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ドアが蹴破られ窓が割れてたくさんのにんげんが家の中へ侵入してくるのが分かった。

しかし、状況を理解するには一瞬では時間が足りなかった。

振りかざされた鈍い光を腕で受け止めソフィリアをかばうとその者は舌打ちをした。

エーギルの腕には剣が深々と刺さっていながら血が一滴も流れないどころか、切りかかった人間の体を吹き飛ばしたのだ。

「えーぎるっ!」

「ソフィ、しばらく何も、見るな!」

ソフィリアをベッドに押し付けて覆いかぶさり、斬りかかられるたびに吹き飛ばして昏倒させた。

くぐもったうめき声が部屋のあちこちからきこえるがいったい何人のにんげんがいるのかさえ把握できない。

しかしソフィリアだけは守らなければ。手を抜けば、きっと、また、殺しに来る。

魔法を行使してこの人間たちを死に至らしめる瞬間は彼女の目から隠したい。

歯を食いしばり魔力を溜める、息の根を止めるために、焼くか、刺すか、それとも粉々に吹き飛ばすか…。

そのさなかだった、魔力が練れなくなったのは。



「な…に?」



そして枯渇していくのを感じる。

深々と体に突き刺さる何本もの剣が吸い取ってくる。


「…化け物め、やっと効いたか」

「これ、は」

「魔法のかかった剣だ、魔力を吸い、魔力を帯びる」


「えーぎるっ、えーぎるぅ!」

泣きじゃくって男の胸を叩いて閉じ込めた腕の中から出せとソフィリアは懇願する。

「おねがいっ、も、いいから!私死んでもいいから!えーぎる、出して!かばったりしないで!約束したじゃない!私より先に死ぬなんて絶対に許さない!」


「女の頼みを聞いてやれ、その方が楽だぞ」

唆すような、その口ぶりが心をぶわりと熱くさせた。

焔にあぶられたように熱く赤くほとばしるもの、殺意を纏った目だけでギロリと睨みあげた。

それに身を固くしたのは睨まれたにんげんひとりだけではなかった。

 

「だまれ」


「ソフィリアは殺させない」

 

カランカランと音を立てて刺さっていた剣が彼の体から剥離する。

魔法を練ることのできない体ににんげんは何度も何度も刃をつきたてた。

 

腕の中で守られることしかできないソフィリアの声は嗄れはて、涙だけはとめどなくあふれ、胸を叩く腕には悔しさと無力さを思い知らされて男の襟を掴んでいることしかできなかった。


ああ、また白刃が振り下ろされて…………

次話も乞うご期待☆

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