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さんま

 吾輩は怪盗である。名は持たない。が、世間は、吾輩を“白”などと呼んでいる。

 ある日。吾輩は“秋刀”と呼ばれる宝を狙っていた。大胆にも白昼堂々、警備の眼をかいくぐった吾輩は、姿勢を低くし、獲物に忍び寄った。む。宝の臭いがしてきたぞ……近いな。吾輩は、自分の背丈の何倍もあろうかという壁を、ひらりと跳び越えた。吾輩の跳躍力は人の何倍もあるのだ。おっと……見つけた。台座の上で照り輝く銀。あれこそ、かの秋刀に違いない。吾輩は一目散、目にも留まらぬ早さで獲物を掠めた。そして、全身をくまなく駆動させるため、それを口にくわえ、逃げだそうとした、のだが……それが命取りだった。何と秋刀は七輪の上で熱せられていたのだった。そして不幸なことに、吾輩の舌は熱い物には弱かった。吾輩は思わず転び、その隙に御用となった。

 今、吾輩は首に輪をつけられ、終身刑の身だ。獄中名は“タマ”という……。

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