エピローグ
こうして、俺の初めての作戦活動は終了した。
途中で団長が連れ去られるというハプニングもあり、うっかり死にかけたりもしたけど、今日はとても充実した一日だった。
帰った後はすぐに団長から「組織の方針に従わないやつはダメなやつだ」とか「本当に死んでしまったらどうするつもりだったのか」とか「デザートのプリンは没収だな」とか長々と説教された。
頑として聞かず、その都度反論していくと、やがて諦めたのか団長は大きく溜め息をついた。
「お前が死んでは困る。大切な仲間だからな」
団長は深くかぶった帽子を取り去り、真っ直ぐと目を見つめてくる。
「それは俺も同じですよ。団長が死んだら困ります」
「無茶するなって言っても聞かないんだよな?」
「ですね」
「じゃあ私も混ぜろ。一緒に無茶するから。これなら文句は言わせないぞ」
「ヴィーッ!(今回団長は物理的に混ざれませんでしたけどね)」
「うるさい。次からだ。それくらい分かれ。お前らも分かったか?」
周囲に隠れて覗いていた戦闘員たちも含めて問いかける。
* * *
ちなみに、俺は他の悪の組織に随分と気に入られてしまったようだ。
「よぉ坊主。この前はよくやった。少しばかり根性が足りねえようだが、気に入ったぜ。俺んとこにくればビシバシ鍛えてやる。どうだ?」
「シ―……お前は俺が潰すことにした。他のやつにはやられるなよ」
「いやー、素晴らしかったですよ戦闘員さん! この前のあのクソ恥ずかしいセリフはなかなか素面じゃ言えません! 感動しました! あ、何ならうちに来ます? 冗談ですけど」
「ジャキンジャキン(うちに……入ってきてほしいな)」
「姉さま、それを訳すのは私とて憚れます」
「ジャキン!?」
そんな感じで他の悪の組織に勧誘されたり、獲物とされたりもしたけど、きちんと断っておいた。
「えっと……俺はアクアブレスの一員ですので、すみません」
「そうだ! うちの戦闘員は誰一人としてやらん! そこ、掛け持ちでも良いなどと言わない! 嫉妬だと? そ、そんなわけあるか! ええいとにかくダメだダメだダメだあああ!」
「大丈夫ですよ団長。俺は浮気しませんから」
「お前までなんだ! 気色悪いぞ!」
「え……ひどい。これは他の組織で慰めてもらわないと……」
「わー嘘だ! 行くなよ? 絶対だぞ! ……冗談だよな? 行かないよな?」
周囲を見渡すと、大勢の仲間たちが団長をニヤニヤしながら見つめていた。
あの事件から新たに入団した人達も同じように見ている。
配ったチラシを見て入団したもの。
正義と戦う俺たちの姿を見て入団したもの。
高給に惹かれて入団したもの。
それぞれ理由は違うだろうけど、この団長に何かを感じた者は多いだろう。
今はそうじゃない人も、この人を見ていればきっと変わると思う。
こうして小さな悪が増えていって、いつかこの世界の正義を染める日を願い、今日も俺たちは叫ぶのだ。
『ヴィーッ!』