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肩たたき
「っつ、肩痛い……」サラリーマンである私は、近頃迫りつつある不況を押し返すべく、日夜問わず、PCと向き合っていた。だがこうも根を詰めると、流石に息抜きの一つも欲しくなってくる。……む、いかん。作業をやめた途端、眠気が……ああ……。
夢を見た。手には一枚の紙切れ。下手な字で“かたたたきけん きげんはえいきゅう”とある。ああ、いつだっけか、こんなものを娘から貰ったことがあったっけ。……期限は永久、か。今でも娘は、私の肩を叩いてくれるだろうか……そう思った瞬間、今頃は彼氏と会っているはずの娘が現れた。娘は驚く私の背中へ回り込むと、手を肩に置き、「おはよう」と野太い声で……野太い声?
はっと目を覚まし、振り返る。社長が笑って言った。「疲れてるな。もう今日は帰るといい。ただし、二度と来なくて良いがね」
……肩たたき。期限は永久。
……ああ、そういうことか……。




