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第2話信玄と交渉

下手な表現はありますが、目を瞑ってくださいますと幸いです。

その日中に私は城下で、無償でどんな病も癒してくれる医者として有名になった。故意だけどね。女の子とすれ違う時にそんな噂を言っていた。

これでもう信玄が帰ってきても大丈夫だ。



そう思いながら2日が立ち、信玄たちが帰ってきた。私は宿に泊まっていたので、どうやって誰にも気づかれずに私を呼び出すかという所が少し不安だった。

少しでも呼んでくれる可能性が増えるように夜に宿の外に出た。

上を見上げると、星が綺麗だった。私は、周りに誰もいないのを確認した後前世私が好きだった曲を歌った。

歌い終わった後、なんとなくすがすがしく、すっきりした気持ちになった。というかカラオケ以外で歌うなんて久々だわ。そろそろ来るかな。



「あの」

固まった。私は、見ていませんようにと願いながらぎこちなく後ろを振り返った。そして、少し間を開けてから聞いた。

「見てました?」

「……はい」

そう言って、男の人は横を向いた。私はものすっごく真っ赤になった。耳まで真っ赤だろう。というか、いつからいたのだろう。もしも最初からだとしたら死ぬ。

「いつからですか?」

そう問いかけると、男の人は目を泳がせた。このしぐさによって、答えを理解した。

 「死んだ」

私は面にしゃがみこんだ。どっかに穴があるんだったら入りたい。というか、無くても掘って入りたい。

だが、今はそんなことをしている場合ではなく。

「っ、すみません。恥ずかしいところをお見せして。えっと、ご用件をどうぞ」

私はしゃがんでいたので、立ち上がり男の人の顔をジッと見た。

しかし、イケメンだな。この世界の武士ほとんどイケメンっていうことはないだろうからこの人が異常なのだろう。私最近イケメンと結構会ってるな。

葵くんと幸村とこの男の人。違うけど1日に1回くらいの頻度だな。

そう考えていると男の人が話し始めたので考える事を中断し、話を聞くことを専念することにした。



「お館様、いえ信玄様を助けてください!」

そう勢いよく言って私にグイグイと迫ってくる優彼を私はなだめ、目的地にいきながら詳しい事を話してもらう事にした。といっても私は知っているのだがね。

男の人は数分して、我を取り戻したらしく顔を赤ませてから礼儀正しく、分かりやすく説明をしてくれた。話していたらすぐ武田家本拠躑躅ヶ崎館に到着し、中に入った。

これが躑躅ヶ崎館。すごい。

入る時に、衛兵ににらまれた。

ひどくないか?

そう少しふてくされていると、信玄の部屋の前まで来た。男の人が手を横に向けて「どうぞこちらへ」というので一緒に入らないのかと聞いたが、入れないのだそう。

なんで入れないのだろう。

私は少し疑問を浮かべながら言われるがままに部屋の中まで入った。



部屋の中は真っ暗で、私はおそるおそる歩いていたが何かにぶつかって誰かへと倒れこんだ。

顔をあげると、部屋の灯がつき、まだ薄暗いがさっきと比べてけっこうましになった。私はそのことにホッとしたが、状況を思い出して勢いよく飛びあがって正座になった。

「す、すみません!わざとではなかったとはいえ倒れこんでしまい――」

私は謝ろうとしたが倒れこんだ相手を知り真っ青になった。

「えっと……」

私はどうすればいいのだろうと言葉を探していた。

青くなるのも仕方がないのだ。だって、武田信玄なんだよ!?たぶんだけど。病人で、信玄なんだよ。というか、なんでイケメンなの?若くない!?20代にしか見えないんだけど。色々とおかしい!

私はそう色々と考えていたがハッとしてその場にひれ伏した。

「またもや、申し訳ありません。まさか信玄様だったとは」

そう全力で謝ると信玄が「顔をあげろ」と言った。私はおそるおそる顔を上げると信玄様の顔をチラチラと見た。



「お前はどんな病でも治すと噂されている例の医者か?」

「あ、はい」

私は、怒られなかったことに拍子抜けして少し軽めでOKかなと思った。

「俺の病はどうだ?」

信玄がそう私に聞いた。

そう。聞いてきたが、全くどういう意味が分からなかった。だから、とりあえず正直に答えておく。

「どう?とはどういう意味でしょうか」

信玄は私の答えに不満を覚えたような顔もせず、サラリと答えた。

「俺の病は治るかということだ。」

「ああ、そういうことですか。もちろん治りますよ」

私は手をポンとして首を前へと振った。

「本当か!治してくれたのならどんな願いも叶えて見せよう」

そう信玄は言った。願いか。うーん。あ!

「もちろん治して見せます。あと、えっと、お言葉に甘えさせて願いを聞いてもらってもいいですか?」

「何だ?」

おおっ。懐が広い。私は姿勢を正してから言った。



「戦をこの年から7年間戦をしないで欲しいのです。もちろん一揆や他国からの戦はしょうがないですが」

私の答えに信玄は少し顔をゆがませた。

「……7年か。少し長いな。しかし、そんなことをしてお前に何の得がある?怪我人が減って医者の仕事がなくなるばかりでいい事どころか損なことばかりではないか」

信玄の考えが当たり前である。でも――。

「もしそうだとしても、です。この国の兵は強いです。戦をしたらこちらの兵の被害がほとんど出ずに勝つでしょう。しかし、相手側は?多くの負傷者や死人が出るでしょう。負傷するのは最悪いいんです。でも、死ぬのは見過ごせません。戦が頻繁に起こるような時代になってきてから、人は、だんだんと死ぬ人の事を考えないようになってきました。死人が多いとか少ないは関係ありません!たった一人だとしても死なせてはいけません。命は大切なんです。1回死んでしまったら生き返る事はできません。敵だとしても命が失われるのはダメな事です。だから、……です」



私は顔を引き締めて信玄の顔を見つめた。信玄はというと、私の気迫に押されたのか、考え方に驚いたのか知らないが呆然として私をただただ見ていた。

少し沈黙が流れた後、信玄の方から話しかけてきた。



「考えは分かった。だが、7年というのは少し長い。3年くらいだったらギリギリいけるが」

「さ、3年!?」

短っ。うん。少し短すぎないかな?

「3年はちょっと。何か7年を承諾してくれるようなことはありませんか?」

信玄は少し考え込んだ後、あると言った。なんかニヤニヤしながら。ニヤニヤしているのが気になったが頭の隅に追いやって、何をすればいいか聞いた。



「俺の恋人になれ」

……へ?

恋人?男同士で?BL?いや、聞き間違いの可能性もある。ここは慎重に。

「いや~恋人って聞こえてしまいました。私、耳が悪くなったみたいですね。何ででしょうか」

「いや、そうだが」

……聞き間違いじゃなかった。同性愛好者なのだろうか?

「え、いや、あの。私男ですよ?」

「知ってる」

知ってる……?もう考えるのやめたい。

「えっと、恋人と言いますがまず位が違いますし、私は信玄様にふさわしくは……」

「それくらい大丈夫だろ。位なんて気にしなくていい。どうしてもと言うのならば、侍大将にさせるが」

なんなのこの人!?気にしなくていいなんてそんな。しかも、侍大将って。侍大将からなる人は大抵一門だけなんですよ?それなのに、この人。正気か?



「いえ、そこまでやってもらうのは。それに私恋人になるのは少しご遠慮させていただく……」

そう言うと、信玄はキョトンと言うような表情をした。

「何でだ?」

「何で、ですか」

私はほんの少し、そう。ほんっの少しだけ顔をひきつらせた。

というかこれ以上聞かないでくれよ。本当に。話題からそれるから。

「えっと、私同性愛は別に否定はしないんですけど自分となるとちょっとでして。それに、私は信玄様の恋人になることではない、別のやらなければいけない事がありますので」

最初は少しうつむいていたものの、だんだんと顔を上げて引き締めた。私の前に座っている人は、少し驚いてから悪そ~な顔をした。

悪い予感しかしないんだが。大丈夫だろうか。私は腕をさすった。



「そうか。理由は分かった。だが、こちらも譲る気は無い」

「そっ、そんなぁ」

私は反論の声を上げる。

ちょっと面白がってない?

「お願いします」

「ダメだ」

「それ以外だったら何でもしますから」

「いやだ」

「本当に!」

「断る」

そんな口論?がずっと続いていたが、私は少し馬鹿馬鹿しくなって「譲ってくれる様子が全然ない」と、本人の目の前でそう愚痴?った。


バタッ。


音がして信玄の方を見ると、顔を真っ赤にして苦しそうにしている。気絶してるのにこんな苦しそうだなんて。というか、さっきまで平気そうだったよね。もしかして我慢していたの?ああもう!今はそんなの関係ない。

私は取り合えず、武士の奥さんにも使った回復魔法を使った。

「ヒーリング」

そう唱えると、信玄の体は光った。だが、いっこうに目が覚めない。私は不安になって、病が回復したか確かめた。今は気絶しているだけらしい。

いや~良かったよかった。……ではない!



「やってしまった~!」

私はそう大声で悲鳴のように叫んだ。頭を抱えていると戸がガラッと開き、中に人が入ってきた。さっきの男の人と、陰で見えないがもう一人男の人がいた。

「おい。さっきの悲鳴は何だ?」

一人がガラの悪いように言う。ヤンキーみたいなんだけど。口調悪いなー。

「何がありましたか?ちょっと、幸村そんな風に言わないの」

さっきの男の人はもう一人のガラの悪そうな人にそう言った。

「すいません兄さま。おい!良かったなお前。俺一人だったらどうなったことやら……え?」

ガラの悪そうな男の人が私にヅカヅカと歩み寄ると、私の顔をジッと見た。そして私の顎を手を震わせながら持ち、いろんな角度から凝視する。

いきなり何だろう?

そう考えていると、男の人は口元を震わせて言った。



「す、すみません!お医者様!」

男の人はさらに、手を床についてどけ座をした。

さっきとはあまりにも違う態度に私はポカンと拍子抜けをした。

「え……?あの」

私はとりあえず顔を上げるように言った。すると、上がった顔は見覚えのある顔だった。

「ゆ、幸村!?」

「はい!真田家次男真田幸村です!母上の命を救ってくれた大恩人にこんなことをしてしまい、本当にすみません!」

幸村は元気よく返事をすると、またもやどけ座をした。

え?情報が沢山入ってきて頭が追い付かないんだけど。ガラの悪い男の人は、2日前に助けた武士の奥さんの子供の幸村で、幸村はあの有名な真田幸村!?噓でしょう……?



「え?どういうことですか?」

少し遅れたように男の人は聞いてくる。当たり前である。さっきとは違う行動を誰かがしていたら怖くなるに決まってる。

男の人の問いに、幸村は顔を上げて答える。



「えっと。ほら、母上。不治の病にかかっていただろ。で、医者が来て助けて見せますとかいって母上の体をみようとする変態や失敗したのに、診察料ですとかいって金をとってくるやつばっかだっただろ。この医者も同じようなもんかと思って、失礼な口をたたいてしまったんだがこの人は全然気にしないで、母上の病を見てすぐ治してくれたんです!よく考えてみれば本当に失礼すぎたな。本当になんで、許してくれたんだ?」

幸村は説明するはずが、自答になっていて首を傾げる。

本人の目の前でそういうこと言わないでもらえますかね。ちょっと。



「それでそれで!それだけでも感謝なのに何も要らないっていうんだ。自分が助けたかっただけだからって。本当に尊敬します!しかも、噂を聞いてたんですけどどんな人でも病気でも無償で治すんです!そして、助けてもらった後皆必ず言うんです。『夢のような時間だった』と」

幸村はそう事実ではない事を混ぜ込んで私の事を大いにほめたたえた。というか、幸村よ。ツンデレキャラはどうした?

今完全に犬系だぞ。それも好きだが。というかイケメンは何でもありな気がしてきたぞ。



「ところで、幸村。その人誰?」

私は幸村にそう尋ねた。

「えっ?ああ、この人はですね。俺の自慢の兄!真田信之!」

「あー」

私は信之かと納得した。兄弟だったのならばこんなに仲が良いのもうなずける。

まあ幸村はどんな奴ともこんな感じだと思うけれど。

「えっと、真田信之です」

そう話していたら後ろから誰かが近づいてくるのを感じ、信玄だと思う。

「おはようございます。信玄様」

私はそう言った。

「ああ、おはよう。といっても、夜だがな」

「あはは」

信玄のその答えに私は苦笑する。



「ん?幸村、信之、お前ら何でここにいる?まあ、今はいいか」

信玄はそう言うと、私と向かい合う。

「ありがとな。お前のお陰ですっかり元気になった。というか体力が増えたような」

私は「それは良かったです」と笑顔で返し、信玄にグイっと体を寄せた。

「し・ん・げ・ん・さ・ま!治療しちゃいましたけどさっきの事続いてますからね!」

私はそう言ってからジトーッと信玄を見た。信玄はやれやれと言う風に首を振ってから言った。

「いいだろう。しかし、5年だ」

「5年……」

まあ、及第点か。私は少し不満だったが、信玄がせっかく譲ってくれたのでそうする事にした。

「ありがとうございます」

私はそう言ってぺこりと頭を下げた。



その後、話をしていくうちに今日から3日間ここに置かせてもらう事になり、稽古に私も参加させてもらう事が決まった。

「あ、私はどこで寝ればいですか?」

私はそう尋ねる。野宿なんてことはないよね。

「それは……」

「俺と兄さまの部屋にしましょう!」

信玄の声にかぶせて幸村は声を上げる。幸村、よりにもよって主人の声にかぶせるのか。ダメだろ。信玄が、幸村をジトーッと見ているがまあ私も賛成だ。この二人だったら不安が何もない。

「私はそれでいいです」

そういうと、幸村は子供のように喜び、信玄は相変わらずジトーッと幸村の事を見、信之は何でこんなことに?とでもいいたげな顔をしていた。

そして、信玄様と別れ二人の部屋に入り、申し訳ないが真ん中で眠る事になった。

案外良く眠れた。

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