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電(いなずま)
「わたし、いなずま!」
俺の言えに勝手に入り込んでいた子供は、自らをそう名乗った。迷子か何かだろうか。
正直、面倒事は勘弁だった。今日は、企業面接の合否の電話連絡があるのに。
とりあえず放っておこうと思った……が、そうもいかなかった。そいつが触れた電気製品が、次々と壊れだしたのだ。もし電話を壊されでもしたら、たまった物ではない。
「いい加減にしろ!」俺は子供を怒鳴りつけた。するとそいつは泣きだし、部屋から出て行ってしまった。やりすぎたかな……と、入れ違いに電話が鳴った。就職先の企業。結果は……合格。俺は飛び跳ねて喜んだ。
後から知ったのだが、“稲妻”には、“雨と共に訪れ、実りを促す者”と言う意味があるそうだ。もしかしたら、あの子供が“実り”――合格を運んできたのかも知れないというのは、俺の考えすぎだろうか。
……次は、お菓子くらい出してやるか。




