは酸。侵入者を阻む、洞窟の罠なのだ。
そうとわかればこんなところには居られない。心なしか、足下が揺れている気もする。私は、元来た道を、光の方へ引き返した。
間一髪。私は、逃げ切ることができた。振り返ると、洞窟の入り口は閉じ、そこには巨大な怪物が居た。……そう。この穴は、犬の口の中だったのだ。危ないところだった。
こうしちゃいられない。私は再び歩き出した。女王蟻へ捧げる食料を探して。




