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第10話毒舌が凄い……

信玄が見えたと思うと、信玄は誰かを手で引っ張って私達の前に突き飛ばした。

 「うわっ」

彼はよろけながらもしっかりと止まり、顔を上げる。そして信玄の方に顔を向け「何するんですか」と声を上げた。

あれ?この声と髪色はやっぱり……。

「勘助?」

「え、知花?」

そう思わず言うと彼はこちらに振り向いた。

やっぱり勘助だ。

「……」

勘助は顔を赤らめながら私の体を見る。私は言いたいことが分かってアハハと苦笑しながら言った。

「いやぁ~、バレちゃった。テへ」

そのまま長い沈黙が流れる。

いや、やめてくれ。恥ずかしさで死にそう!

そう心のなかで色々と思っていると、勘助がおそるおそる口を開いた。

「バレた?」

「はい」

「え、何で?」

「魔法が解けて」

「何で?」

「分かんない」

質疑応答を繰り返すうちに勘助はいつもと同じ表情やペースになっていった。

というか本当に何でだろう?



「そういうの分かんないの?」

その言葉に私は、頭の中から記憶を絞り出す。

『えーっと。氷室知花13歳。誕生日は3月23日で家族は父と母と妹の3人。血液型はBで誕生星座は牡羊座で、うま年。戦国時代にタイムスリップをしてきた。それにより漫画などであるチートになった。だが、チートの力を普段はいくらでも使えるが満月が出ている日の夜には力を10万までしか使えなくなる。か。結構いいな。』

書いてあったな。ステータス画面に。

満月の日の夜には魔法を10万までしか使えなくなるのか。というか魔法やるのにそういうのかかるの?確かにゲームだとあったけど。

あの変身のやつ意外と高かったのね。



「ねえ、昨日って満月だっけ?」

「そうだったけど何で?これに関係あるの?」

だからか〜。

私は脳内で頭を抱えながら質問に答えた。

「私、満月の日の夜にはこの力を使えるのが限定されているみたいなの」

「限定?」

「うん。色々と種類があるけれど種類によって、エナジー?とかが使うために必要なものなの。そのエナジー?が、普段は無限なんだけど満月の日の夜には10万までらしくてレベルが上がるごとにエナジーを消費する量が変わるみたい」

「ふーん」

そう噛まないように気をつけながら答えると、そっけない返事が帰ってきた。



「というか馬鹿じゃないの。昨日満月だって気づかなかった訳?」

「ウグッ」

勘助の冷ややかな声に私は奇声を上げる。そして、バツが悪そうにしながら横を向く。

「昨日、色々あったから空見てる暇なくて」

「いや、まずそういうのを一日で処理していない時点で駄目でしょ。誰か頼ればいいのに」

なんか勘助毒舌すぎない?

「いや、私も私一人では絶対に解決できない状況とかだったら頼るんですよ。でも今回そんな感じのやつじゃなかったし」

「それが何?」

こっわ。勘助今日どうした?いつも毒舌感するけど今日はすごくない?



何も言い返すことが出来なくてむくれていると、頭にポンと柔らかな感触がした。

「?」

勘助は私の頭に片手を置いて照れながらも言った。

「今度からはそうして。良い?」

うんって言いたいんだけど私今日でここにいるの終わりだからなぁ。出来ない可能性もあるのよね。

「え、知花今日でいなくなるの?」

勘助は目を少し見開くと、戸惑った声を出した。

「うん。そうだよ」

「知らなかったんだけど」

そう言うと勘助は機嫌がいかにも悪そうな顔になり、信玄の方を見た。

「お館様」

「いや、すまんすまん。忘れちゃって」

二人はそんなやり取りをしていたが、あきたようで私の方を見た。

「まあ、出来るときだけでいいから」

「うん」

私はにこやかに返事をした。



「というかさ、知花さっきから気になってたんだけどその服なんなの?目に悪いんだけど」

「え?服?」

私は、どういうことだろうと思いながらも自分の服を見た。

「……!?」

私は顔を真っ赤にさせた。

な、何なのこの服は!というか全く気づかなかった。透けそうな服にスラッとした体型。やばい。エロすぎる……っ!

私は慌てながら「マ、マスカレード!」と言った。私は一応自分の服を見て、ホット一息をつく。

これは、十二単っぽいやつだな。臭くないけど。

ひとまず安心、と思っていると、信之が口を開いた。



「さっきの服、よく着れましたね。僕だったら死んでも嫌ですよ」

「いや私も着たくてきたわけじゃないのよ。昨日はぼうっとしてたから、そこら辺においてあった服取ったのよ。で、あれだった」

「なんであんなやつが置いてあったんですかね……」

「さあ?」

なんでだろ。

「途中で誰にも会わなかったんですか?」

「それが会わなかったんですよ」

「皆風呂に行ってたからな」

信玄がそう口を挟む。

たしかにその線はあるかもしれない。昨日早めに行ったし。



「というか勘助と幸村ってお風呂に入るの早かったんだね。その後何したの?」

「人が沢山いるの苦手だから。風呂出たあとはお館様と話したり読書したりしてた」

「俺はたまたまですね。その後は10時まで鍛錬してました」

「それお風呂入った意味あるの?」

汗めっちゃかくでしょ。

思わず突っ込むと、「確かに無いですね」と幸村は言った。

今気づいたのか。



そう色々と話していると、3人を稽古の時間だと誰かが呼びに来た。

「おーい、3人とも鍛錬場に早く来い。って誰だよその美女!」

美女?指してるの私っぽいけど私じゃなわよね。

「ここ男ばっかだから珍し。ほんと目の保養だなぁ。よし!よっしゃ、いくぞー!」

男の人はそう言い3人を連れて行った。



「……」

そのまま沈黙が流れる。

どうしよう。私沈黙、気まずすぎて苦手なのだけど。

そう思っていると、信玄が話しかけてくれた。

「知花、お前の力は本当にすごいな」

「ありがとうございます?」

「そういえばさ、俺の病を癒やしてくれたじゃないか。一昨日」

「そうですね」

「その後鍛錬とかしてみて分かったんだが、俺の体27歳になってるんだよな」

「え?」

何故?……あ!

「ああ、すみません。それ私の力ですね。戻しますか?」

「んー大丈夫。こっちのほうが体動きやすいし。それにお前がせっかくやってくれたからな」

「なら良かったです」

私はそう言い笑みを浮かべた。



「……ところで、聞きたいことがあるんだが」

 「?何でもどうぞ」

聞きたいこと。なんだろう?

「お前、本当に何で俺の申し出を断ったんだ?」

「へ?」

予想外の質問に思わず変な声が出る。 

申し出。一昨日のことかな?

「何でと言われましても……。一昨日言った通りですけど」

そう言うと信玄は瞬きをした後、大きく首を傾げた。



「だが、大名の正室だぞ?本当に男だったならともかく女ならどうして?」

どうしてと言われましてもねぇ。というか信玄、正室にするつもりだったの!?

「いや、前言った通りそれは私が今すべきことでは無いからですけど」

そう言うと、信玄は黙りこくった。

私は気にせず「何しよっかな」と外へ出ようとした。そうすると、後ろから声をかけられふり返る。



「知花、今日武田領で祭りをやるのだが、お前も一緒にどうだ?」

「え!」

私はその言葉に驚きの声を上げる。

今日祭りあったのね。何のお祭りかしら?

「良いのですか?ぜひ連れて行ってください」

そう言うと信玄は少し驚いた後、「分かった。では門の前で待ち合わせだ」と言った。



私は、信玄と別れ幸村と信之の部屋に戻った。そして誰もいないことを確認して「マスカレード」と言い化粧や服を変える。

あらまあ。自分で言うのもあれですけど美しいわ。

白い肌につややかな髪と瞳。着物越しでも分かるスタイルの良い体型。赤くぷるんとした唇。薄ピンク色のおしゃれな着物。

最強じゃない?

そう思いながら外へ出ると訓練場の前を通らなければいけなくなった。

どうしましょ。……さすがにこの格好じゃバレないわよね。

私はそう思い、気配を消しながら早歩きで訓練場の前を通り過ぎようとした。



「うわ、美人さんだ」

「あの、お名前は?」

「すごいお綺麗ですね。昨日氷室という男がいたんですが、そっくりですよ。お会いしたことはないですか?」

「え!?あ、いやその……」

私は、バレそうになってしどろもどろになる。

どうしよう。バレないかしら?

「何練習の途中で止まってるんですか。早く戻ってください」

あら、勘助だわ。

 「勘助!」

そう呼びかけると、男の人達の間から三人が出てくる。

「あ、知花」

「知花?」

「知花様!」

あら、信之と勘助と幸村だわ。

私は手をひらひらと振る。



「どうしたのですか?」

信之のその問いに私は答える。

「信玄様に祭りに行こうって誘われて、今向かってるところなの」

そう言うと三人はそれぞれ違う顔をした。

「祭り……ですか」

「お館様と……」

「良いですね!俺も行きたかったです」

私は首を傾げながらも「じゃあまた」と言い門へ急いだ。

投稿久しぶりです。次は1週間後くらいになるかと。

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