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蛇口
僕が小学生の頃の話。僕の部屋には、蛇口が生えていた。それは窓際にぽつんとあって、栓を回しても水は出なかった。その代わり、外に降っている雨の量を調節できた。右に回せばどんな雨も止むし、左に回せば滝のような雨が降った。だから僕はよく、マラソンを中止にしたり、遠足の日は何が何でも晴れにした。少し、神様みたいな気分だった。
ある朝。僕は眠く、学校に行くのがいやだった。だから蛇口の栓を思い切り左に回し、学級閉鎖になることを願い、もう一度寝た。
次に僕が目覚めたとき。外は大洪水になっていた。テレビでは車が流れている。僕は真っ青になって、急いで蛇口を戻した。だけどそのときだけは、いくら回しても雨は止まなかった。僕は泣きながら、蛇口を回し続けた。
そして僕は……いつの間にか眠っていたようだった。気がついたときには、雨は止み、そして……蛇口もなくなっていた。いったいあれは、何だったのだろう……。




