36/84
死刑の前に
『ここで待っててね。すぐ戻ってくるから』
あなたがそう言ってから、どれくらい経っただろう。五日? 六日? もっとかな。ボクは、ご飯も食べずに待っている。
最近、あなたは笑ってくれなくなった。ボクが話しかけても、そっぽをむいたまま。また昔みたいに笑ってほしい。それだけだったのに。あなたは、いつもボクを怒った。
でも。ボクをここへ連れてきた時。あなたは、久しぶりに笑った。嬉しかった。だから、ちゃんと言いつけを守っていれば、きっとまた笑ってくれる。そう思ったんだ。
あぁ、お腹、空いたなぁ……。それに、何だか眠くなってきた。でも、頑張らなきゃ。あなたが笑ってくれるから……ああ、でも、ゴメンナサイ。少しだけ、許してね。
ボクが目を閉じると、あなたが浮かんだ。その顔は、昔みたいに笑っていて。
ねぇ。ボク、待ってるからね。ずっとずっと、待ってるからね……。




