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ちいさいやつ

 僕は蟻を潰すのが好きだ。趣味と言ってもいい。奴らは僕に何も出来ない。現実では非力な僕でさえ、奴らの前では神同然だ。

 逃げまどう奴。恐怖で動けない奴。立ち向かってくる奴もたまにいる。そんな奴らを、まとめてこの手や足で蹂躙するのだ。こんなに楽しいことはほかになかった。

 その日も僕は、蟻潰しに勤しんでいた。……が、何かが変だ。そう感じた瞬間、ふと僕の頭に、幼い日の母の言葉が蘇った。

「やめなさい。蟻だって生きているの。もし自分が同じ立場だったら、どう思う?」

 ……知るか。きっと母だって、知らないうちに、蟻の一匹や二匹潰しているはずだ。意識しているかいないかの違いでしかない。

 そう。僕に見つかったこいつらが悪いんだ。僕は再び、足を大きく振り上げた。

 急に、辺りが暗くなった。雨だろうか。気になった僕は、空を見上げた。

 僕の上に、巨大な靴底が迫っていた。

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