表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
33/84

かぶとむし

 夏が来ると思い出す。小さい頃、あなたと私で、かぶと虫のつがいを飼っていた。大切に、大切に育てていた。けれどある朝、雄の方だけがいなくなっていた。私が泣いているとあなたは、「きっとあいつには、この虫かごは小さすぎたんだ」と私を慰めてくれた。 それは。今思えば、あなた自身のことだったのかも知れない。時が経ち、大きくなって……あなたはいなくなってしまった。私一人を、置き去りにして……。

「何、書いてるんだ?」

「あっ、見ちゃだめです。出来上がるまで」

「そっか。じゃ、できたら見せて。約束」

「ふふ、わかりましたよ――“あなた”」

 ……そうそう、かぶと虫の話には続きがある。あの後暫くして、雄は帰ってきた。二匹は子供を産み、安らかに天寿を全うした。

 ……いつか。君にも、この話を聞かせてあげたいな。私は、大きくなったお腹をさすった。心地よい風が、風鈴を鳴らした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ