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暁(あかつき)
朝を待っていた。
闇の中、いつ来るともわからない太陽を。
太陽を操ることができるのは、時計だけ。だから僕には、待つことしかできない。
結局の所、そうなのだ。明日を貰うきっかけなんて、いつだって他人まかせで。自分からできることなんて、何もない。ただ呆然と、緩慢と、空を眺めているだけ。あとは、成り行きがどうとでもしてくれる。
そう、思っていたのに。
どうしたことか、僕は走り出していた。暗い道を、全力で、わけもわからず、ただひたすらに。太陽を、迎えにいこうとしていた。
そんなことに意味なんてないのに。わかっているはずなのに。それでも体は動き出した。何かをせずには居られなかった。自分の明日のために、何かを、していたかった。
だから僕は走る。たった一人の孤独な道を。光を探す旅路を。暁の空を駆けていく。
まだ、太陽は見えない。




