王妃様の家出先は王宮の小さな森の中 〜おこた大好き王妃の家出事情〜
静まり返った王宮に女性の悲鳴が響き渡る。
夜も明けきれていない時間。
王宮はまだ闇の中。
近衛騎士が悲鳴の聞こえた部屋に近づくにつれ、表情は硬くなり血の気が引き青褪めていく。
近衛騎士が「失礼いたします」
無礼を詫び部屋に突入すると、四人の王宮侍女が集まり立ち尽くしていた。
近衛騎士の一人が近づき声をかけると、専属侍女である証の衣装を着た侍女が、震える手で一枚の紙を渡した。
急ぎ目を通す。
『本日より住まいを移します。
これまでの執務は今まで通り執務室の机の箱に置いていただければ私の手元に届きます。
目を通し終えた書類は全て宰相補佐であるカルロスの手元へ届きます。
フェリシテ』
「これは……」
近衛騎士は文章を二度読んだが、頭が回らない。もしやの展開を否定していた。
「王妃様が家出をなさいました」
近衛騎士の一人が王妃の部屋を走って出て行く。
行き先は王妃様を愛する陛下の元だった。
「侍女長殿、王妃様はいつからこれを?」
計画していたのだろうか。
そう聞きたいのだろう。
侍女長は首を振り「わかりません」
そう口にした。
「陛下になんと報告すれば……大切なお方が城を出たなど……」
騎士が頭を抱えると、侍女長の口から棘のある言葉が告げられる。
「陛下は大層お喜びになられるのではありませんか?寵愛するご令嬢方と誰からも咎められる事なく睦まじく過ごされるのですから。私達からのお小言がなくなり、清々しい気分で過ごされる事でしょう」
怒りを少し含んだその棘のある言葉に、近衛騎士がポカーンと口を開いたまま侍女長を見ている。
「侍女長殿?なぜそのような発言を?」
「なぜ?こちらこそ貴方がたが何をおっしゃっているのか理解出来ません。
ご夫婦のお茶会に学園時代から陛下と仲睦まじい令嬢を招いたり、フェリシテ様に陛下から届く贈り物は全てフェリシテ様が嫌いな物ばかり。
それに、です!
フェリシテ様は木の実を口にすると倒れられるのですよ?王家には正式に禁じられた食材として申請してありますのに。そんな命を落とす可能性もある食べ物を贈り物として渡すなど……。あんまりではありませんか!」
侍女長の言葉に側に控える侍女達も涙を流している。
近衛騎士の顔色は死人のように、どんどん白くなっていく。
(やばい!かなりやばい事になっている。まるで陛下が王妃様の死を願っているような状況ではないかっ)
近衛騎士は背中に冷や汗をかきながら、侍女長達を落ち着かせようと言葉を発するが遮られてしまう。
「行き違いがあったように思われる。直ぐに調査し… 「結構でございます。フェリシテ様は望んでおりません。私達は何度もフェリシテ様に陛下に相談されては。と、申し上げました事もありましたが、陛下は妻であるフェリシテ様に嫌がらせの様な事ばかりをなさいます。
それに、フェリシテ様は木の実の入った菓子を陛下から贈られた時に全て諦めたようでした。当たり前ではありませんか。死ぬかもしれない食べ物を贈られたら、絶望しかありません。あれ以来、フェリシテ様は私達が作る食事しか召し上がれません」
「ですが!王妃様は昨夜も晩餐も召し上がられていたはずですが……」
近衛騎士の言葉に侍女長がキッと睨見つけた。
「フェリシテ様の魔法で、お口に入れたと見せかけ部屋の箱に移るようにしていたのです。移された料理を調べると、やはり木の実の粉が入っておりました。何方かに相談する事もお伝えしましたが、敵味方が解らない状況では逆にフェリシテ様の命を危険に晒してしまいますから」
大慌てで近衛騎士がまた一人、部屋から走って出て行った。
侍女長は近衛騎士を真っ直ぐに見つめた。
「フェリシテ様は何のために王家に、陛下に嫁がれたのです?ご実家の権力を得たいためですか?王妃としての執務や外交と仕事を押し付けるためだけに嫁がれたのですか?
それならば、全て満たされております。離縁する訳でもありませんので、公爵家の権力はそのまま。執務も外交も家出先から行うと宣言されています。今までと何も変わる事はありません。陛下がただ開放され自由となり、幸せになるだけですね!!」
侍女長はフンッ!と鼻息荒く顔を背け、部屋を出ていこうとする。
「ま、待ってくれ!調査にあたり、話を聞きたい!」
近衛騎士が侍女長と侍女を引き止めるも。
「私達の証言がなければ調べられないと?フェリシテ様が嫁がれて三年。フェリシテ様の側に仕える私達がどれだけ苦しい思いをしてきたのか想像出来ませんでしょうね。私達は王家に仕えているわけではありません。フェリシテ様に仕えています。勘違いなさらないで下さい。給金も侍女服も全て私達はフェリシテ様から支払われております。王家からの支度ではありません。貴方がたに協力する謂れはありません」
二度目の大きな侍女長からの「フンッ」に、近衛騎士は顔面蒼白となり陛下の元に走って行った。
家出した張本人であるフェリシテはというと。
王城が大騒ぎしているとは知らずに森の中に建つログハウスの玄関先にいた。
扉に魔力を注ぐと、カチリと鍵が開く。
玄関を開け中に入ると室内は木の香りで満たされていた。
むしゃくしゃする心が洗われていくようで、何度も深呼吸をした。
木の実の入った菓子を贈られて、全てを諦めた。
死ぬくらいなら、自由に生きてみせると。
「さて、やりますか」
フェリシテは王宮から何も持ち出していない。国のお金で買った物はドレスから下着に靴まで。宝飾品も全て置いてきた。
勿論、公爵家から持参した物も全て。
今フェリシテが着用しているのは、フェリシテが作った侍女服である。
自分で手がけた品なので、持ち出して良い。
部屋を見渡すと懐かしい間取りと家具だった。
キッチンには冷蔵庫も食器棚もある。
憧れていたカントリーキッチンは自信作。
冷蔵庫は木造ではあるけれど、機能は日本の冷蔵庫と遜色ない。
リビングに足を運ぶと、ソファーがある。ガラステーブルに部屋の隅にはテレビ台。
「テレビ台を作ったけれど、テレビがないから虚しいわね……」
部屋の隅に置かれたテレビ台を眺め、この台に何か乗せれないかフェリシテは考える。
「テレビ以外、浮かばない……。まぁ良いかな。いずれ、だね。それに、冬までまだ長いもの。おこたを使えないけど、冬に向けて家の事も執務もさっさとやろうかな」
フェリシテは二階に上がり自室に入った。
こじんまりとした部屋で、王宮の王妃専用の部屋の半分にも満たない。
机もベッドも同じ部屋にある。
「あの部屋は広すぎるのよね。眠いのにベッドの部屋に行くだけでしんどかったしね」
フェリシテはクローゼットを開け侍女服からエンパイアワンピースに着替える。
「今度はシャツワンピースでも作ろうかしら。短い丈のスカートも作りたいけど、異世界では受け入れられないものね……」
フェリシテが異世界転生に気が付いたのは、12歳の陛下との婚約者候補として顔合わせをしたお茶会の時だった。
母に連れられ王宮に向かい、数人の令嬢達と庭で王妃様と王太子殿下を待っていた。
公爵令嬢として、厳しく育てられていたフェリシテは母の隣で淑女として並んでいた。
王妃様が先に姿を現し、後ろから不機嫌そうなエリオット殿下が現れた。
「不機嫌まるだしじゃん」
フェリシテから出た言葉は小さく、エリオット殿下を初めて見た令嬢達の黄色い声でかき消された。
フェリシテの脳内はぐちゃぐちゃになっていた。
前世の自分と今の自分が重なり、融合するために暴れていた。
少しボウッとしていると、エリオット殿下と視線が合った。
とりあえずニッコリ笑っておいた。
案の定、視線を思い切り外された。
母が離れたため、一人会場の端でボウッとしていた。
エリオット殿下は纏わりつく令嬢達から走って逃げる途中、端にいたフェリシテにぶつかりフェリシテを倒してしまった。
運悪くフェリシテは後ろに倒れたため、頭を強く打ち付け気を失ってしまった。
王宮の一室に運ばれ、数日眠り続けた。
フェリシテが眠っている間に、エリオット殿下とフェリシテは婚約を結ばされていた。
責任云々らしいが、フェリシテからしてみれば迷惑でしかなかった。
公爵家では後継である姉のマリーナが溺愛されフェリシテは放置されていた。
マリーナは母に容姿が似ていて、儚な整った顔でスレンダー美人。フェリシテから見ても、姉は容姿だけは国で一番の容姿をしていると思っている。
だが、頭が悪い。
6歳年上のマリーナは公爵令嬢にも関わらず、学園の成績は中の下。
勉強も作法も嫌だと、泣いて両親に縋り両親はそれを許可してしまう。
「いやいや、後継ですよ?」
と、フェリシテは姉と両親の行動を目撃する度にぼやいていた。
そんな姉であるマリーナにも婚約者はいる。
侯爵家の次男ではあるが、頭も良く容姿も良いと公爵家から釣書を送り婚約は整ったのだ。
義兄となるギルバートはマリーナを本当は嫌っている。
公爵家の領地を運営出来るならばと、婚約を受けたのだ。
マリーナでは領地運営が出来るわけがない。両親もそれはきちんと認識していた。
公爵家が落ちぶれないために、ギルバートを婿入りさせるのだから。
ギルバートは婚約者としてマリーナに真摯に対応し、マリーナは見目の良いギルバートに夢中になっていた。
お義兄様のは腹黒さには尊敬しかない。
一方フェリシテの容姿は幼い顔をしていた。年齢よりも下に見られるのは何時ものこと。
フェリシテは祖母似である。
フェリシテの祖母は少し離れた小国の王女で外遊中に祖父と大恋愛の末、結婚したと聞いている。
小国は小柄な女性が多く、他国からもお嫁探しに人気の国。
でもこの国はマリーナのような背の高いスレンダー美人が好まれる。
フェリシテはそれを理由に12歳まで離れに移され放置された。
離れに移され、使用人達から虐められた。
とはならなかった。
小さなフェリシテは笑顔の可愛い少女。
人懐っこい性格もあり、使用人達からは溺愛された。
執事長に至っては孫のように可愛がり、フェリシテの教育から何から何まで手配した。
フェリシテは家族から放置されても、多くの愛情を受け捻くれる事もなく公爵令嬢として立派に育っていった。
そうこうしている間に、12歳となりエリオット殿下との婚約が結ばれたのだ。
気を失い目覚めたフェリシテは、大きな溜め息を吐いた。
「異世界転生で公爵令嬢って、悪役令嬢って事?それなら、王太子殿下の婚約を回避すれば何とかなりそうよね……」
ベッドで断罪回避にむけ考え込んでいると、エリオット殿下がお見舞いにやってきた。
ベッドに座るフェリシテを見て、エリオット殿下の眉間に皺が寄った。
(殿下は私の容姿が嫌いなようね)
フェリシテを見たエリオット殿下の表情を見てそう判断した。
(なら、婚約はないわね!)
エリオット殿下にきちんとお礼を伝えた。
「気を失ってしまい、申し訳ありません。医師をつけてもらい感謝致します。もう大丈夫ですので、邸に帰らせていただきます。失態を犯した身、王宮には登城致しませんので」
フェリシテがそう言うと、エリオット殿下の目が丸くなった。
(驚く事あった?あ、悪役だから我儘でも言うとか思ったのかしら?言わないけど)
まだ何もしていないフェリシテだが、悪役令嬢だからと色々と勘違いをこの日からし始めた。
「フェリシテ嬢と呼ばせて頂く。私とフェリシテ嬢の婚約が整った。今日から君は婚約者だ」
それだけ伝えると、エリオット殿下は部屋から出て行った。
「え?決定事項なの?」
ポカーンとしたままのフェリシテは、迎えに来てくれた執事長に連れられ邸の離れに帰って行った。
翌朝、フェリシテは執事長に確認をしようとしたがエリオット殿下との婚約は本当らしい。と、執事長に尋ねる前に確信した。
なぜなら、本邸からマリーナの大きな癇癪の声と、フェリシテの悪口が聞こえたからだ。
「お嬢様、今から外に出ませんか?マリーナ様は直ぐに離れに突撃されますよ?」
そうだった。
一通り両親に文句を言い、フェリシテが優位になろうものなら交換を強制する。
両親が無理だと解ると、フェリシテに突撃してきて罵詈雑言を言い、扇子で叩いてくる厄介な姉である。
何もかもをマリーナからも両親からも奪われ続けた。
フェリシテは直ぐに執事長と邸を出て、街を歩いた。
(日本より文明が進んでいないわね。それに、娯楽もないし。退屈じゃないのかしら?)
そう思い街を歩くと、孤児を見つけたり四肢が欠損した浮浪者を見たり。
小さな子供が働いている姿を見て、自分の考え違いを深く反省した。
「私は愚かね。姉から全てを奪われても何もせず生きている。娯楽がなくて退屈なんて、なんて驕った考えをしていたのかな……」
ポツリと口にした言葉に執事長は黙ったままフェリシテの側に寄り添っていた。
「私が出来る事があるかもしれないから、今日は一日探してみようかしら」
「お供致します。お嬢様」
執事長は黙ってフェリシテの後をついて行く。途中の文房具店で手帳とペンを買い、自分に出来る事を前世の記憶を頼りに書き留める。
「四肢の欠損した人は、手がないなら足を。足がないなら手を使える仕事を与えれば……」
独り言を言っていると、肩にポンと手を置かれ背後から声をかけられた。
「君の考え方は面白いね」
不意に声をかけられ体を触れられた恐怖に、自分の体から熱い何かが放たれた。
「おい!魔力を抑えろ!」
声をかけてきた男性が慌てて声を上げるが、熱い何かは止まらない。
苦しさに膝を突くと、「チッ」と舌打ちが聞こえたと同時に男性が抱きしめてきた。
反抗する気力もなく、フェリシテは男性の腕の中で意識を手放した。
次に目が覚めたのは、薄暗い部屋のソファーの上。
辺りを見渡すと、本や書面が大量に散らばっていた。
立ち上がり部屋を確認しようとすると、部屋の扉が開いた。
「起きたか。フェリシテ嬢」
名前を口にされ、ピクリと反応する。
「後ろの執事から君の事を色々聞いたからね。それにしても、魔力申請すらされていないなんて、公爵家はどうなっているのやら。ギルバートが少し可哀想になるな」
「お義兄様を知っているのですか?」
「ギルバートは同期だ。あいつが婿入りする家門の令嬢を見つけたから話をしたくて近寄れば、自分の間違った考えを否定して何か出来ないかと探し回るから、面白くてついて回ったんだ」
悪びれず、男性が話してくれた。
「散らかっているが、私の部屋ではない。ここは魔塔だ。団長に君の魔力測定をしてもらっていた」
「私は魔力があるのですか?」
「ん?ああ、膨大な魔力持ちだ。今まで良く気が付かれなかったな」
(異世界転生の特典かしら?記憶が戻ったからよね)
「君を公爵家に帰すのは良くないと、執事が教えてくれた。私もそう考える。君さえ良ければだが魔塔で保護される事にしたいのだが、どうだろう」
「離れには帰れないのかしら?」
使用人達に会えなくなるのだけは嫌だ。
俯いたまま返事を返さないフェリシテに問いかけた。
「心配事があるのなら教えて貰いたい。ああ、私は名を伝えてなかったね。宰相補佐をしているカルロスだ。心配事は排除しよう。その代わり、君の手帳の中身の話を聞きたい。交換条件だな」
(取り引きするって事よね)
「使用人達と離れるのが嫌なの。でも私には個人資産か一つもない。使用人達を連れて魔塔に入れないもの……」
「君が信頼する使用人は何人いるのだ?」
「3人。執事長に侍女とその娘よ」
「3人なら連れてきて構わない。もっと大勢かと心配したが、魔塔に連れてきた使用人で10人もいた奴もいるくらいだ。使用人の給金は1年間魔塔が持つ。それまでに貢献して稼げば自由だ」
「私、昨日王太子殿下の婚約者にさせられたんですが、魔塔で働けば解消できたりしますか?」
どんなきっかけでも良い。婚約者から降りたかった。
「んーー。無理だ。婚約者のまま魔塔に保護される事になる。王妃陛下には先程君の魔力について報告してある。王妃陛下は公爵家の事もきっと調べているはずだ。君の魔力量を手放す程、王妃陛下は甘くない」
「私の意思は関係ないのね……私の人生って理不尽な事ばかりね」
カルロスは笑いながらフェリシテに伝える。
「確かにフェリシテ嬢の意思とは関係なく全て話が進んでいる。だが、お膳立てをされただけだ。この先どう考え行動し生きるのかで人生は変わる。自分で選べる時に選べる手段を手にしているのか、いないのかで生き方も変わる」
(婚約は今は解消されないし、もしかしたらだけれどこのまま婚姻もするかもしれない。今の私では逃げる事は許されない。逃げれば家はどうでも良いけど、領民に迷惑がかかる……立ち向かう権力か、逃げる時を間違わない機会を持つかね)
「わかりました。私を魔塔で雇って下さい。魔塔に利があるように努力します。それと、生家とは実質縁切りの状態でお願いします」
フェリシテの決断をカルロスは書面に記録しフェリシテに渡してくれた。
魔塔に逃げて数日が過ぎる頃、王妃陛下から呼び出しを受けた。
十年前に王が若くして崩御されてから、王妃様が王妃陛下として立たれ、国を導いてこられた。
フェリシテは王妃陛下を尊敬していた。
「フェリシテ、会うのは初めてだな」
「お初にお目通り致します。フェリシテです」
「ニース公爵令嬢であろう?家名は名乗らぬのか?」
「魔塔に移った時にニース公爵家に籍はありますが、実質縁切り状態です。あちらも役立たずな私より、姉がいれば満足のようですので」
動揺する様子もなく、淡々と話すフェリシテを王妃陛下は面白いと受け取った。
「エリオットとはどうだ?仲良くやっておるか?」
王妃陛下はエリオットからはフェリシテとの関係は良好だと報告を受けていた。
「仲良く……ですか」
含みのある言葉に王妃陛下は気になり、不敬は問わないから正直に話すようにフェリシテに伝えた。
「殿下は私の容姿が気に入らないのだと思います。いつも私を見ると眉間に皺を寄せ、視線を合わせる事もありませんし会話もほとんどなさいません。
それに最近は私の容姿と反対の女性を連れてお茶会に来られますので。仲良くとは、言えないのでしょう」
フェリシテはエリオット殿下が誰といようと興味はない。
自分を嫌う人に興味を持つほど暇ではない。
「そうか……」
王妃陛下は一言だけ返事をすると、フェリシテに肝心な話を伝える。
「私はエリオットが学園を卒業すると同時に退位する。エリオットが王となるが、フェリシテにエリオットを支えて欲しいと思っている。王妃としての執務を教える事を決めだのだ。魔塔と王妃教育で忙しくなるが受けてくれるか?」
「はい。私は王妃陛下を尊敬しています。王妃陛下の願いとあれば承知致します」
「相分かった。感謝する。エリオットから誘いがあっても無理せず忙しいと断っても構わない」
王妃陛下の言葉にパッと明るい顔をしたフェリシテだけれど、直ぐに表情を消した。
(エリオットと関わらずに済むことに喜ぶとはな……)
王妃陛下の内心は複雑ではあったが、エリオットの責任であると様子見にする事にした。
フェリシテは魔塔で沢山の魔導具を作り出す。製作者であるフェリシテの名はカルロスの差配で上手く伏せられた。
王妃陛下からの言質を盾に、エリオット殿下からの誘いに断りを入れた。
ただ、婚約者として立たなければならない時は会う事になる。
いつもの不機嫌な表情にうんざりしながらも、婚約者として寄り添った。
夜会では案の定、エリオット殿下がお茶会に連れてきていた令嬢達に絡まれる。
愛されない婚約者。
小さく子供のようだ。
殿下は幼稚な貴方を嫌いなようよ。
フェリシテを蔑む様々な言葉を浴びせられる。
(知ってるから、気にもしないけどね)
エリオット殿下の前では淑女然りな令嬢も、フェリシテをとことん虐め抜いていた。
そんな日々が数年続き婚約が解消されるかと思われたが、結婚式は執り行われた。
なぜ?
流されるまま初夜を迎えるが、添い寝をするだけで結ばれる事はなかった。
(王妃陛下が安心して退位されるのなら、どうでも良いか)
と、陛下となったエリオットへの関心は相変わらず無かった。
王妃となりエリオットに侍っていた令嬢達はと言うと。
ちゃっかり結婚していた。
だからと言ってフェリシテを虐げる事は忘れていない。
すれ違いざまに言い放たれる言葉を無視し続けた。
侍女達は彼女達と縁ある者をつけられたため、フェリシテが何を言われ、何をされ続けられていたかは王城に報告される事は無かった。
侍女達は何も言わないフェリシテは弱者であると勘違いをし、増長し始めた。
ある日、フェリシテが考え試作中の魔導具を捨てたのだ。
ニヤニヤしながら眺める侍女達を魔法で縛りあげた。
カルロスを呼び出し、記録していた過去の侍女の不始末を提出した。
言い逃れが出来ない証拠を揃え、侍女達全てを排除した。
当然、縁続きの夫人達にも影響が及び大人しくなった。
「王妃様が自ら動かずとも、陛下に進言すれば済みましたのに」
カルロスからの呆れた声にフェリシテはキョトンとした。
「嫌いな私の頼みを陛下が聞くはずありませんよ?下手をしたら夫人達を庇って私を悪役にするかもしれませんから。陛下には何も頼みませんわ。後、私付きの侍女は私が信頼する者を付けます。陛下には何も報告しなくて構いません」
今度はカルロスがキョトンとなった。
「陛下は自爆したのですね」と、ため息を吐き呟いた。
フェリシテは前王妃陛下の願い通り、エリオットの執務を自室で補佐し、民達の生活水準向上を魔塔で行い王妃としてエリオットの隣に立つ時は優しく笑みを浮かべ、夫婦仲をアピールした。
フェリシテは全てエリオットを抜きにして生活していた。
エリオットは気が付いているのだろうか。
エリオットは近衛騎士達から次々と報告される言葉に、ただただ呆然としていた。
寝起きで回らない頭を働かせ、ようやく全てを理解した。
「まずい、非常にまずいではないかっ」
膝から崩れ落ち、どん底にいるエリオットに声がかけられた。
「陛下、今更気が付いても遅いですよ?」
エリオットが顔をあげると、宰相補佐のカルロスがいた。
「お前は知っていたのか?」
「王太后陛下と魔塔の者、それに王妃様の侍女達は陛下の婚約者時代から全て知っていましたよ?すれ違っている事も、陛下が連れていた令嬢達からフェリシテ様が虐げられていた事も全て」
カルロスの言葉に、陛下が激高した。
「知っていたならなぜ報告しなかったのだ!フェリシテが虐げられていたなどっ」
カルロスは表情を変えずに答える。
「王妃様が陛下に伝えるなと。自分を嫌う陛下が助けてくれるはずがないと。自分を悪役にしたてるかもしれないから、報告をしないように厳命されていましたから」
カルロスの言葉に陛下の顔色が悪くなる。
「フェリシテが?」
「陛下、私は一度だけ令嬢を連れてのお茶会はよろしくないと伝えました。ですが陛下は聞く事もなく令嬢を連れて行かれました。なぜですか?婚約者から見れば不貞相手を連れてきたと思いますよ?」
「不貞?フェリシテの親友だと言っていた。自分達がいれば私の会話を助けると。
私がフェリシテと会話が続かない事を知って助けてくれると……。婚姻してからは贈り物の助言もしてもらっていた」
エリオットの言葉に、カルロスは溜息しか出ない。
「もしかしなくて、陛下は王妃様を好いているのですか?話せないのは、緊張するからで顔が顰めっ面になるのは緩む顔を抑えるため。とか、初恋を拗ねらせ、どうしたら良いか解らない。まさか、そんな事ではないですよね?」
そこまでではないだろうとカルロスは思っていたが、目の前のエリオットの顔が真っ赤になっていることに愕然とした。
「嘘だろう……」
カルロスは天を仰いだ。
若くして王となって三年。二十歳を超えた大人の顔ではない。
「陛下のお気持ちは少しも王妃様に届いていません。しかも、王妃様への贈り物は全て王妃様の好みの真逆です。それに、王妃様は木の実を口にすると死に至る可能性があるのです」
死に至る。
(知らなかったとは言え、まるで私がフェリシテを殺そうとしているではないかっ)
エリオットは顔面蒼白でカルロスを見あげた。
(ここまですれ違うとなると、厄介だが王妃様を手放すのは惜しい)
カルロスはどうしたものかと考えた。
「最初からやり直したらどうですか?初めての贈り物やお手紙を出されてみては?」
「婚約当初から贈り物は欠かさず渡している。フェリシテに似合うドレスに宝飾品を私が選んで贈ったが、気に入らなかったらしく姉であるマリーナ嬢に譲ったと言われた」
(あの女……ギルバートのためにも、ニース公爵家は潰すか)
「気に入らなかったと聞いたなら、なぜフェリシテ様に聞かなかったのです。何か欲しい物はないか、好きな色は?好きな宝石は?ただ、一言伝えるだけで良かったのです。
陛下が動いていたならば、すれ違いは無かったはずです。フェリシテ様の立場を考えないから、こうなったのです。自分の気持ちを優先し、嫌われたくないと逃げた結果です」
エリオットは反論出来ずに俯いた。
フェリシテの事になると、非常に弱くなる。
側近や近衛騎士達はその姿を何度も見てきた。自分達が動いても陛下が動かなければ意味がないとも解っていた。
しかし、無事に婚姻した事で二人は通じ合ったと勘違いをしていた。
「まぁ、王妃様が普通に振る舞うので、それも周りが勘違いした原因ですが。王妃様には私からもお説教しておきます」
エリオットがカルロスへ視線を向けた。
「フェリシテは許してくれるだろうか」
「それはわかりません。ですが関係を修復したいのならば、陛下は誠実に自身のお気持ちをお伝えするべきです。そうすれば、王妃様はいつかきちんと向かい合ってくれるでしょう」
ただ……。
「色恋沙汰に全く興味を持っておりません。魔塔で魔導具を作る事を優先していたせいもあるのか……物作りにしか興味を示さない事をお伝えしておきます。
まぁー、これも陛下が愛情を素直に向けていれば王妃様の乙女心も成長できたはずでしたが」
カルロスはそう告げると、陛下の執務室を後にした。
フェリシテが森の中で自由を謳歌し、魔導具作りに精を出している頃、フェリシテ捜索が始まっていた。
陛下も自らフェリシテの行方を探した。
そうして、十日が過ぎる頃。
エリオット自身が王城の森の異変に気が付いた。
「フェリシテはここにいる!」
フェリシテの魔力を感じたエリオットが森に入ろうとするも、見えない壁に阻まれた。
結界に異変を感じ、監視カメラもどきの魔導具を作動させた。
鏡に映るのはエリオットだった。
必死に結界を叩いて何かを叫んでいる。
「んー、映像だけでなく録音機能も必要よね?陛下でも魔導具作りに役に立ったわね」
と、エリオットには興味はなく監視カメラもどきに録音機能を付けよう!と、作業部屋に籠もった。
「フェリシテがいるのに……」
威厳に満ち常に堂々としている姿はなく、ただウジウジと涙する一人の青年の姿になっていた。
近衛騎士はエリオットの余りの落ち込みように見ている事が出来ず、ある提案をする。
「こちらに手紙を置いてはどうですか?陛下が選んだ花と手紙を置きましょう。陛下のお気持ちを王妃様に知っていただきませんと」
エリオットは急ぎ執務室に戻り、手紙を書いた。
過去の自分の行動の理由の説明と、そのせいでフェリシテが被害を受けた事への謝罪。
エリオットには最初に伝えたい言葉があった。
『小さな姫を初めて見て、私の婚約者となって欲しいと王妃陛下に私が頼んだのだ。フェリシテに一目惚れをし婚約者となってもらった』
結界の外の分厚書類の束を見付けたフェリシテは宛名が自分の名前であったので持ち帰った。
家には王城からの書面が幾つも転送されていたので、目を通して印を押しカルロスへと転送した。
ふむふむ……陛下は最初から私が好きだったと。
私との接し方が分からず、あの夫人達に騙されお茶会に連れてきたと。
贈り物もフェリシテが好きだと聞かされ必死に選び贈った。
木の実も知らずに贈り、申し訳無かった。
初夜は未だに成し遂げていない理由は、私が小さ過ぎて可愛くて壊してしまいそうで手が出せなかったと。
ふむふむ……。
「阿呆か。陛下は阿呆だな」
フェリシテは書面を読みながら、陛下の阿呆さ加減にうんざりしていた。
先を読むと、実家のニース公爵家の事が書かれていた。
エリオットは婚約してからずっとフェリシテに贈り物を贈っていたらしい。
「え?貰った覚えがないけど?」
フェリシテへの婚約者の頃の贈り物は全て姉のマリーナが奪っていたらしく、両親は黙認していたらしい。
「あの姉ならやりかねないわ」
ニース公爵家は処罰された。
婿入りしていたギルバートお義兄様に当主権限が移り、他家から養子をとることになった。
両親と姉は廃れた領地の領主として幽閉状態で送られたらしい。
「腹黒のギルバートお義兄様の粘り勝ちね」
そして、書面の最後に。
『愛しています。昔も今も』
短い告白の一行があった。
「陛下のあの態度は愛情の裏返しだったなんてね……」
愛を伝えられても、エリオットを他人と思って接して来た。仕事相手として夜会に出たり、式典に参列した。
今更愛を語られても、心に響かない。
勝手に送ってきたのだから返事はしない。
もう直ぐ社交シーズンも終わり、長い冬になる。
貴族は領地に帰り、王都は冬の間は静かになる。
フェリシテは社交がなくなる冬を待ち侘びていた。
こたつに入り、のんびりごろごろするのが夢だった。
日本のこたつには及ばないけれど、魔法で木を切りこたつに仕上げ布団を被せただけのもの。
火の魔石を結界で包みこたつの中に入れると温かい。
ごろごろしていると、今日もエリオットが手紙を置きに来た。
最初のように書面ではなく、可愛らしい便箋に書いて届けに一人でやって来る。
「毎日飽きないね……」
フェリシテはきちんと手紙を読むけれど、返事は書かない。
それなのに毎日届けに来る。
もう三ヶ月にもなる。
「明日は雪になりそうだけど……」
フェリシテは雪だから来ないだろうと、寂しく思う気持ちに気が付かない振りをした。
朝から雪が舞っていた。
エリオットは手紙を届けにきた。
次の日も、頭に雪を乗せて届けに来る。
王城から近いせいもあり、歩いて届けに来る。
四日目、エリオットは結界の外で倒れていた。
フェリシテが気が付いた時には、薄っすら雪がエリオットに積もっていた。
フェリシテは魔法でエリオットを浮かべると、森の家に入れた。
雪を払いエリオットの顔に触れると異常に熱い。
フェリシテはベッドにエリオットを寝かせて看病をする。
息の荒いエリオットを眺めていた。
「こんな日まで来なくても……」
フェリシテはカルロスに手紙を送り事情を説明した。
エリオットは暫く王城には戻れないと。
エリオットの側に寄ると、うわ言でフェリシテの名を何度も呼んでいた。
謝罪の言葉を何度も口にしている。
フェリシテはその姿に視界が滲んだ。
愛されているのだと、胸に染み渡った。
エリオットの寝顔を眺めながら初めて会った日からの出来事を思い返す。
(私はエリオット様に好意は確かになかった。興味も無かった。
存在を立場を否定され、放置されれば少し寂しくは思う……)
「私は本当は傷ついていたのかな。忙しくして、気を逸らしていたのかもしれない……」
エリオットに対して恋心があるのかはわからない。
ただ、毎日届けに来るエリオットを待っている自分がいるのも事実。
エリオットが寝込んでいる時間に、自分の気持ちに向き合ってみようとフェリシテは決めた。
フェリシテはそれから三日間、エリオットの看病をした。
一日寝込んだエリオットも疲労もあり意識は戻っても、ベッドから出られなかった。
フェリシテはこの世界にはないお粥を作り、手ずから食べさせた。
エリオットは喜んでフェリシテからの看病を受け入れ、四日目でベッドから降りれるほど回復した。
「陛下、お話があります」
フェリシテの真剣な表情に、エリオットも覚悟を決める。
(今までの事を考えれば離縁を言われても仕方ない)
エリオット腹を括りフェリシテと向き合う。
「陛下の事情も理解しました。謝罪も受け入れます。ですが、許す許さないの話を考えると、正直わかりません。陛下を知らなすぎますから。だって、他人のような存在の夫を許すとはおかしな話ですから」
エリオットは「他人」と呼ばれ傷付いたが、妻から見れば何もしていない夫ではある。
「陛下から愛情を向けられても、正直に申しますと意味不明です。今まで嫌われていると思っていたのですから」
エリオットは黙ってフェリシテの言葉を受け止める。
「私はこの森に住み続けます。ですが、王妃としての役目は果たします。執務も公務もきちんと熟します」
「わかった……」
エリオットは拳を握り、「嫌だ!」と叫ぶのを我慢する。
「ですから、陛下が時々この森に来て下さい」
エリオットはバッと顔を上げ
「良いのか?」
と、驚いた表情のまま問いかけた。
「初顔合わせのあの時からやり直しませんか。私がエリオットに恋するように、エリオットが頑張って下さい」
フェリシテが照れながらエリオットの名を呼んだ。
「初めて名を……」
エリオットは込み上げる感情を堪え、ギュッと目を閉じた。
「実は……カルロスを好いているのではと思う事もあった」
正直にカルロスに嫉妬していた事を告げた。
「カルロスは私のビジネスパートナーですわ」
「ビジネスパートナー?」
フェリシテは自分が魔塔で何をしていたかを伝えた。
今流行りの魔導具の殆どは、フェリシテが作り出した物だ。
そして商会を立ち上げ魔導具作りの施設も作った。四肢の欠損で仕事に就けない者や孤児を優先的に雇い入れた。
「エリオット、少し歩ける?」
フェリシテはエリオットと手を繋ぎ、寝室の隣のリビングに連れて行く。
小さな間取りにエリオットは驚きながら、キョロキョロと観察していた。
エリオットの目の前には低いテーブルがある。布団がかけられた不思議なテーブル……。
「布団をあげて座って下さい。あ、足は伸ばして下さいね」
フェリシテが手本を見せ座った。
エリオットは隣に座り、言われた通りに足を伸ばした。
「温かい」
「これは、こたつです。寒い冬、私がこたつでごろごろするために作ったのです」
そう言うと、フェリシテは寝転んだ。
エリオットも促され、横になる。
視線が合い、お互いを見つめる。
「フェリシテ、愛している。この想いは死んでも変わる事はない」
エリオットは恐る恐る手を伸ばし、フェリシテの頬に触れた。
「初めてからやり直すのに、いきなり告白ですか?」
「初めて会った時から愛しているから、問題ない」
フェリシテは目を丸くして驚き、次に嬉しそうに微笑んだ。
エリオットはその笑みを見て、自身の過ちを深く後悔する。
「もっと早くフェリシテに伝えていれば、その可愛らしい笑みを沢山見れたのに……」
エリオットは涙ぐみながら、フェリシテの頬を撫でた。
「とりあえず、今日はおこたでごろごろです」
エリオットは次の日には王城に戻った。
王妃の家出は終了したが、王城にフェリシテが戻る事はなかった。
森の中の家を気に入ったエリオットが、フェリシテがそのまま住むことを許可した。
「今までフェリシテには苦労をかけた。辛い思いもしたはずなのに、王太子の婚約者として王妃として勤めてくれた。
これからも王妃として勤めてくれる。ならば、それ以外は自由にしてもらう事が私からの謝罪となる」
臣下にそう話、別居になる事を伝えた。
「陛下と王妃様の仲は良好ですので、変な噂を流したり画策する事のないように。
王妃様を愛する陛下から処罰されますので、気を付けて下さいね」
カルロスの言葉に臣下達は思い出した。
陛下が王妃様の生家に処罰を下し、王妃様を虐げた夫人達を王都追放にした事実がある。
王妃の事には触れないように、気を付ける事を誓った。
別居から一年。
家出をしてから二度目の冬がやってくる。
冬の間は陛下は余程のことがない限り、森の中に籠もるつもりでいる。
臣下達は冬に向け必死に休みを取るため頑張る陛下を、呆れながらも見守っていた。
ある日。公務に現れたフェリシテに、侍女長が尋ねた。
「フェリシテ様は王城がお嫌なのですか?もう木の実を入れる者はおりませんよ?」
「良い思い出はないけれど、嫌いではないわよ。ただ、おこたがないから森が良いの」
「おこた」とは何ぞや?
「おこた」があれば王城に戻ると?
急ぎ陛下に「おこた」の話を伝えた。
エリオットがフェリシテに確認すると、
「王城におこたは流石に無理でしょう?」
「無理ではない!」
と、急ぎ夫婦の寝室を大改造し「おこた」を設置した。
フェリシテは大喜びでおこたを堪能した。
でも時々ではあるが、森の家には帰って行く。
国中におこたが流行ったのは言うまでもない。
夫婦の距離が近くなると、大好評となる。
寒い冬も、仲良く温かく過ごせると他国からも注文が来るほどになる。
「おこたは異世界を救うわね」
フェリシテの謎の言葉に疑問を浮かべるも、エリオットはフェリシテと一緒におこたに入り手を繋ぎ暖を取る。
ようやく本当の夫婦となった二人は仲良くおこたで微睡んでいた。
私もおこたが大好きです。
猫がおこたで寝てるとずっと眺めてしまいます。




