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スポンジ
“スポンジ”というあだ名の男がいた。その名の通り吸収が早く、一度教えさえすれば、それを完璧にこなした。ただ、純粋で、自分の意志がないことだけが欠点だった。
男は便利屋として、多くの人々を助けていた。しかし、彼を悪用しようとする者が現れた。銀行強盗集団である。彼らはスポンジを強引に連れ去ると、あらゆる手段を使い、銃の扱いや錠の開け方、車の運転技術を叩き込んだ。スポンジはそれらを純粋に学んだ。
そして、犯行当日。スポンジは熟練の如き手際の良さで金を盗み出した。かくして強盗団は大金を手に入れ……るはずだった。
彼らの失敗は、スポンジの運転教材に洋画アクションを見せたことだった。車は案の定崖から飛び、翌日、大破した車と、強盗団たちの遺体が見つかった。が、スポンジの死体だけは、なぜか見つかることがなかった。
後日、近くの森林で、猿と共に暮らす人間の姿が目撃されたと言うが、定かでない。




