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手紙
夕方。砂浜を散歩していると、波打ち際に、夕焼けに照らされ、光る物体があった。拾うと、どうやら瓶詰めの手紙の様だ。ラベルには、見たこともない言語が書いてある。僕は何となくわくわくしながら栓を開けた。
しかし、ごわごわした触感のその紙には、黒丸が不規則に点々と打たれているだけだった。これに何の意味が? 僕は砂の上に座り込み、頭を捻った。が、一向にわからない。
ふと。気がつけば、日はもう落ちていた。帰らなくては。手紙は名残惜しいが、仕方ない。諦めて立ち上がった、その時だった。
「……なんだ。そういうことだったのか」
空に紙を掲げる。その黒丸は、夜空に散らばる星々をなぞっていた。きっと、これを流したどこかの誰かも、この星を見て綺麗だと思ったのだろう。そして誰かと共有したいと思ったのだ。たとえ、言葉が通じなくとも。
僕は手紙を瓶に戻し、再び海に投げた。願わくば、この星空がまた、誰かに届く様に。




