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 この街は、霞で覆われている。

 人も、車も、ビルも、なにもかも、はっきりと目には映らない。全て曖昧だ。隣を行き違う人でさえ、私の記憶に残らない。

 この街で、私はひとり。よくできたセットの中で、人形と生活しているようなもの。

 一体誰が、私を私と認めてくれるんだろう。この存在を、肯定してくれるんだろう。

 そんなことを考えて歩いていると、人にぶつかってしまった。思わず倒れる。すいません、と咄嗟に言う。けれど、それを聞く人はいなかった。人の波は、まるで最初から何もなかったかのように、道を行き交っている。

 ……ああ。きっと私も、霞なのだ。

 私も多分、誰かが作ったセットの一部で。人から見れば、ただの人形に過ぎないんだ。

 ねえ。誰か、私を必要としてください。

 私に、生きる意味を教えてください。

 そのときはきっと、霞は風で散って。その先に、色のある世界が広がっているから。

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