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蚊
とても大昔の話です。人々の間に、大変重い病気が流行っていました。当時は有効な治療法もなく、大人から子供まで、多くの人が命を落としました。
そこで神様は、病気を治すための生き物をお創りになられました。針のような口を持ったそれは、神様の頭文字をとって、“か”と名付けられました。かは、その口を使って、人々の血に混ざった毒を次々と吸い出しました。また、針が痛い人のために、かは麻酔も持っていました。刺したところは少しかゆくなりますが、それでも病気は治るので、人々は大変、感謝したといいます。
今、もうその病気にかかる人はいません。この話を知っている人も、殆どいなくなってしまいました。
でも、かだけは、今でもちゃんとそれを覚えていて、人の病気を治そうと頑張っているのです。例え嫌われても、殺されても。かはずっと、人のことを想い続けているのです。




