第14話信玄が、若返りの害で酒飲んだらおかしくなった
凄い間が開いちゃいました!すいません。
取り敢えず、私は前に置いてあった猪の焼肉を皿に数枚置く。そして、熱いのでフーと冷ましてから口に放り込む。噛むと、肉汁がブワッと溢れ出して口の中に広がる。
「!」
私は驚き、口元を抑える。
な、何なのこれ。美味しすぎないかしら!?
私は夢中で噛み、ゴクリと飲み込む。口の中が空になったことを確認して、私は皆にどういうことかと聞く。
「これ、美味しすぎないですか!?私、肉苦手なはずなのにすっごい好みなんですけど」
「おお、そうか。なら良かった」
「ここで取れるものは何でも美味しいですよ」
「俺もそれ大好きです!」
「それ、そこにある汁につけるともっと美味しくなるよ」
皆も絶賛している。
武田領って、本当に凄いな。
そう思いながら、箸で焼肉を十枚程度皿に取って口の中に運ぶ。
うん。やっぱり美味しい。
焼肉をほうばっていると、私はあることに気づく。
焼肉って、カロリー高くない?
雷が落ちた気がした。私は箸を止め、ヤバいと考え始める。
このままいったら太るけど、もっと食べたい!どうしよう!
「?知花様どうしたんですか?」
幸村は私に違和感を覚えたらしく、そう聞いてくる。
「いや、……もっと焼肉食べたいけどこのまいったら太るからどうしようと思って」
私、激しい運動そんなしないし。
「焼肉って太るんですか?あと俺は太った知花様も好きですよ?」
「ありがとう。でもね、私は太りたくないんだよ」
幸村に聞いても良い案出てこなそうだ。
「知花様の不思議な力でどうにかならないんですか?」
「え?あ……確かに出来るかも!ありがとう幸村!」
私は立ち上がってクルクル回りたいところを抑えて、手の動きだけにする。
幸村に聞いても良い案出てこなさそうなんて言ってごめんなさい!
上機嫌の私は焼肉を米と一緒に食べ、十枚全部食べきった。
焼肉で油が多いのは今はあれだから、さっぱり系でフルーツにするか。
私は葡萄を5個くらいと、桃を3切れ取った。
まず、葡萄を食べる。
私葡萄好きだけど、昔と今の葡萄って同じだよね?
そう少し不安だったが、すぐそれは解消される。
「ん。美味しい」
葡萄の冷たい汁が広がって、口の中が爽やかになる。そして、果実もちょうどいい硬さで味も私好みだ。
山梨県あたりは昔も今も関係ないのか。
次に桃を口の中に入れる。
桃は好き嫌いがあるんだよね。これ、どうかな?
桃も葡萄と同様、少し噛んだだけで冷たく爽やかな汁が口の中に広がる。桃は柔らかく、口の中で溶けていった、気がする。
私は、武田領で取れたものは何で全部美味しいのだろうと不思議に思いながらテーブルにあった水を飲む。
水も美味しい。山が多いからかな。
チラリと皆を見てみると、勘助は焼肉と鯛を綺麗に食べていて、信之は眉を垂らし苦笑いをしていた。何故だろうと思って信之の視線の先に目を向けると、酔っ払った信玄が幸村に絡んでいた。
信玄……。可哀想に、幸村。
ちなみに、信玄以外は未成年な為お酒を飲むことが出来ない。私なんて13歳である。
信玄も私の力によって、今27歳なんだよね。若いなホント。でも、私の2倍+1だから結構離れている。年齢差エグいのに私、何でこんな普通に話せるんだろ?
信玄は顔が少し赤くなっているが、なんとなくそんなに酔っていない気がする。なぜだか信玄は酒に強いイメージがある。
面白そうに笑っているから、幸村をからかっているのかもしれない。
幸村の顔が真っ赤になっているのを見て、だんだんと幸村が可哀想になってきた。
私は幸村と信玄の方に近づき、「信玄様、それくらいに……」と声をかけようとすると、信玄が振り向く。
「あぁ、知花か」
信玄は私の名前を呼ぶが、それより信玄の雰囲気に目を引かれていた。
瞳が細められ、月明かりを宿したかのように仄かに光る。薄紅色の唇が弧を描き、その微笑みは見る者の心を惑わせる妖しい魅力を放っていた。流れるような黒髪が首筋に沿い、信玄の肌との対比がさらにその妖艶さを際立たせる。
……ッ何で!?
私はそう唇を噛み締めながら、叫びそうになる。今、顔が熱いので耳まで真っ赤になっているのだろう。
「信玄様?」
私は名前を呼ぶ。
「何だ?」
妖艶……。
その言葉しか頭に浮かんでこない。
何でこんなキャラ変を。いや、信玄合うけどさ。合うけど、やっぱり落ち着かないっていうかですね。もしかして、酒のせい?
私は近くにいる幸村に小さな声で聞く。
「信玄様って、酔うといつもこんななの?」
「いや、いつもはこんな感じじゃないんですけど」
本当にどうしたんだろうお館様…という幸村のつぶやきを聞きながら、私はそれなりにいい頭を回転させる。
今回だけ?もしかして若返ったことに関係が?
というか、信玄を酔わせるのは危険すぎる。これ、下の武将たちが見たらどう思うのだろうか。
考え込んでいると、クイと顎を引かれる。
「うわっ」
私は信玄と見つめあっていた。
この状況は一体!?
信玄が妖艶なこともあるので、私は顔を真っ赤にさせながら困惑する。
「知花」
「は、はいっ!」
私は勢いよく返事をする。
「俺のこと、どう思ってる?」
はい?何でそんなことを。
そう思いもしたが、真剣に答える。
「チャラいけど優しくて、面白いことが好きそう?ですかね」
あとイケメン。
「……」
信玄は黙りこくっている。言わせといて黙らないでほしいと私は思う。
「あのー、信玄様?大丈夫ですか?」
「いや、大丈夫だ。ありがとな」
あれ、戻った。
いつもの信玄に私はホッとするものの、なんで戻ったのだろうかと疑問に思う。だが顔がさっきまでの赤ではなく白に戻っていたことに気づいて、酒の効果が引いたのだと分かった。
私は気を取り直し、「いえいえ」と笑顔で返して自分の席に戻り、鯛を皿に取った。そして食べ始めるが、やはり落ち着かない。
「何?私なんかした?」
集まる視線に耐えきれず、頬を引きつらせ気味ながら聞くが、皆は首を横に振る。
「いえ、何でも無いです!」
「別に」
「気にしないでください……」
信玄だけは、「いやお前に見とれていただけだ」と答えた。
さっきまでとのギャップが凄すぎる……。
「そう?」
納得はしなかったが、別に深堀りするまでのことだとは思わなかったから気にしないことにして箸を進める。
私、ホント何かおかしかったかな?




